月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-悪役令嬢に恋をして

悪役令嬢に恋をして #82 エアリエルの決意

王太子の婚姻は、当人たちの同意だけで決められるものではない。これは、偽装でなくても同じだ。そもそも、王族や貴族の結婚に、本人たちの意思など関係ないのだ。 シャルロットとの結婚について、アーノルド王太子が了承とまではいかないまでも、前向きに考…

悪役令嬢に恋をして #81 シャルロット・ランチェスターの決意

ソルがエアリエルの部屋の前に辿り着いた時は、事態は少し落ち着いていた。そうは言っても、ただ刃物がしまわれているというだけで、扉の前に陣取る近衛侍女と、王国の近衛騎士たちの間には、睨み合いが続いている。 それを、騒動を引き起こした張本人である…

悪役令嬢に恋をして #80 ソル・アリステスの決意

バンドゥへの行軍を急いでいたアーノルド王太子たちではあるが、当然と言うべきか、救援には間に合わなかった。行程を半ばも行かないうちに戦いが終わったとの情報を聞き、更に先に進んだ所で戦闘に参加したバンドゥ領軍のかなりの人数が討ち死にしたと聞き…

悪役令嬢に恋をして #79 結局、これはバッドエンドなのかハッピーエンドなのか?

魔神がその全容を現すまでに、そう時間が掛からなかった。もっとも、じっと魔神の様子を見ていた者も、何が全容なのかは分からない。それだけ異質な存在なのだ。 パッと見た感じは動物というよりは巨大な植物だ。もしくは、とてつもなく大きなミミズが何百匹…

悪役令嬢に恋をして #78 イベント:最終決戦その三

地下通路を進み、奥に進むとすでに魔人が待ち構えていた。いつもの事だ。何らかの方法で、グランフラム王国側の動向を監視しているのだ。 前に進み出たのは、マリアとアーノルド王太子、そしてエルウィンだった。マリアの希望を飲んでのことだ。 カシスたち…

悪役令嬢に恋をして #77 イベント:最終決戦その二

早朝のカマークの街に、耳をつんざくような鐘の音が鳴り響いている。非常事態の発生を告げる鐘の音だ。これは、カマークの住民たちに聞かせるというものではなく、バンドゥ領全土に知らしめる為のもので、カマークの鐘を受けて、周囲の村でもすでに鐘が鳴ら…

悪役令嬢に恋をして #76 イベント:最終決戦その一

バンドゥに戻って、これからの事をゆっくりと考えるつもりだったリオンだが、周囲がそれを許してくれなかった。リオンが行方不明だった王子だったという噂は、あっという間に広まっていた。もちろん、あくまでも噂としてであり、広まる先も貴族たちに限って…

悪役令嬢に恋をして #75 動き出す者、動けない者

魔人との決戦に向けた準備は着々と進められている。やるべき事がはっきりとしたのだ。こうなれば、グランフラム王国の文武官には、それを着実に進める力はある。 ただ、この事と、決戦までにはまだ時間が掛かるという状況が、別の問題を人々の意識に上らせる…

悪役令嬢に恋をして #74 揺れる気持ち、変わらぬ気持ち

リオンが去った後の謁見の間は、国王夫妻がその場に居るにも関わらず、大騒ぎになった。行方不明だった王族が見つかった。しかも王女ではなく王子であったとなれば、騒がずには居られない。これがリオンでなければ、この場に居る者たちも、もう少し落ち着い…

悪役令嬢に恋をして #73 明らかになった真実

グランフラム王城の謁見の間は、異様な雰囲気に包まれている。反乱を噂されていたリオンが、近衛騎士団長を派遣するという異例な対応の甲斐があって、ようやく召喚に応じて王都にやってきたのだ。しかも、国王と王妃が揃って謁見するという、厚遇とも受け取…

悪役令嬢に恋をして #72 隠れている真実

カマークの城の会議室。到着してすぐに近衛騎士団長は、そこに通された。一息付く前も与えられない慌ただしさだが、近衛騎士団長にも文句はない。事態の収拾を急ぎたいのは、近衛騎士団長の方なのだ。 通された会議室には、極限られた人数だけが集められてい…

悪役令嬢に恋をして #71 収束に向けて動き出す者たち

リオンはグランフラム王国どころか、その周辺国においても注目の的となっている。先の戦いで、単独でメリカ王国に攻め入って、戦女神とも呼ばれているオリビア王女を捕虜にするという大功をあげた。それだけで驚きなのに、自国に戻るとすぐに反乱を疑われる…

悪役令嬢に恋をして #70 フレイ子爵の反乱

メリカ王国のオリビア王女が捕虜になっている。この事実をグランフラム王国は、事もあろうにメリカ王国から教えられて初めて知った。戦後の交渉の為にと現れたメリカ王国の使者が真っ先にこれを話したのだ。 全く事情を知らないグランフラム王国側の交渉担当…

悪役令嬢に恋をして #69 戦いの結末は、次の戦いの始まり

オクス王国との国境に後少しの位置まで、グランフラム王国の軍勢は退却してきた。後は、国境の緩衝地帯となっている丘陵地を超えるだけ。それで、オクス王国の領内に逃げ込む事が出来る。 だが、その丘陵地の入り口でグランフラム王国軍は移動を止めて、陣形…

悪役令嬢に恋をして #68 立場逆転中

グランフラム王国とメリカ王国の戦いは、結果としてグランフラム王国側の勝利で終わった。王都攻略を目指して、侵攻してきたメリカ王国側が、その目的を果たすことが出来なかった、というだけでなく、勝敗がはっきりと分かるほどの損害をグランフラム王国は…

悪役令嬢に恋をして #67 裏イベントは終わらない

メリカ王国との戦いが進んでいる中、アーノルド王太子たち、魔人討伐軍の一行は、任務を終えて帰途についていた。 マリアしか分かっていない事だが、後半パートも終盤に差し掛かっている。魔人との戦いも架橋を向かえ、より一層厳しい戦いとなる、はずなのだ…

悪役令嬢に恋をして #66 裏イベント:メリカ王国迎撃作戦

最終的にメリカ王国迎撃戦におけるリオンの立場は、情報統制官というものに落ち着いた。戦地での様々な情報を収集し、それを分析し、分析に基いて自軍が行うべき行動を指揮官に進言する。 決定権がないだけで、やらされる事は同じだ。指揮権を無くし、情報統…

悪役令嬢に恋をして #65 凡王にも野心がある

結局、国王に押し切られる形で、メリカ王国に最大限の損失を与えるという目的の作戦をリオンは考えさせられた。考えなければ、別の者に考えさせた上で、リオンも作戦に参加させるという、脅しのような言葉を国王に告げられたのが決め手だった。 自分に自信が…

悪役令嬢に恋をして #64 何かが少し変わっている

アーノルド王太子たちは、魔人討伐軍本隊より、少し先行して王都に戻っていた。今回は凱旋式などなし。速やかに王都に入城するようにとの指示を受けての事だ。 実際に王都に入っても、勝利を祝う雰囲気はない。それどころか、どこか張り詰めた雰囲気が王都に…

悪役令嬢に恋をして #63 敵役はどっち?

魔人討伐任務を終えて王都への帰路。アーノルド王太子は、宿舎の食堂の椅子に座って、届いた書状に目を通しては、溜息をついていた。内容としては自分の思っていた通り。だが、その自分の考えを押し通せなかった事を悔やんでいるのだ。 今回の魔人討伐の舞台…

悪役令嬢に恋をして #62 交わらない二人

オクス王国のアレックス王子との対面が終わったあと、リオンはしばらく黙り込んでいた。短い対談の中にも気になる情報がいくつもあった。色々と考えるべき事があるのだ。 その中で一番気になったのは魔物がグランフラム王国にしか現れていない可能性。もし事…

悪役令嬢に恋をして #61 隣国からの使者

マーキュリーとソルの決戦の日、と言うには少々大袈裟過ぎた。決着はあっという間についてしまったからだ。マーキュリーは、バンドゥの若手の中では一、二を争う使い手だが、如何せん相手が悪すぎた。 ソルは王国騎士の精鋭である近衛騎士の中で、いずれは最…

悪役令嬢に恋をして #60 バンドゥへの帰還

王都からバンドゥへの帰路は、下手な行軍訓練よりも遥かに厳しいものだった。リオンが進む足を急がせたのだ。本来であれば、各街に寄って、レジストの者たちに状況を確認しながら、帰るつもりだったのだが、近衛騎士と同行している状況で、そんな事が出来る…

悪役令嬢に恋をして #59 心と心

リオンは子爵となった。リオン・フレイ子爵。爵位が変わっただけだ。領地はバンドゥのまま、一寸の領地も増えることはなかった。与えられた報奨金は大金ではあるが、領政として新たな何かが出来るほどのものではない。あげた戦功に比べれば、明らかに少ない…

悪役令嬢に恋をして #58 英雄の誕生

近衛騎士ソル・アリステスはいつになく緊張していた。理由は明確。今、ソルの目の前に居るのは、自分の組織の頂点である近衛騎士団長と、全ての近衛騎士が忠誠を捧げるべき相手、国王陛下なのだ。 平騎士である自分がどうしてこの場に居るのか、はソルも分か…

悪役令嬢に恋をして #57 束の間の休息

何かと周囲を悩ますリオンだが、その影響を受けた者がまた一人増えた。近衛騎士のソルだ。戦いを共にはしていたが、常に一定の距離感を保って、ソルはリオンに接していた。 何故かと聞かれてもソルは何も答えられない。敢えて答えれば、近づいてしまうと、ず…

悪役令嬢に恋をして #56 届かぬ思い

ニガータでの戦いについての反省会を終えて、リオンもエアリエルと二人、のつもりだったが、シャルロットが付いてきたので、三人で食事に出た。初めての街なので適当に店を選んでなどという事はなく、戦いの前から美味しいと評判の店を予め調べさせて予約ま…

悪役令嬢に恋をして #55 マリアの焦り

ニガータ防衛戦の勝利を祝っての宴、は今回開かれなかった。本隊を率いていた王国騎士兵団長が望まなかった事、そして、それに誰も文句を言わなかったからだ。 マリアたちは王国騎士兵団長と同様に勝利の喜びよりも、リオンに出し抜かれた事への悔しさの方が…

悪役令嬢に恋をして #54 イベント:ニガータ防衛戦

ニガータ防衛戦における主戦力は、王国騎士兵団の五千。それに遊撃部隊として、ニガータ周辺に配置した各二千の三部隊。合計一万一千である。さらに予備兵力として、ニガータ及び周辺の貴族領軍が六千いる。 王国に油断はない。ニガータの防衛にあたって、万…

悪役令嬢に恋をして #53 バンドゥの剣

リオンたち、別働隊の今日の宿泊地は、ニガータに続く街道沿いにある街マーバスだ。王都を出て北に向かう街道を進むと最初に辿り着く城塞都市だ。 千人程度の軍勢であれば、軽く収容出来る規模を持っているので、リオンはここを最初の集合地点と決めていた。…