月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-黒と白の動乱記

黒と白の動乱記 第14話 面倒ごとが増えていく予感

任務を終えた第十特務部隊。部隊として認められる戦功はなかったが、隊員である白夜の働きはかなり高い評価を得ることになった。これは白夜個人のことであっても、部隊として喜ぶべきことだ。喜ぶべきことであるはずなのだが、部隊にはそういう雰囲気はない…

黒と白の動乱記 第13話 ありがた迷惑という言葉を知ってほしい

任務を終えて、帝都に帰還した白夜。旅の汚れを落とし、腹ごしらえをし、銀子と音子と三人での談笑の時間を過ごしたあとは、早めの就寝。実際に寝たわけではない。音子を自分の部屋で寝かせ、銀子と二人の時間を楽しんだのだ。今回は二人にとって出会ってか…

黒と白の動乱記 第12話 かなり驚いています

戦いは帝国軍が呆気なく感じるほどに一気に終結を迎えた。当然、帝国軍の勝ちだ。帝国軍右翼の攻撃により対峙していた領主軍は崩壊、さらにそれは中央の部隊にも波及し、総崩れとなった。そうなると裏切って、帝国軍本陣と対峙していた領主軍は孤立。抗うこ…

黒と白の動乱記 第11話 これも成り行きというのだろうか

戦いは乱戦模様。そうなるように領主軍側は試みている。そうでなければ勝ち目はない。そう考えているのだ。正しい考えだ。陣形を整えている帝国軍に攻撃を仕掛けても跳ね返されるだけ。将兵の質が根本的に違っているのだ。 領主軍としては帝国軍の陣形を崩し…

黒と白の動乱記 第10話 想定外のことばかり

御剣(ミツルギ)瑛正(エイセイ)率いる第一軍派遣部隊に与えられた任務は領主間の争いを収めるというもの。争いは農業用水の配分を巡ってのものだ、今年は雨が少なく両領国が利用している治水池の水量が十分ではなくなった。双方、自領に必要な水量の確保…

黒と白の動乱記 第9話 仕事があるのは悪いことではない

白夜の怪我は完治している。出血や傷の深さの割に体の奥のダメージは少ない。そうなるように攻撃を受けたおかげではあるが、回復力の異常さも化物(ケモノ)の能力だ。生まれ持った力ではない。魔力の活用とそれを怪我からの回復に作用させる術を知っている…

黒と白の動乱記 第8話 これもすれ違いというのだろうか?

鳳凰国皇帝が住まう帝城のすぐ近くに帝国軍施設はある。帝城を中心に、東に位置するのが第一軍の施設。西が第二軍で南が第三軍といった配置だ。北にも、帝国軍移設に比べるとかなり規模は小さいが、皇帝の護衛を務める近衛武士団の施設があり、帝城の四方を…

黒と白の動乱記 第7話 鍛え直すことになった

鳳凰国の軍、帝国軍の統帥権は皇帝にある。実際に皇帝が軍を率いて出陣したことなど、今の時代の人では答えがすぐに浮かばないほど、遠い昔のことだが、建国以来、それは変わっていない。軍の統帥権だけでなく、すべての最高権限は皇帝が持っている。政治も…

黒と白の動乱記 第6話 DIYを始めてみた

白夜は翌日から早速、部屋の改装に取り掛かった。軍の仕事は休み。さぼりではない。任務中の負傷ということで公傷扱い。治るまで休みをもらえるのだ。 改装は思いつきで始めるには大変な作業だった。まず材木屋に行って、大きな板を購入。それを家まで運ぶだ…

黒と白の動乱記 第5話 同居人が増えました

任務の帰り道は行きとは別ルート。里がある小さな盆地から西に向かって、山を三つ超える。行きよりもかなり険しい道のりを進むことになったが、山を超えてからは楽だった。行きに下った川の上流に出て、船で下れば、そこは帝都のすぐ近く。日数としても短か…

黒と白の動乱記 第3話 初出勤は少し緊張します

鳳凰国の軍は三軍で構成されている。一軍一万、三軍で三万。これは平時の数で、戦時は徴兵が増え、数は倍にも三倍にも、それ以上にもなる。ただ徴兵は人手を奪い、国の生産能力を低下させることになるので、むやみやたらと数を増やすことなどない。それを行…

黒と白の動乱記 第2話 世の中は不公平、だから?

六百年を超える陽皇家による支配体制も揺らぎを見せ始めている。原因は地方が力を持ったこと。拡大し続けてきた支配領域を皇帝自らが直接統治することなど不可能。国司と呼ばれる、皇帝に代わって行政を行う官僚を送り込むjことで地方を治めるようになった…

黒と白の動乱記 第1話 終わりと始まりの時

四方を山に囲われた盆地にその里はある。今は「あった」と過去形を使うべきかもしれない。里の建物は、そのほとんどが燃え尽き、あちこちから白い煙があがっている。地面に転がるいくつもの死体。多くが子供で、手を、足を切り取られ、無残な姿を晒している…

黒と白の動乱記 プロローグ

夜空をゆっくりと流れる雲が月を隠し、辺りは闇に包まれている。耳に届くのは虫の音。だが今の彼に風流を楽しむ余裕などない。闇の中を動く人の影は見えない。足音も聞こえない。それでも人はいる。同じように闇に潜む彼を探す者たちが。 突然の襲撃だった。…