ファンタジー小説
ウイリアムの護衛についていた七星将のマントルが魔王国の将を倒した。この報告を受けた時は喜び、安堵もした。我が国にはカンバリア魔王国と戦う力がある。これが証明されたのだ。 倒したのは八芒星将の一人。相手は八芒星”王”を名乗ったようだが、将であろ…
この世界にはやはり特別な力が働いている。活躍するのは主要キャラだけでモブにはその機会は与えられない、というものではない。そうであれば、もっと楽に生きられる。モブにとっては、もっと理不尽な世界だ。 竜との戦いはまったく話題に上らない。自慢した…
事が動き始めた。これまで動きがまったくなかったわけではない。その時に向けての準備は進めていた。ただ、今になって思えば、その進みはゆったりしたものだ。人族に比べて我らは長命。時の経過に対する感覚が違う。これもその当時は分からなかったことだっ…
運が良かった。こう思うべきかもしれない。あるはずのない魔族の里にたどり着いてしまい、さらにそこは竜に襲われていた。竜との戦いになってしまったことは、とんでもない不運。だがそんな不運に襲われて、生き残ることが出来た。これはやはり幸運だ。 竜と…
各地の有力者に会って、歓待を受けるだけ。そんな今の状況に不安を覚えていたのは私だけではなかったようだ。それはそうだろう。変わってしまった彼らだが、強くなるという想いまで失ったわけではないはず。食べて飲んでの日々を過ごしていて、強くなれると…
父上は、王国は何を考えているのか。言葉には出来ない苛立ちがずっと心の中に留まっている。また彼らと行動を共にすることになった。かつては親しい友と思えていた二人だが、すでにその気持ちは消えてなくなっている。彼らは私の大切な人を傷つけてばかり。…
圧倒的な敗北感。これを感じたのは、いつ以来か。アントン様の騎士候補となり、彼とエミリーにその実力を見せつけられた時もこれほどではなかったように思う。与えられている加護が違う。この言い訳があったからだ。 敵は、単体では恐らく、この世界における…
もし校内人気投票なんてものがあったとしたら、彼女は間違いなく、上位にランクインする。一番であっても誰も疑問に思わないだろう。彼女はそういう人だ。 顔が可愛い、美人というだけであれば彼女よりも上位に選ばれる女子はいる。彼女の美しさは顔の作りで…
魔族の村で寝泊まりする。あり得ない日々が何事もなく終わろうとしている。不安で眠れない夜がようやく終わってくれるのだ。まだ安心するには早いと分かっていても、眠気で思考が鈍くなってしまう。 こんな思いをしているのは私だけ。普通に寝られる他の人た…
この出来事をどう捉えれば良いのか。何も考える必要などないことで、たまたま竜が襲ってきたところに、たまたま不俱戴天の仇と言うべき退魔兵団の兵士が現れただけと考えるべきなのか。だがその結果は我らにとって良きものとなった。多くの族人が殺されるは…
戦っているというより、拷問を受けているかのよう。竜の攻撃は全てが致命的なダメージを与えられるもの。尾や腕の一撃でこちらはすぐに骨折。炎をまともに受ければ瀕死の大火傷だ。その度にクリスティーナが治癒魔法で回復してくれるが、それが何度も続くと…
こう立て続けにあり得ない出来事が起きると勘違いしてしまいそうになる。自分はこの世界における重要人物、ゲーム世界であるならば主要キャラなのではないかと。だがそれはない。師匠は自分に「お前は凡人として平凡な人生を送ることになる」と告げた。実際…
今更だけど、王国は妹とウィリアム殿下の結婚を意地でも阻止したいのだろう。今回の野外授業でも王国の力が働いた。調べなくてもこれくらいのことは分かる。 このタイミングで聖女を認定したのがそれを示している。聖女を認定した上で、その彼女とウィリアム…
聖女が認定された。これでミネラウヴァ王国には勇者と聖女が揃ったことになる。勇者であるウィリアム第二王子が正式に勇者として認定されたという話は聞かなかったけど、今更、それに拘る必要はないのだろう。何に基づいて勇者と聖女が認定されるのか分から…
国内に潜む悪魔の掃討作戦が進行している。カンバリア魔王国を刺激することになるかもしれない作戦だが、実行しないわけにはいかなかった。王立騎士養成学校の野外授業でウィリアムが悪魔に襲われた。それ以外にも、悪魔による王立騎士養成学校侵入未遂事件…
ミネラウヴァ王国騎士団には七星将と呼ばれる騎士たちがいる。七星将なんて、いかにもゲーム世界という感じ。ただこの世界がゲーム世界だとして、どういうゲームなのか。 現在、最有力は「夢のハーレム実現ゲーム」。主人公がエミリーなので、個人的にはエロ…
手と手をつないで会場の中央に進み出る二組の男女。楽団の演奏が舞踏会の始まりを参加者に知らしめた。アルファイド王子とティファニー王女がそれぞれパートナーを選んでのダンス。ファーストダンスの始まりだ。 だがそのパートナーに対しては多くの出席者が…
アークとミラがパーティー会場に入った途端に周囲にざわめきが広がった。入口近くにいるのは勇者ギルドの関係者ばかり。それなりに皆、きちんとした服装で来ているつもりだが、王家主催のパーティーに相応しいかと問われれば、そうは言えない装いの人が多い…
勇者候補を招いた王家主催のパーティーは城内の会場で行われる。城の入口からもっとも近い会場だ。勇者候補のほとんどは平民。いくつかある会場の中でも最も格が低い会場が選ばれたということだ。といっても王家主催のパーティーに招待されることがただ事で…
魔族の問題は数の少なさとまとまりのなさ。魔族とひとくくりに呼ばれていても実際はいくつのも種族が存在している、魔族のまとまりは、せいぜいその種族の単位。いくつもの種族がまとまって、ひとつの国を造るなんてことにはならない。それが実現するとすれ…
この女の図々しさに比べれば、クリスティーナの言葉を誤解して舞い上がるくらい可愛いものだ。少なくとも周囲を困らせることはない。いつもこんな感じで、この女は人の優しさにつけこみ、他人のものを奪っていくのだろう。自分にはそれが許されると思ってい…
最悪だと思っていた野外授業だったけど、まったく無意味というわけではなかった。価値ある、かはまだ分からないけど、情報も得られた。エミリーは転生者。それも元の世界での俺を知っている同級生、か同じ学校の生徒。これは確実。あいつだと断定出来そうで…
彼女が何を考えているか分からない。自分一人で、このメンバーの中に入ろうと、どうして思えるのか。それともこれはただの偶然なのか。偶然、いつものメンバーになったところに彼女だけが紛れ込んできただけなのか。 そんなはずはない。学校側が本当に今回の…
状況は最悪。今はとにかくウィリアム王子との関係改善を実現すること。その為には悪役令嬢クリスティーナとの停戦も止むを得ない。イーサンとアントンは相談して、こう決めたと伝えてきた。私も賛成。ウィリアム王子とは会話どころか会うことさえ出来ない。…
勇者と聖女。近い将来、肩を並べて魔王と戦う二人が今、共にいる。こんな風に思える人は今この場にはいないだろう。王子様は完全に聖女候補を無視している。無視というより、クリスティーナしか見えていないが正しいのかもしれない。あくまでも女性の中では…
新年の賑わいも落ち着き、王立騎士養成学校は平常運転に戻った。入学して、もうすぐ一年という時期になって思ったのは、この世界の学校は結構、ハードということだ。夏休みがない。冬休みも大晦日から二日までの三日間しかなく、春休みも同じ三日らしい。長…
勇者ギルドの会議を終えたアークとミラの二人は、軽食をとりながら食堂で打ち合わせ。サークル王国から帰国して、すぐに誘拐事件の依頼を引き受けさせられた二人。次の依頼が未定で自由な時間が得られそうなので、これからのことについて、ゆっくりと話し合…
異世界転生の始まりは最高だった。ミネラウヴァ王国の貴族の中で頂点に立つウォーリック侯爵家の跡取りという立場。元の世界でも何不自由のない暮らしと言える裕福な家で生まれ育ったが、身分制のある世界は贅沢のレベルが違う。 子供の頃から何人もの従者、…
王立騎士養成学校の新年祝賀会。ここでもアントンたちは仕掛けてきた。この執念はどこから生まれるのだろう。ここまでとなると怒りを通り越して、恐怖さえ感じる。 王立騎士養成学校の学生たちによって、クリスティーナの新年祝賀会への参加反対の署名が学校…
王家の恒例行事、新年を祝う会に出席していたら、ウィリアム殿下からの伝言を受け取った。閉会後に、正確には王家の方々が退席された後の時間で、話がしたいという内容。また何かが起きたのか。そう思ってしまった。 新年を祝う会も、本音では、出席したくな…