月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説

霊魔血戦 第48話 二人が出会ったことの意味

特別士官学校での時間の多くはティファニー王女を鍛える為に費やされている。サーベラスとクリフォードが交代で鍛錬の相手を努め、彼女の相手をしていない時間で自分の鍛錬を行うというやり方だ。当然、サーベラスとクリフォードはそれでは満足しない。ティ…

霊魔血戦 第47話 また襲われた

サーベラスは特別士官学校の寮に入ることになった。本人の希望だ。正式に騎士団に配属された身でもないのに、そもそも騎士団に配属されたとしても城内で、それも奥で暮らすことなど許されるものではない。サーベラスの申し出は、あっさりと受け入れられた。 …

霊魔血戦 第46話 戦いはすでに始まっている

ティファニー王女が行っている鍛錬は、周りで見ている者たちにとっては、実に退屈なもの。ただただ同じ動きを繰り返しているだけのように見える。実際に細かい動きは異なっているが、そう見えても仕方がないものだ。ただし、見る側ではなく、実際にそれを行…

霊魔血戦 第45話 いつかは会うと分かっていたけど

特別士官学校に通う日々は、ジャスティンにとって、当初思っていたよりも退屈なものだった。宿霊者となっていない身では鍛えられるのは一般的な戦闘術。それは士官学校に通わなくても習えるものだ。実際に入学する何年も前からジャスティンは、一族の騎士た…

第44話 僧正の一族

特別士官学校は王城のすぐ隣、敷地の一部が城壁に接している位置にある。士官学校の敷地は広大と呼べるほどのものではない。五家の権力争いが始まる今でこそ、各家が人を送ってきて、それなりの人数が通っているが、通常は入学する生徒は毎年、数名程度。一…

第43話 残り火

何故、自分はここにいるのか。時々、こんな思いが頭に浮かんでしまう。年に一度、役人が街にやってきて行われる宿霊の儀式。その年はいよいよ自分たちの代が儀式を受ける番。かすかな希望を胸に抱いて参加した儀式で、クリフォードは宿霊者となった。 街にと…

霊魔血戦 第42話 距離のある二人

ルーク=コリン=ハイウォールは謎の人物だ。ルークの一族の直系に生まれ、幼くして、宿霊の儀式を行ってもいないのに守護霊を宿した。それも文句なしの強力な守護霊を。それが明らかになった時、アストリンゲント王国の有力者たちは、事実を知ることが出来…

霊魔血戦 第41話 ようやく恵まれた環境になったのに……

襲撃事件はレンブラント教官の私怨によるもの。以前からクラリスに想いを寄せていたレンブラント教官が、彼女の気持ちがサーベラスに向いたことを知って、異常な嫉妬心を燃やして企んだこと。悪霊に取りつかれているなどという荒唐無稽な作り話は、クラリス…

霊魔血戦 第40話 二人の時が交差する

サーベラスが守護兵士養成所に戻ったのは、襲撃を受けてから三日後。無駄な時間を作ることなく最短での、といってもクリフォードが足手まといになってサーベラスが考えていたよりも一日多くなってしまったが、帰還だ。そうしたのは、自分への疑いを少しでも…

霊魔血戦 第39話 生まれてきてしまったこと

圧倒的な力。これを見せつけられたのは三度目のことだ。だが、今回の衝撃は過去二回のそれとは比べものにならない。クリフォードが想像できる範囲を超えていた。 霊力の強弱が全てであるはずの守護戦士。ではその霊力が、少なくとも防御という点では通用しな…

霊魔血戦 第38話 奥の手というわけではないのです

行軍訓練の初日。クリフォードと話をしたあと、ルーは少し不機嫌そうなサーベラスから「覚悟を決める必要があるかもしれない」と伝えられた。ただ伝えられたのはそれだけ。何に対しての覚悟なのかと何度尋ねても、「その時になれば分かる」としかサーベラス…

霊魔血戦 第37話 イライラがおさまらない

時々、作業場に通って行軍訓練の準備を行う以外は、それまでと変わらず鍛錬ばかりの毎日を過ごしてきたサーベラス。その間にクラリス以外のチームメンバーの態度まで変化し、ルーはさらに落ち込んでしまうのだが、サーベラスのほうはまったく気にする様子を…

第36話 常に備えは怠りません

変化を敏感に感じ取ったのはサーベラスではなく、ルーのほうだ。他人の感情が理解出来ないくせに、その動きに対しては人一倍敏感であるはずのサーベラスでさえ気づけなかった、ちょっとした変化。ルーがそれに気づけたのは、過去に同じ経験をしていたからだ…

第35話 答えが出ない問い

他者の指導に多くの時間が割かれるようになった。特にクラリスの相手は、訓練とは関係のない時間まで奪われてしまい、自分の為の時間が思うように取れない。これが今のサーベラスにとっての一番の悩みだが、それが全てでもない。自分を鍛える時間が削られる…

霊魔血戦 第34話 騎士の一族

現時点において、五家の争いは表面には浮かんできていない。これは想定通りのこと。隣国ノイガストフォーフ王国との不戦条約が結ばれたからといって、それが絶対に守られる保証はない。守られると信じられるような関係には二国はない。百年以上も戦争を続け…

霊魔血戦 第33話 不協和音は消えない

二年目に入ったサーベラスは忙しい。養成所からは自チームだけでなく、他チームの訓練にも参加するように言われている。団体対抗戦でのサーベラスの活躍が認められた結果、ということになっているが、サーベラスにとっては迷惑な話だ。訓練時間の多くは他の…

霊魔血戦 第32話 人の気持ちは他人には分からない

三日間の休養期間を終えて、訓練が再開された。サーベラスたちは二年目の養成所生活を迎えることになったのだ。チーム編成については、かなりのゴタゴタがあった。人数のバランスが崩れているので、それを正す為にチームを再編するべきという話が出たのだ。…

霊魔血戦 第31話 鈍感主人公ではない

団体対抗戦という年度末試験が終わり、守護兵士養成所は春休みに入った。といっても期間は三日。春休みというのは期の変わり目ということと、その短さを皮肉る意図も込めて、そういう呼び方になっただけだ。 誰も帰省などすることなく、そもそも三日では一番…

霊魔血戦 第30話 惑わせるつもりなんてないのだけど

彼を怖いと思ったのはこれが二度目。一度目は離れた場所で彼の戦いを見ているだけだった。それでも、彼の戦い方は、血しぶきをまき散らして地面に倒れていく敵を哀れと思ってしまいそうになるほど凄惨で、怖ろしいと感じた。自分とは根本的に何かが違う。そ…

霊魔血戦 第29話 約束は守らなければなりません

引き続き行われた個人戦の第二戦、第三戦。チーム月の犬も勝利をあげたが、チーム成り上がりが連勝したことで、個人戦の勝利チームはチーム成り上がりとなった。続く団体戦も勝利して、チーム成り上がりが完全勝利となるか、チーム月の犬が意地を見せるか。…

霊魔血戦 第28話 戦う前に結果は決まっている

いよいよ団体対抗戦の日がやってきた。開催場所は養成所施設の東側。山の麓の丘陵地帯だ。会場となったその場所には、普段はほとんど接点のない先輩たちも姿を見せている。観客として盛り上げる為ではない。彼らは彼らで年度末試験としての団体対抗戦がある…

霊魔血戦 第27話 どちらが悪いのか

自分は可愛い。こんな風に思うのは、驕っているようで恥ずかしいという気持ちはある。心の中から消したいと考えている。だが常に周囲がそれを証明してしまうのだ。幼い頃からそうだった。皆が自分を可愛いと言ってくれた。周囲がそういうのだから、そうなの…

霊魔血戦 第26話 我が道を進むのは簡単ではない

団体対抗戦はポイント制。敵の攻撃を完璧に防げばポイントが付き、防御が破られれば攻撃側にポイントが付く。防御を完全に破砕するようなダメージを与えると高ポイント。一撃で粉砕してクリティカルヒットと判定されれば、それだけで勝利が決まることになる…

霊魔血戦 第25話 他人の気持ちを推し量ってみる

養成所の訓練は団体対抗戦に向けてのものに、内容が変わっている。養成所のカリキュラムが変わったわけではない。自由行動の時間が増えて、チーム毎にどのような訓練を行うか、自由に決められるようになったのだ。いかに当日までに万全の準備を整えることが…

霊魔血戦 第24話 チームを移籍しました

期末試験という位置づけの団体対抗戦のルールが変わった。ひとチーム五人から六人に変更。人数が足りないチームは、他チームから一時的に貸し出すという内容だ。クラリスの要望が通ったのだ。 もともと多くの指導教官は、五人という数に拘りがあったわけでは…

霊魔血戦 第23話 期末試験があるらしい

王都に送った手紙の返事が届いた。国王に情報を届けるための手紙ではない。家族に宛てて送った、ように見せかけて部下に届けた、手紙の返事だ。ガスパー教官は異なる内容の手紙を、別の宛先に送っていたのだ。 送られてきた手紙を眺めて、数字を紙に書きだす…

霊魔血戦 第22話 悩める人たち

守護戦士養成所の訓練で、死ぬはずだった落ちこぼれが生き残った。たったこれだけのことが、救国の五家の争いに小さな波紋を広げている。実際問題として、今の時点で、何か影響を及ぼしているわけではないのだ。その落ちこぼれの推薦人がルークの一族の当主…

霊魔血戦 第21話 女王の一族

アストリンゲント王国の救国の五家は、それぞれ領地を、キングの一族は領地というより領土だが、持っている。アストリンゲント王国建国時に国土をほぼ五等分して領地とされたのだ。その後、侵略国である隣国ノイガストフォーフ王国の軍を押し返し、領土奪回…

霊魔血戦 第20話 寝る間も惜しんで頑張っています

実地訓練は終了した。討伐任務そのものは成功したとはいうものの戦死者三名という結果。帰還した見習い守護兵士たちは、仲間の死を目の当たりにしたことで、酷く落ち込んでいる。クラリスのチームを除いて。 クラリスたちも同期の死には心を痛めている。だが…

霊魔血戦 第19話 訓練はやっぱり訓練

実地訓練に出発したクラリスたちのチーム。出発前にブリジットは大変だと文句を言っていたが、実際に移動してみるとそれほどでもなかった。養成所施設から繋がる山は、訓練で何度も登っている。走れば半日で頂上まで行って帰ってこられる。それをサーベラス…