月の文庫ブログにて掲載している小説の一覧です。話数が増えてくると、ブログ形式では第一話を探すのが面倒かと思って、このページを用意してみました。 ※2019年11月20日「全話一覧」へのリンク追加 少しずつですが掲載小説は増やしていきたいと思っています…
リルは、他の使用人たちがいない、専用の宿舎で暮らしている。前任者が使っていた場所をそのまま与えられたからだ。何故、前任者はこのような特別待遇を得られたのか。レイヴンの世話を出来る馬飼がその人しかいなかったからだと、リルは思っていたが、実際…
騎士養成学校。正式名称は帝立帝国騎士養成学校だ。歴史は長くて百年近くになる。それでも帝国建国からは二百年以上経ってからの創立。それは帝国騎士団の要員不足が問題化したのが、その頃だったからだ。騎士養成学校は定員不足、成り手不足を補う為に広く…
リルはまたイザール候に呼び出された。今回は用件が分かっている。プリムローズを守るということを口実にして、ラークの従者を叩きのめした。相手はイザール候の息子であるラークの従者だ。咎められることは、やる前から分かっていた。分かっていたが、黙っ…
プリムローズの日常は以前とは大きく変わった。兄のローレルと共に過ごす時間以外は、自室に引きこもって本を読み続けている毎日だったプリムローズ。今は違う。午前中は第二馬場に行って馬術の稽古、といってもルミナスの朝の運動時間に乗り手となっている…
リルの毎日はレイヴンとルミナスの二頭の馬の世話、それとプリムローズ、そしてローレルの世話、という言い方はローレルが怒るだろうが、も加わった。馬に乗る練習だけでなく、剣の訓練についても二人一緒に行うことになったのだ。 リルとしては、本音は、迷…
リルはイザール侯に呼び出された。面と向かって会うのはこれが二度目。プリムローズを助けて、ここを訪れて以来、一度も会っていなかったのだ。別に珍しいことではない。末端の使用人が当主であるイザール侯に会うことなど、滅多にあることではない。母屋で…