ファンタジー小説-奪うだけの世界など壊れてしまえば良い
今更だけど、王国は妹とウィリアム殿下の結婚を意地でも阻止したいのだろう。今回の野外授業でも王国の力が働いた。調べなくてもこれくらいのことは分かる。 このタイミングで聖女を認定したのがそれを示している。聖女を認定した上で、その彼女とウィリアム…
聖女が認定された。これでミネラウヴァ王国には勇者と聖女が揃ったことになる。勇者であるウィリアム第二王子が正式に勇者として認定されたという話は聞かなかったけど、今更、それに拘る必要はないのだろう。何に基づいて勇者と聖女が認定されるのか分から…
国内に潜む悪魔の掃討作戦が進行している。カンバリア魔王国を刺激することになるかもしれない作戦だが、実行しないわけにはいかなかった。王立騎士養成学校の野外授業でウィリアムが悪魔に襲われた。それ以外にも、悪魔による王立騎士養成学校侵入未遂事件…
ミネラウヴァ王国騎士団には七星将と呼ばれる騎士たちがいる。七星将なんて、いかにもゲーム世界という感じ。ただこの世界がゲーム世界だとして、どういうゲームなのか。 現在、最有力は「夢のハーレム実現ゲーム」。主人公がエミリーなので、個人的にはエロ…
勇者候補を招いた王家主催のパーティーは城内の会場で行われる。城の入口からもっとも近い会場だ。勇者候補のほとんどは平民。いくつかある会場の中でも最も格が低い会場が選ばれたということだ。といっても王家主催のパーティーに招待されることがただ事で…
この女の図々しさに比べれば、クリスティーナの言葉を誤解して舞い上がるくらい可愛いものだ。少なくとも周囲を困らせることはない。いつもこんな感じで、この女は人の優しさにつけこみ、他人のものを奪っていくのだろう。自分にはそれが許されると思ってい…
最悪だと思っていた野外授業だったけど、まったく無意味というわけではなかった。価値ある、かはまだ分からないけど、情報も得られた。エミリーは転生者。それも元の世界での俺を知っている同級生、か同じ学校の生徒。これは確実。あいつだと断定出来そうで…
彼女が何を考えているか分からない。自分一人で、このメンバーの中に入ろうと、どうして思えるのか。それともこれはただの偶然なのか。偶然、いつものメンバーになったところに彼女だけが紛れ込んできただけなのか。 そんなはずはない。学校側が本当に今回の…
状況は最悪。今はとにかくウィリアム王子との関係改善を実現すること。その為には悪役令嬢クリスティーナとの停戦も止むを得ない。イーサンとアントンは相談して、こう決めたと伝えてきた。私も賛成。ウィリアム王子とは会話どころか会うことさえ出来ない。…
勇者と聖女。近い将来、肩を並べて魔王と戦う二人が今、共にいる。こんな風に思える人は今この場にはいないだろう。王子様は完全に聖女候補を無視している。無視というより、クリスティーナしか見えていないが正しいのかもしれない。あくまでも女性の中では…
新年の賑わいも落ち着き、王立騎士養成学校は平常運転に戻った。入学して、もうすぐ一年という時期になって思ったのは、この世界の学校は結構、ハードということだ。夏休みがない。冬休みも大晦日から二日までの三日間しかなく、春休みも同じ三日らしい。長…
異世界転生の始まりは最高だった。ミネラウヴァ王国の貴族の中で頂点に立つウォーリック侯爵家の跡取りという立場。元の世界でも何不自由のない暮らしと言える裕福な家で生まれ育ったが、身分制のある世界は贅沢のレベルが違う。 子供の頃から何人もの従者、…
王立騎士養成学校の新年祝賀会。ここでもアントンたちは仕掛けてきた。この執念はどこから生まれるのだろう。ここまでとなると怒りを通り越して、恐怖さえ感じる。 王立騎士養成学校の学生たちによって、クリスティーナの新年祝賀会への参加反対の署名が学校…
王家の恒例行事、新年を祝う会に出席していたら、ウィリアム殿下からの伝言を受け取った。閉会後に、正確には王家の方々が退席された後の時間で、話がしたいという内容。また何かが起きたのか。そう思ってしまった。 新年を祝う会も、本音では、出席したくな…
ミネラウヴァ王国では毎年、王家主催で新年を祝う宴が開かれる。恒例行事というものだ。正直、煩わしいという気持ちが強い。招待客の数は百を優に超える。貴族、王国の官僚と王国騎士団の中でも上位者、そして神殿関係者と御用商人も宴に招待される。王都に…
この世界ではどうすれば強くなれるのか。スキルを増やすこと、スキルを成長させること。自分自身のレベルをあげること。簡単に言うとこれだ。もっとも分かりやすいのはレベルを上げること。敵を倒せば良い。魔物でも魔獣でも悪魔、魔人族でも、そして人族で…
パトリオットの騎士候補が一人増えた。正しくは騎士候補見習い。卒業後に騎士になる保証はない。本気でパトリオットの騎士候補見習いをやる気があるのか、まだ疑っている状況なので、今はそれはどうでも良い。 出来れば、疑いは晴れて欲しい。マイルズが加わ…
リクルート活動を始めた。自分の就職活動ではなく、新しいメンバーの募集活動だ。分かっていたことだけど、簡単には見つからない。すでに優良人材は就職先が決まっている、わけではないことは分かった。貴族の学生はそういう状態なのだけど、平民の学生は違…
あらゆることが予定通りに進まない。どうしてこうなのか、理由が分からない。私に分かるはずがない。私はこの世界を知らないのだもの。 過去の記憶を取り戻したのは七歳の時。それはあまりに唐突だった。きっかけらしいきっかけは記憶にない。朝起きたら、自…
パトリオットと過ごす時間が増えている。自分の立場は、クリスティーナではなく、パトリオットの騎士候補見習い。そうであるのに、この数か月、パトリオットをほぼ放置。王都にいられなかったのだから、そうなるのは当然だ。 一応は、それを申し訳なかったと…
王都に帰還した。たった一人での帰還だ。同期たちとは現地で別れた。退魔兵団の本拠地に戻るには、現地からのほうが近いからだ。彼らには本来の仕事には関係がないことに付き合ってもらった。奴らが強引に付いてきたので自分のせいではないけれど、それでク…
ダンジョンを盗掘から守る立場の駐留騎士団が盗掘を行っていた。王国騎士団にとって、大きな不祥事が明らかになった。王国騎士団だけではなく、王国の信用も傷つける事件。王国騎士団と王国の官僚たちは対応に追われている。 どうしてこのようなことになって…
真実は明らかになった。細かい点で、元々考えていたこととは違っていたが、概ね彼が話していた通りだ。ダンジョンサチュレーションを起こした犯人は駐屯騎士団の団長。きっかけも彼の言った通り、ダンジョンの奥に踏み入った結果、凶悪な魔物を刺激したとい…
魔物の脅威は去った。それは喜ぶべきことだ。だが新たな恐怖が私の心に広がっている。本来は。このような思いを抱くべきではない。彼らには感謝しなければならない。我々を、町を救ってくれたのは彼らなのだ。 私の正面に立つ黒髪の男。灰色の瞳のせいか、感…
救援要請は発した。緊急事態用の伝書鳩を使ったので、すでに王都に要請は届いているはずだ。だが、そこまでだ。救援は鳩のように空を飛んでこられない。到着するまでには、ひと月かそれ以上の期間が必要だ。その頃には、私は生きていない。私だけでなく、騎…
図書館まで付いて来るべきではないと分かっていたが、欲求を抑えられなかった。クリスティーナも同じ気持ちなのだろう。カイトは何をしようとしているのか。どう今の問題を解決しようと考えているのか。詳しい説明がないまま、別れることなど出来るはずがな…
自分は目立たないように図書館に移動します。これだけで理解出来ないほど、皆、馬鹿なのだろうか。図書館で待っているとリーコ先輩が現れた。王子様とクリスティーナ、それと退魔兵団の同期たちも一緒に。大勢でぞろぞろと、それも王子様とクリスティーナが…
王都に戻れたのは拘束から逃れて、二十日後。クリスティーナとはすぐに合流出来た。自分も脱獄してくるものと考え、ある程度離れた後は、急がないようにしていたそうだ。とりあえず、アレクを責めた。自分を置き去りにして、先に逃げ出したことを。クリステ…
ウィリアム第二王子が自ら署名した通達が届いた。地方の小領主である私のところにだ。ウィリアム第二王子と言えば、王位継承権は二番目でありながら、次期国王と目されている御方。勇者になることが約束された加護を持つ御方だ。 そのような方からどうして私…
この世界に来てから、意外と幸運に恵まれている。なんてことを考えたのは、ついこの間。撤回しよう。自分に幸運はない。かろうじて悪運に助けられてきただけだ。 無事にダンジョンを抜けられた。外に出ると完全武装の騎士たちが待っていた。出迎えかと思った…