月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-異伝 ブルーメンリッター戦記

異伝ブルーメンリッター戦記 #73 新たな物語は新たな登場人物を必要とする

キルシュバオム公国での戦いはローゼンガルテン王国軍の優勢で進んでいる。ただあくまでも現時点で考えた場合の優勢だ。魔人軍の侵攻を許し、いくつかの拠点を奪われているという事実は変わらない。 魔人軍はラヴェンデル公国軍での戦いとは異なり、拠点確保…

異伝ブルーメンリッター戦記 #72 老戦士はただ去るだけでは終われない

街道を力ない足取りで南下する人々の列。その最後尾には、前を歩く人々とは異なり、きちんと隊列を整えて歩く軍人たちの姿がある。リリエンベルク公国の中心都市シュバルツリーリエから逃れてきた人々だ。 今のところ魔人軍の襲来はない。だからといって、そ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #71 主人公が多くの人の心を捉えるのに手段は問われない

キルシュバオム公国南西部。エカードたち花の騎士団が向かった戦場では激しい戦いが行われていた。キルシュバオム公国に侵攻した魔人軍はおよそ五万。それに対してローゼンガルテン王国とキルシュバオム公国の連合軍は三万。数の上で劣勢だ。さらに質の上で…

異伝ブルーメンリッター戦記 #70 何故物語は悲劇を求めるのか

リリエンベルク公国領に侵攻した魔人軍は三万。その第一報を聞いたリリエンベルク公爵が懸念した通り、その軍はほぼ魔人だけで編成された精鋭と呼べる軍だった。 その魔人軍に対してリリエンベルク公国軍は善戦した。兵を鍛えるだけでなく、防衛線と定めた地…

異伝ブルーメンリッター戦記 #69 今もまだ世界は定められたストーリーで動いている

花の騎士団の行軍はかなりその様相を変えている。隊列を整えて進むのではなく。バラバラに走っているのだ。移動中も兵士を鍛えようというクラーラの提案を、エカードはこういう形で実現していた。 これにより行軍速度は大いに速まった、とはならない。永遠に…

異伝ブルーメンリッター戦記 #68 主人公の能力の活かし方

エカードが率いる六千の軍勢、花の騎士団=ブルーメンリッターは最短経路を選んでキルシュバオム公国に向かっている。ローゼンガルテン王国の西端近くから魔人軍が現れたというキルシュバオム公国、ローゼンガルテン王国領としても南西部にまっすぐ進む道を…

異伝ブルーメンリッター戦記 #67 なるようになるは諦めではない

空に伸びる木々はその高さを増し、密度もこれまでとは明らかに違っている。人が踏み入った気配のまったくない森の奥。そこを一人、ジグルスは歩いている。 心に浮かぶのはわずかな後悔。もっと偵察を重ねてからのほうが良かったかという思いだ。だがその考え…

異伝ブルーメンリッター戦記 #66 交わった物語がまた分かれていく

一軍六千を率いてキルシュバオム公国に転戦することになったエカードたち。だからといってすぐに移動出来るわけではない。軍の再編についてこの戦場に残るラードルフ総指揮官との調整が必要だ。 兵士についての調整は簡単だ。エカードたちが所属していた軍の…

異伝ブルーメンリッター戦記 #65 裏表

リリエンベルク公国軍に割り当てられた陣営はそれほど広くはない。もっとも人数が少ない部隊なのだから当然ではある。ただその狭さはあくまでもここまでが陣営と線を引いた、実際には線ではなく壕で区切られている範囲内でのこと。その壕の外に出れば、訓練…

異伝ブルーメンリッター戦記 #64 物語が加速する

ようやく魔人軍に動きがあった。膠着気味であった戦況もこれで動くはずだ。ローゼンガルテン王国軍にとって待ちに待った、なんていえる状況ではない。一日でも早い戦争の終結は強く望んでいるが、 激しさを増すことまで求めているわけではない。だが今回の動…

異伝ブルーメンリッター戦記 #63 主人公しか知らない物語

戦いの頻度が少なくなっている。魔人軍からの攻撃が減っているのだ。いよいよ撤退したのか、と喜んだローゼンガルテン王国軍であったが、さすがにそれは甘い考えだった。偵察で飛ばした飛竜は魔人軍の存在を、それも依然として大軍であることを確認して帰っ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #62 まさかの接近

戦況は一変した。道の拡張と砦の建設工事。その場はローゼンガルテン王国軍にとっては奇襲に怯える場所ではなく、敵を罠にかける場所に変わっているのだ。奇襲を狙って森に潜んでいる魔人軍に対して、ジグルス率いるリリエンベルク公国軍は片端から襲撃を行…

異伝ブルーメンリッター戦記 #61 主人公の思い

多くの木々が空に向かって伸びている。その先は雲ひとつない晴天。青々とした空に太陽が浮かんでいる。だが陽の光は生い茂る葉に遮られて、ほとんど地上に届かない。届く必要もない。陽の暖かさを、青空の美しさを喜ぶ余裕など、地上で殺し合いを行っている…

異伝ブルーメンリッター戦記 #60 一つの物語が終わりに近づいている

ローゼンガルテン王国軍の陣営のほぼ正面から森の奥に伸びる道。もともとは猟師やきこりなど森で育まれる資源で、生活の糧を得ている人たちが使っていた道だ。 かろうじて荷馬車が通れるくらいの道幅だったそれは、今はその何倍もの広さになっている。多くの…

異伝ブルーメンリッター戦記 #59 モブキャラ舞台に昇る

ローゼンガルテン王国の西、ラヴェンデル公国の西端にも、東の大森林地帯ほどの規模ではないが森が広がっている。隣国との国境となる山岳地帯から広がっている森だ。 戦場はその森の中に移っている。一進一退の攻防を繰り広げた結果、なんとかここまで魔人軍…

異伝ブルーメンリッター戦記 #58 激戦の始まり

前線は両軍が入り乱れての混戦となっている。どちらが優勢かは最前線で戦っている騎士や兵士には分からない。考える余裕もない。 群がる魔物、それに混ざって現れる魔人。魔物に対抗させようと兵士を前に出せば魔人に、実際は力ある魔物である場合もあるが、…

異伝ブルーメンリッター戦記 #57 舞台の上では

兵士たちの休憩時間。いつものようにジグルスにとっては個人の鍛錬を行う時間だ。だが今日に限っては、その中身は少し違っている。ジグルスの目の前に立っているのは父親のクロニクス男爵ではなく、母親のほうだった。母親と立ち合いを行うことになったのだ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #56 主人公たちの戦いが始まる

ラヴェンデル公国の中心都市リラヒューゲルから真っ直ぐ西に移動した位置にある平原地帯ドゥエルヴィーゼ。そこが魔人軍との会戦の場となった。 魔人軍十万に対してローゼンガルテン王国軍、ラヴェンデル公国軍の二軍を含めて、は総勢二万四千。数の差は圧倒…

異伝ブルーメンリッター戦記 #55 開戦

――その日は突然やってきた。 すでに一年近く前からローゼンガルテン王国は戦時体制に移行し、開戦に備えてきたのだが、多くの人々がそういう感覚を持ってしまうほど、何の前触れもなく魔人軍は現れた。ローゼンガルテン王国の西の国境、ラヴェンデル公国領に…

異伝ブルーメンリッター戦記 #54 重なる影

リリエンベルク公国の都市シュバルツリーリエ。公国領のほぼ中央にあるリリエンベルク公国の政治、軍事、そして商業の中心となる都市だ。その場所に公主であるリリエンベルク公爵家の本屋敷がある。 リリエンベルク公爵家は四公爵家の中でも、もっとも芸術や…

異伝ブルーメンリッター戦記 #53 再会の時

ジグルスが教官となっている新設部隊は、リリエンベルク公国軍特別遊撃隊と名付けられた。リリエンベルク公爵が自ら行った視察の結果、公国軍の正式部隊として認められたのだ。 視察時にリリエンベルク公爵が残していった二百名、それにさらに三百があとから…

異伝ブルーメンリッター戦記 #52 正しいのは誰?

ローゼンガルテン王国が戦時体制に移行して半年以上が過ぎているが、魔人との戦いは始まっていない。それは王国にとって良いことばかりではない。今はもう悪いことのほうが多くなったという状況だ。あくまでも、平和であるという、どれだけ悪いことが増えて…

異伝ブルーメンリッター戦記 #51 モブキャラ増員

寒さも緩み、春の訪れを感じられるようになったリリエンベルク公国北部。雪の消えた、決して広いとはいえない街道に何台もの馬車が連なっている。その中でも一際豪華な馬車。鎧姿の騎士が乗る馬に周囲を囲まれて進んでくるそれは、リリエンベルク公爵が乗る…

異伝ブルーメンリッター戦記 #50 主人公は誰?

広大な王城の敷地のすぐ隣に王国騎士団の施設はある。隣といっても、実際にはほぼ一体化している。王国騎士団の施設もまた、いざという時には敵の侵入を防ぐ防御施設となるのだ。 その施設のひとつである第三訓練場。いくつかある王国騎士団の訓練場の中でも…

異伝ブルーメンリッター戦記 #49 家族として

リリエンベルク公国はローゼンガルテン王国領の中で、もっとも北に位置する。さらに北東に位置する大森林地帯に近い土地のように人の往来が難しくなるほどではないが、それでも冬の寒さが本格化する年明けとなると領地のほとんどが雪に覆われることになる。…

異伝ブルーメンリッター戦記 #48 モブキャラは先駆者

ジグルスが教官を務める新設部隊の鍛錬は、学院の同級生たちが加わったことにより、さらに激しさを増している。中身は以前と変わらないのだが、いくらジグルスが頑張っても全員には目が届かなかった問題が解消されたのだ。それにより兵士たちは益々気を抜け…

異伝ブルーメンリッター戦記 #47 目標は脱モブ

周囲に広がるのはのどかな風景。わずかな畑地とそれの何倍もある牧草地の中を、都市部とは異なり整備が行き届いていない荒れた道が遠くまで伸びている。遠くに見えるのはローゼンガルテン王国の北東に広がる大森林地帯、それに繋がる大山脈だ。すでに大山脈…

異伝ブルーメンリッター戦記 #46 主人公補正?

ジグルスが去った後のローゼンバッツ王立学院。学院イベントは期待通りの結果に終わり、生徒たちの雰囲気は全体的に良くなっている。貴族の生徒と平民の生徒との間の交流に関しては、探り探りの部分はかなりあるが、少なくともネガティブな行動をとる生徒は…

異伝ブルーメンリッター戦記 #45 物語の分かれ道

会場にいるほぼ全ての生徒たちが踊りに参加している。その様子を壇上から眺めているエカードは満足そうだ。これがエカードの望んでいた形。学院行事のお祭りは貴族の生徒たちと平民の生徒たちとの間にあった垣根を取り払い、全員が楽しめるものになっている。…

異伝ブルーメンリッター戦記 #44 登場人物がまた増えた

ユリアーナの卑劣な謀を知っても、それに怯えることなくクラーラは活動を継続している。実際に襲われることになっていれば、また違った決断をしたのかもしれないが、ジグルスのおかげでその身を傷つけられることはなかった。以前よりも闘志を燃やしているく…