月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-異伝 ブルーメンリッター戦記

異伝ブルーメンリッター戦記 #93 敵側の配役に問題があるのは物語として正しいのか?

リリエンベルク公国の冬の訪れは早い。あくまでもローゼンガルテン王国領の中では、であって更に北の国々はすでにほぼ全土が雪に覆われている。リリエンベルク公国の北部も同じ。すっかり雪景色だ。その雪景色は徐々に南部に広がっていく。ブラオリーリエの…

異伝ブルーメンリッター戦記 #92 敵味方の区別が複雑さを増していく

リーゼロッテの父マクシミリアンはブラオリーリエの南にある街グラスルーツにいる。リリエンベルク公爵家、今はテーリング家と呼ぶのが適切かもしれないが、の当主であるマクシミリアンがいるその街がリリエンベルク公国の都、政治の中心ということになる。 …

異伝ブルーメンリッター戦記 #91 物語が破綻すれば登場人物たちは解放される

まんまとローゼンガルテン王国の実権を手に入れたキルシュバオム公爵家。だがそれを喜んでいるだけではいられない。現状は自公国と王都、そして軍事力を押さえているだけでローゼンガルテン王国全体に支配が及んでいるわけではないのだ。同盟関係であるゾン…

異伝ブルーメンリッター戦記 #90 そして物語は破綻の時を迎えた

カロリーネ王女を乗せた馬車は街道を西へと進んでいる。ローゼンガルテン王国の王女である彼女が乗るには相応しくない、行商人が使用するような粗末な馬車だ。さらに乗っている彼女の服装も町娘が着るような粗末、というのはカロリーネ王女が普段着ている服…

異伝ブルーメンリッター戦記 #89 それぞれがそれぞれの新しい物語の役割を演じ始めた

ジグルスが率いる勢力、アイネマンシャフト王国の参戦はリリエンベルク公国における戦いを複雑にした。といってもそれを仕掛けたジグルスにとっては当然、複雑なんてことはなく、かつリリエンベルク公国軍は、それを率いるリーゼロッテが新たに参戦してきた…

異伝ブルーメンリッター戦記 #88 新たな物語の結末はまだ決まっていない

ブラオリーリエの戦いは、苦しい状況ながらも何とかリリエンベルク公国軍が持ちこたえているという状況だ。リーゼロッテの強力な魔道具も含めたリリエンベルク公国軍の遠距離攻撃による犠牲を恐れて、魔人軍側が慎重に動いているという点も戦いが長引いてい…

異伝ブルーメンリッター戦記 #87 ストーリーが塗り替えられていく

ローゼンガルテン王国と魔人軍の戦いはその状況を一変させた。だがローゼンガルテン王国はまだ事態を把握しきれていない。各地から次々と新しい情報が届いてはいるが、あまりに予想外の状況に分析が追いついていないのだ。それでもある程度、情報が揃い、仮…

異伝ブルーメンリッター戦記 #86 このシナリオは誰が書いたものなのか

戦いが思い通りに進んでいないのはローゼンガルテン王国だけではない。敵である魔人軍側にも多くの誤算が生まれ、それによって計画は大いに狂っている。 中でも一番の問題はジグルスの存在、であるのだが魔人軍にはまだそれほどの危機感はない。彼等にとって…

異伝ブルーメンリッター戦記 #85 これはアドリブではない。台本を変えようとしているのだ

ローゼンガルテン王国にとって現状は、様々な点で思い通りに進んでいない。そもそも何をもって思い通りというのか。それさえもあやふやになってきているのだ。 もっとも大きな誤算はリリエンベルク公国内での戦い。魔人軍に占拠されたはずの、状況が分かった…

異伝ブルーメンリッター戦記 #84 ストーリー通りといっても現実のその形は様々だ

ブラオリーリエの戦いはやや停滞している。停滞は魔人軍からみた場合の表現であって、リリエンベルク公国側としては南部への侵攻を食い止めているのだから善戦だ。だからといって喜ぶ気にはなれないが。 リリエンベルク公国にとっての勝利は、侵攻を止めるこ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #83 少しだけ主人公の気持ちが分かった気がした

いくつかの種族、部族を味方につけたジグルス。そのジグルスの拠点はリリエンベルク公国東部、大森林地帯に近いところにある。 魔人の本拠地の一つである大森林地帯の近くにあえて拠点を構えたのは、エルフ族の一部が味方してくれることが決まったから。その…

異伝ブルーメンリッター戦記 #82 新しい物語は過去の想いを受け継いでいた

撤退した獣王軍に代わってブラオリーリエ攻めを担当しているのは大魔将軍オグルが率いる鬼人系魔人で編成された鬼王軍。獣王軍に比べると五千と少ないが一人一人の力は上だ。あくまでも平均としてであって個々の力比べとなるとどちらが上とは言い切れないが…

異伝ブルーメンリッター戦記 #81 主人公が演じることを放棄したくなったら

リリエンベルク公国軍の最大拠点となっている南部の街ブラオリーリエ。敗走してきた兵士が各地から集まってきて、今はその数は万を超えた。ただこれまで街を落とされずに守ってこられたのは味方の数が増えたからではない。 軍を入れ替えて、ということはリリ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #80 舞台に引き出される人々

リリエンベルク公国領北部にある街リム。これといった地場産業はないが、さらに北、ローゼンガルテン王国の北の国境と接しているいくつかの小国との交易窓口としての役割を持っていることから、北部では中堅くらいの規模となっている街だ。そうはいってもリ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #79 新たな物語では主要キャラも変わってくる

リリエンベルク公国の陥落、そして封鎖は徐々に民衆の耳にも届くようになってきた。リリエンベルク公国内との取引を行っている商人たちがその最初。その商人たちから他の人々に話が伝わっていった。ただその段階になるとローゼンガルテン王国も隠すよりも、…

異伝ブルーメンリッター戦記 #78 魔王としての「初めてのおつかい」、ではない

ブラオリーリエを攻め落とそうとした魔人軍は引いた。だからといってリリエンベルク公国での戦いが終わったわけではない。再侵攻してくることは間違いなく、他の地域でも魔人軍はいくつかの部隊に分かれて、公国領の制圧に動いている。 その一つが獣王軍第二…

異伝ブルーメンリッター戦記 #77 主人公の物語が狂い始める

リリエンベルク公国が魔人の手に落ちた。この情報を得たあともブルーメンリッター、花の騎士団はキルシュバオム公国を離れていない。これまで同様、目の前の戦いに追われていた。 同様といっても戦況に関しては以前よりも厳しい。花の騎士団の主力の一人、ユ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #76 新章ではない。新しい物語だ

母は、自分は何者なのか。この疑問に対する答えがようやく得られた。 前魔王バルドルには三人の側近がいた。フェンリル、ヨルムンガンド、そしてジグルスの母ヘルの三人だ。どこかの神話で聞いたような名前だと話を聞いた時にジグルスは思ったが、これは余談…

異伝ブルーメンリッター戦記 #75 真実は残酷だ。だから人は隠したいと思うのだ

総指揮官がジグルスに討ち取られたことで魔人軍は撤退。形としてはそういうことで、総大将を討ち取ることで逆転勝利を得るという展開は過去の戦いにおいて何度もあったことだ。そうであるのだがジグルスはなんだか腑に落ちなかった。魔人軍が撤退していく様…

異伝ブルーメンリッター戦記 #74 モブキャラが覚醒したら何と呼ぶべきだろう

ブラオリーリエにこもるリリエンベルク公国軍との交渉は決裂に終わった。交渉の使者とされたフレイには初めから分かっていたことだ。リリエンベルク公国の中心都市シュバルツリーリエに残った人たちは皆、死を覚悟していた。それをブラオリーリエにいる人々…

異伝ブルーメンリッター戦記 #73 新たな物語は新たな登場人物を必要とする

キルシュバオム公国での戦いはローゼンガルテン王国軍の優勢で進んでいる。ただあくまでも現時点で考えた場合の優勢だ。魔人軍の侵攻を許し、いくつかの拠点を奪われているという事実は変わらない。 魔人軍はラヴェンデル公国軍での戦いとは異なり、拠点確保…

異伝ブルーメンリッター戦記 #72 老戦士はただ去るだけでは終われない

街道を力ない足取りで南下する人々の列。その最後尾には、前を歩く人々とは異なり、きちんと隊列を整えて歩く軍人たちの姿がある。リリエンベルク公国の中心都市シュバルツリーリエから逃れてきた人々だ。 今のところ魔人軍の襲来はない。だからといって、そ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #71 主人公が多くの人の心を捉えるのに手段は問われない

キルシュバオム公国南西部。エカードたち花の騎士団が向かった戦場では激しい戦いが行われていた。キルシュバオム公国に侵攻した魔人軍はおよそ五万。それに対してローゼンガルテン王国とキルシュバオム公国の連合軍は三万。数の上で劣勢だ。さらに質の上で…

異伝ブルーメンリッター戦記 #70 何故物語は悲劇を求めるのか

リリエンベルク公国領に侵攻した魔人軍は三万。その第一報を聞いたリリエンベルク公爵が懸念した通り、その軍はほぼ魔人だけで編成された精鋭と呼べる軍だった。 その魔人軍に対してリリエンベルク公国軍は善戦した。兵を鍛えるだけでなく、防衛線と定めた地…

異伝ブルーメンリッター戦記 #69 今もまだ世界は定められたストーリーで動いている

花の騎士団の行軍はかなりその様相を変えている。隊列を整えて進むのではなく。バラバラに走っているのだ。移動中も兵士を鍛えようというクラーラの提案を、エカードはこういう形で実現していた。 これにより行軍速度は大いに速まった、とはならない。永遠に…

異伝ブルーメンリッター戦記 #68 主人公の能力の活かし方

エカードが率いる六千の軍勢、花の騎士団=ブルーメンリッターは最短経路を選んでキルシュバオム公国に向かっている。ローゼンガルテン王国の西端近くから魔人軍が現れたというキルシュバオム公国、ローゼンガルテン王国領としても南西部にまっすぐ進む道を…

異伝ブルーメンリッター戦記 #67 なるようになるは諦めではない

空に伸びる木々はその高さを増し、密度もこれまでとは明らかに違っている。人が踏み入った気配のまったくない森の奥。そこを一人、ジグルスは歩いている。 心に浮かぶのはわずかな後悔。もっと偵察を重ねてからのほうが良かったかという思いだ。だがその考え…

異伝ブルーメンリッター戦記 #66 交わった物語がまた分かれていく

一軍六千を率いてキルシュバオム公国に転戦することになったエカードたち。だからといってすぐに移動出来るわけではない。軍の再編についてこの戦場に残るラードルフ総指揮官との調整が必要だ。 兵士についての調整は簡単だ。エカードたちが所属していた軍の…

異伝ブルーメンリッター戦記 #65 裏表

リリエンベルク公国軍に割り当てられた陣営はそれほど広くはない。もっとも人数が少ない部隊なのだから当然ではある。ただその狭さはあくまでもここまでが陣営と線を引いた、実際には線ではなく壕で区切られている範囲内でのこと。その壕の外に出れば、訓練…

異伝ブルーメンリッター戦記 #64 物語が加速する

ようやく魔人軍に動きがあった。膠着気味であった戦況もこれで動くはずだ。ローゼンガルテン王国軍にとって待ちに待った、なんていえる状況ではない。一日でも早い戦争の終結は強く望んでいるが、 激しさを増すことまで求めているわけではない。だが今回の動…