月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

異伝ブルーメンリッター戦記 第143話 将来への備え

異世界ファンタジー 異伝ブルーメンリッター戦記

 アイネマンシャフト王国の都ノイエーラ。ジグルスの国はこの地から始まった。高い防壁に囲まれた、見るからに攻めるのは難しい要塞都市。実際に魔王軍の攻撃を受けたが難なく撃退していると聞いた。防壁に囲まれた場所だけではなく、その裏にある大森林地帯も街の一部。近頃は戦場になることはなく、生産拠点としての位置づけのほうが強くなっているという話だ。街中を歩いていれば、それは実感できる。外縁部の農作地には実りが広がり、街中のあちこちにある小工場では様々な物が作られている様子が見られる。
 人族と魔族、そしてエルフ族が共存する街ノイエーラ。マリアンネにとっては奇跡の街だ。そして可能性を感じさせてくれる街だ。その奇跡を実現した人物。ジグルス王がノイエーラに戻ってくる。いよいよ対面の時が来たのだ。

「あっ、マリアンネさん。お久しぶりです。お元気でしたか?」

 緊張の面持ちで待ち構えていたマリアンネに向けてのジグルスの第一声はこれ。

「…………」

「あれ? 元気じゃない? 何か問題ありました?」

「……いえ、特には」

 変わっていないとは聞いていたが、まさかここまでとはマリアンネも思っていなかった。緊張していた自分が馬鹿のように思えてしまう。

「本当に? 何かあったら遠慮なく言ってください。全てを叶えられるとは約束出来ませんですけど。では、また」

「おい!?」

 そのまま去っていこうとするジグルスに、思わずマリアンネは素で声をかけてしまう。

「ん? やっぱり、何かあります?」

「何かって……困っていることは何もないけど、いや、何もありませんけど、陛下のお時間を私ごときの為に使うのは申し訳ないとも思うのですけど……」

 話したいことは沢山ある。だが、それをどう伝えれば良いのか、求めて良いのかがマリアンネには分からない。

「何ですか、その言葉遣い? 変ですよ」

「変なのはお前だ! ……じゃなくって……えっと……普通過ぎませんか? 貴方は王で私は捕虜なのですよ?」

「でも、俺とマリアンネさんで涙の再会ってのもおかしいですよね? もしかしてそういうの期待していました?」

「……もしかしてからかっています?」

 このジグルスの雰囲気をマリアンネは知っている。揶揄われている相手が、なかなかそうとは気づかないような真面目な表情。学院時代に何度か見、自分自身も経験したことがあるものだ。

「あっ、分かりました? なんか凄い顔で待っているから」

「凄い顔って……緊張していたのです」

「俺相手に? ええ? それって何か悪いことを企んでいたってことですか?」

「そうじゃないから。国王に会うのだから緊張するのが普通ですよね?」

 ジグルスは自分自身の生殺与奪の権限を持っている。知っている仲だからといって、馴れ馴れしくは出来ない。周りの目というものもあることをマリアンネは理解しているのだ。

「そういうの良いです。まだ自分自身慣れていないのに、周りのほうは先に態度を変えてしまう。なんだか居心地悪くて。マリアンネさんは普通にしてください。臣下じゃないから、問題ないですよね?」

「問題ないと言うのでしょうか?」

「問題ありません。ああ、捕虜ではなく客人にしましょう。それなら以前と同じ態度でも不自然ではない」

「貴方は良くても……」

 自国の王に対して、ため口で話すローゼンガルテン王国人を周囲はどう思うか。とにかくマリアンネは周りの目が気になる。ジグルスの周囲にいる人たちに嫌われると自分の命を危険に晒す羽目になる。こう考えているのだ。

「構わないと思うわ。私もジークに敬語を使っているマリアンネは変に思うもの」

「……リーゼロッテ」

 会話に割り込んできたのはリーゼロッテ。彼女もジグルスと日を合わせて、ノイエーラに戻ってきていたのだ。

「久しぶりね。元気そうで安心したわ」

「リーゼロッテ!」

 リーゼロッテに飛び掛かるようにして抱きつくマリアンネ。

「ち、ちょっと、マリアンネ?」

「会いたかった。会いたかったよ。んん、懐かしい匂い。リーゼロッテの匂いね」

 リーゼロッテの首筋に鼻を寄せて、すりすりとこすりつけるマリアンネ。リーゼロッテは王妃なのだが、それは気にしていないようだ。

「ちょっと? 離れなさいよ」

「やだ。離れない。ねえ、キスする? 再会のキス?」

「離れろ!」

 まとわりつくマリアンネからなんとか離れようとするリーゼロッテ。だがマリアンネは簡単には離れようとしない。ふざけているのだが、リーゼロッテと抱き合っていると安心出来るという理由もあるのだ。

「……やっぱり、マリアンネさんは女性のほうが好きなのか」

「違うから」

 ジグルスの呟きがマリアンネをリーゼロッテから引き離すことになる。

「さて、おふざけは本当に終わりにして仕事に戻って良いですか? 色々と話し合わなければいけないことがあって」

「あっ、そうね……分かったわ」

 少なくともそれが終わるまでマリアンネは、また一人。目的のない時間を過ごすことになる。そう思うと、少し寂しくなった。これまでは感じなかった思いが、ジグルスとリーゼロッテと会って、浮かぶようになってしまった。

「……それともマリアンネさんも一緒に来ます? 新しい情報知りたいですよね?」

「……良いの?」

「聞かれて困るような話はそんなありません。もし、そういう話になった時は席を離れてもらいますから。ああ、それと少しマリアンネさんんにも聞くことがあるかも」

「……分かった。参加させてもらうわ」

 聞かれるのはローゼンガルテン王国軍について。マリアンネはすぐにそれが分かった。だからといって会議への参加を拒絶する気にはならない。ローゼンガルテン王国軍について聞かれて困るようなことは、きっと自分は知らない。こんな考えもあってのことだ。

 

◆◆◆

 マリアンネも参加して行われることになった会議。それ以外の出席者は各分野の責任者たちだ。当然、様々な種族、部族の人たちが参加することになる。顔ぶれを見た最初、マリアンネは参加を申し出たことを少し後悔した。ノイエーラに来てから他種族の人とは何度も話をしているが、そのほとんどは簡単な挨拶か世間話。相手も子供たちとその母親など話しやすい相手ばかりだったのだ。
 ただそんなマリアンネの内心の思いとは関係なく、会議は始まる。やっぱり止めておくなんてことを言い出せる雰囲気でもない。

「すでに聞いていると思うが、魔王軍との戦いは終わった。生存者は、確認出来ている範囲だけど、ほぼ全員が投降。魔族の敵対勢力はなくなった」

「嘘?」

 会議に参加したことを後悔していながら、ジグルスの報告に反応してしまうマリアンネ。魔王が倒されたという事実はそれだけ驚きなのだ。

「会議の場で嘘をついたらまずいですよね? 本当です」

「ごめんなさい。ちょっと驚いてしまって」

 自分たちが魔王を倒すのだと信じていた。だがその実現は遠い先になってしまうと思うようになっていた。ただ思っているだけでは実現出来ない。自分たちの甘さを感じていた。だが、魔王は倒された。自分たちには無理なのかもしれないと諦めかけていたことを、ジグルスは実現してしまっていた。

「魔王と彼に従っていた人たちは降伏しました。ただ、全員がこの国で生きることを了承しているわけではありません。まだ説得は続いています」

「……魔王を生かすの?」

「はい。彼はすでにアイネマンシャフト王国の民として生きることを選択しています。受け入れてくれていないのはほとんど巨人族なのですが、元魔王も一緒に説得にあたっています」

「そう……」

 魔王が臣従した。本当に生かして良いのかという思いがマリアンネにはあるが、さすがにそこまで口出しすべきではないと思って、口にするのは止めておいた。

「話を進めます。降伏した全員をここに受け入れるのは難しい。ということで、また拠点工事を行う」

「これまで建設した拠点では足りないということですか?」

 ジグルスの説明に対して、エルフ族のガンドが質問してきた。アイネマンシャフト王国はすでにいくつもの拠点、軍事目的ではあるが、を建設している。ここでさらに新しい拠点を建設しなければならない理由がガルドには分からない。

「足りないというか……拠点の作りの問題? 巨人族が暮らすには全てが小さい」

「ああ、確かに……ですが巨人族はまだ仕えると決めていないのですよね? それでこの時期に建設工事ですか?」

 仕えるかどうかわからない巨人族の為の建設工事に、次の戦いが控えている今、人手を割く余裕があるのか。ガルドが気にしているのはこの点だ。

「決めていないからこそ、必要な工事だと考えている。こちらには巨人族を受け入れる意思があることを示す。本当に加わって欲しいと思っているから、それを信じてもらう為だ」

「なるほど。そういう理由ですか」

「最終的には全ての拠点で工事を行う。でも今、ノイエーラの活動を工事で止めるわけにはいかない。そう考えて、別に拠点を作ることにした」

 ノイエーラはまだ発展途上。建設工事の為に成長を止めるわけにはいかない。他の拠点も同じ。工事中にローゼンガルテン王国との戦いになっては困るのだ。

「どこに建設するのですか?」

「シュバルツリーリエ。一度壊してからまた作り直すのは効率が悪いという意見もあったけど、基礎工事が不要な上に元々あった資材を再利用すれば、調達と輸送の手間が少なくなる。結果として早く出来るという結論になった」

「分かりました」

 シュバルツリーリエは旧リリエンベルグ公国の中心都市。かつては軍事的にも一番堅牢であった都市だ。そこをずっと遊ばせておくのは勿体ないという考えもあってのことだ。

「建設工事は実はもう始まっている。最初は今ある建物の解体工事だから資材は無用。労働力も十分だからな」

「労働力というのは降伏した者たちのことですか?」

「そう。巨人族もそれは受け入れてくれた。ノイエーラで必要な対応は資材の調達、それと細かい部分を担当する職人の派遣だな。資材についてはどうだろう? 外部調達も考えているから無理する必要はない」

 大森林地帯があるので建築資材には困らない、という考え方をジグルスは行わない。自然を大切にするというのはエルフ族、そして精霊たちと共存していく上では、決して忘れてはならないことなのだ。

「……正直、少し休ませたいところです」

「分かった。じゃあ、全て外部調達で賄おう。ああ、石材は地下での採掘も考えるけど。それと農業指導者の募集をまた行って欲しい」

「場所はどの辺りですか?」

 問いを発したいのはリリエンベルグ公爵家に仕えていたゲラート。農業関係の責任者を任されているのだ。

「東部全域。南東部はすでに着手しているから、東部と北東部か」

「戦場から遠くなるであろう場所から徐々にということですね?」

 次の戦場は南部か西部、もしくは両方から始まることになる。東部まで侵攻されるような事態になるのは、もう敗北濃厚という時。もっとも戦場になるのが遅いはずの場所から着手しようということだ。

「そう。初期の戦場でもあるので残っている人たちは少ない。魔人たちの居住地とするには今、一番適した場所と考えた」

 東部はリリエンベルグ公国と魔人軍が衝突した最初の場所。もっとも早く占領された場所だ。元々、そこで暮らしていた人族たちの多くは開戦当初に逃げ出している。またそこに戻りたいと言う人族もいるかもしれないが、それでも空いた土地は他の場所よりも多い。シュバルツリーリエ周辺の中央部を除いての話だが。

「帰還希望者を先に募らなくて大丈夫でしょうか?」

「それはもう行っている。ナーナさんたちに任せたので、全域に伝わるのにそう時間はかからないはずだ。まあ、信用されるのかという問題はあるけど」

 魔人である有翼族の話を信じてもらえるか。アイネマンシャフト王国の存在も知らない人がまだいるのだ。魔王を倒したなんて話を聞いても、すぐに信じてもらえるかは分からない。

「飛竜は使えないのですか?」

 飛竜を使えば自分たち、リリエンベルグ公国の旧臣たちが説明に回れる。ゲラートはこう考えたのが。

「運搬作業が多くて、伝達に使う余裕がない」

「そうでしたか……元の農地より広げておけば良い話ですね? 承知しました」

 あとから戻りたいという人が出てきても、割り与えられる住居と農地があれば良いこと。開墾という点においては魔族は人族に勝る。特に問題はないとゲラートは判断した。

「……それと、もう間もなくローゼンガルテン王国との戦争になるということも伝える予定だ」

「今それを行う必要がありますか?」

「守るべき人とそうでない人の区別は必要だ。ローゼンガルテン王国に残りたい人には、出来るだけ国外に出てもらう」

 アイネマンシャフト王国の民となることを強制するつもりはジグルスにはない。嫌々、国民になっても上手く行くはずがない。他種族との摩擦を生む要因になるだけ。そういう人には国に残って欲しくない。

「そのお役目は私に任せて頂けるのでしょうか?」

 割り込んできたのはヨアヒムだ。旧リリエンベルグ公国の民。説得を担うべきは自分だという思いがある。

「貴方以上の適任者はいません。リゼも説得に回ると言っていますので、分担して行ってください」

「ありがとうございます」

「……さて、戦争の話です。ローゼンガルテン王国の総大将が誰になるか、マリアンネさんは分かりますか?」

 ローゼンガルテン王国との戦いについての話。ジグルスは最初からマリアンネに問いを向けた。

「……王国がどれだけの危機感を持っているか。きちんと認識していれば王国騎士団長になると思うわ。あとは政治ね。これは私には分からない。本当よ」

 ローゼンガルテン王国にとって敗北は許されない重要な戦い。そう認識されていれば、王家の誰かが総大将になって王国騎士団長が実際には指揮を執るという形。だが今、神輿として担げる王家の人はアルベルト王子しかいない。その彼をここに送ってくるような真似はしないことは、マリアンネにも分かる。だがここまでだ。この期に及んでまだキルシュバオム公爵が政治力を行使してくるかどうかまでは分からない。

「それでも二択ということですね? ちなみにブルーメンリッターと王国騎士団長の関係は?」

「そういうことまで気になるの?」

「当然です。指揮官の間で確執があるか、そうでないのかは軍全体の動き、それに士気にも影響しますから。以前は関係が良くなかったのは知っているのですけど、今はどうなのかと思って」

「関係良くなかったの?」

 自分たちのことを王国騎士団長がどう思っているかなど、マリアンネは気にしたことがない。関係が良くないという認識を持っていなかった。

「まだ学院にいた頃の話です。王国騎士団長もまた英雄になりたかったのではないですか?」

 魔人戦の勝利は軍の、国王を除いてだが、頂点にいる王国騎士団長の手柄。それを、まだ若いブルーメンリッターのメンバーたちに奪われることを良く思うはずがない。

「……ほとんど話すことはなかったから」

 英雄になる為の段取りは全てキルシュバオム公爵家が行ってくれた。王国騎士団長と何かを調整することなどなかったのだ。あったとしてもそれはエカードの役目で、やはりマリアンネには接する機会はなかっただろうが。

「王国騎士団長にとってはこれが最後の機会。はりきって来る可能性はありますか……それがどう影響するかですね?」

「……貴方たちにとっては騎士団長のほうが手強いと思うわ」

 エカードでは全軍を統率出来ない。騎士や兵士たちの信頼を得られていない。マリアンネはこう思うようになった。多くの犠牲者を出すばかりで、まともに勝利したことなど一度もない指揮官。信頼されるはずがないのだ。

「そうでないと騎士団長でいるのはおかしいですよね?」

「確かに」

 軍の頂点にいるのだ。もっとも優れた指揮官であるのは当たり前のこと。

「といっても戦争は一人では出来ません。当然、一人の力で勝つことなんて出来ません」

「……そうね」

 そうであるのに一人の英雄を作り出そうとしていた。ジグルスの話がマリアンネには嫌味に聞こえた。実際にはジグルスにそんなつもりはない。英雄に頼らない戦いは、学院時代からジグルスが考えていたこと。それは今も変わっていない。今のジグルスでは説得力はかなりなくなったが。

「本当に分かっています? ローゼンガルテン王国軍からは、指揮官クラスがかなりいなくなっていると言っているのですけど」

「指揮官クラスがいなくなっている?」

 マリアンネは分かっていなかった。知ってはいるのだ。ただそれを意識して考えたことがないだけで。

「キルシュバオム公爵家がローゼンガルテン王国の実権を握ってから、かなりの数が離脱したり、戦場で亡くなったりしているはずです。しかも私が知る限り、空いた穴を埋めることをしてきていない」

 ワルター元王国騎士団副団長を筆頭に多くの騎士が王国騎士団から抜けた。魔王軍との戦いで多くの指揮官が亡くなった。ローゼンガルテン王国軍全体が弱体化している。そのきっかけを作ったのはキルシュバオム公爵家の反逆だ。ジグルスが口にすることはないが、主人公であったユリアーナのローゼンガルテン王国からの離脱だ。

「それって……私たちも……」

「そうですね。私が知っている顔はかなり減っているのでしょうね? 何人かは立場を変えて、ここにいますけど」

 ジグルスたちの世代でもっとも優秀な戦士たち。魔王を討って、英雄になるはずだった人たち。だがそれを実現することなく、その彼らはブルーメンリッターを去った。まして主人公のいないブルーメンリッターが、魔王軍に勝てたはずがない。これもジグルスは口にしない。

「……私は貴方たちに救われたのね?」

 ローゼンガルテン王国軍は弱体化している。その状態で旧リリエンベルグ公国領、アイネマンシャフト王国に攻め込むことは正しいことなのか。マリアンネは、本当の意味で、ローゼンガルテン王国軍に対する不安を感じた。大国ローゼンガルテン王国は敗北で終わってしまうのではないかと思った。
 その戦場に自分がいることはない。それは幸運なことかもしれないとマリアンネは思えた。

「それはどうでしょう? 総合力ではローゼンガルテン王国が遥かに上。まだ勝敗は分かりません」

「でも負ける気はないのでしょ?」

「負けるわけにはいかないということです。その為に出来ることの全てを行うだけです」

 マリアンネが思うほど、決着は簡単ではない。ただ戦いに勝てば良いというものではないのだ。アイネマンシャフト王国を戦場にし続けるわけにはいかない。それでは人々は安心して暮らせない。国は豊かにならない。
 ローゼンガルテン王国から侵攻の意思を奪う。そんな戦い方をしなければならない。その為には何が必要か。何を行い、何を実現しなければならないか。それをジグルスたちは考えているのだ。