月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説

悪役令嬢に恋をして #50 示された器

王都での戦勝報告会。リオンにとって、幸いにもそれは大袈裟なものではなく、ごく普通の会議形式で行われた。とはいっても、参加者はかなり豪華だ。上座には国王がつき、その左側にはアーノルド王太子、近衛騎士団長、ランスロットと順番に並んでいる。リオ…

勇者の影で生まれた英雄 #87 ゼクソン王の選択

駐屯地に入って休むことを受け入れたグレンだったが、すぐに部屋に入ったわけではない。グレンにはまだまだやることがあった。 まずは投降した兵のもとにいって下手なことをしなければ身の安全は必ず保証すると何度も約束し、兵の不安を消していく。 それが…

勇者の影で生まれた英雄 #86 処遇

反乱軍の兵士のほとんどが、結果として逃亡のような形で投降していった。 それを呆然と見送っていたシュナイダー将軍だったが、いつまでも、そうしている場合ではない。わずかに残った兵をまとめてグレンに向かうか、逃亡するかを迫られることになった。 も…

悪役令嬢に恋をして #49 貧乏領主暇なし

結果は満足出来るものではないが、とにかく魔物討伐任務は完了した。 そうとなれば、速やかにバンドゥに帰って、領政に精を出そうと考えていたリオンだったが、残念ながらそれは叶わなかった。王都での任務完了報告に同行する羽目になったのだ。 国王への報…

勇者の影で生まれた英雄 #85 鎮圧

ゼクソン王国で起きた反乱の情報はウェヌス王国にも届いていた。それを受けて集まった重臣たち。顔ぶれはグレンが知るそれではない。 上座に座るのは王太子であるジョシュア。既に国王は引退も同然だ。元々の怠け癖の上に、度重なる敗戦にすっかり嫌気がさし…

悪役令嬢に恋をして #48 予定外の結末

魔物が去った後のハッカータの街は、賑わいを取り戻していた。それどころか、普段以上に街は喧騒に包まれている。魔物に襲われることなく無事で居られた事に対する祝いの宴が、街のあちこちで開かれているからだ。 それらの宴の主人公は名も無き領軍の兵士た…

勇者の影で生まれた英雄 #84 反乱

ルーティズの北にある正門を抜けたすぐの場所で、多くの兵が集まっていた。その中心にいるのはグレンとザットだ。ザットの弟子たちも一緒。その弟子たちは盛んに出来上がったばかりの兵器の調整をしている。 やがて、それも終わり。試射の開始が告げられた。…

悪役令嬢に恋をして #47 イベント:ハッカータ防衛戦

グランフラム王国南部の最大都市ハッカータ。南部各地に伸びる街道の出発地点であるハッカータの街は、その地理的な利点を生かして、南部最大の商業都市でもある。 隣国、そして南部各地の産物は必ずハッカータに一旦集まり、ここから王国の中央や他の地域に…

勇者の影で生まれた英雄 #83 人材の力

人材、真の意味でそう呼べる人たちが少しずつルート王国に集ってきていた。その中で何といっても大きかったのはザットとその弟子たちだった。 ザットはウェヌス一の武具職人という名声からは想像出来ないくらいに、地味な仕事を行っている。 作っているのは…

悪役令嬢に恋をして #46 引き出された舞台

カマークが復興への歩みを加速させている、その裏で、王国全体はそれとは逆の方向へ進んでいた。いよいよ魔人の活動による被害が大きく、無視出来ないものになってきたのだ。 国境近辺にとどまっていた魔物の目撃情報は、徐々に王国内部に広がり、そして遂に…

悪役令嬢に恋をして #45 更なる一歩

街を訪れる行商人が増えた。宿屋や酒場などの施設は賑わいを見せているが、それだけで終わらせるのは勿体無い。それに接客サービスは、いつか必ず真似する者が出てくる。それだけでは、今の状況を維持する事は難しいのは分かっていた。 そこで新たに設けたの…

悪役令嬢に恋をして #44 絡みあう思惑

城での舞踏会が終わった後、リオンとエアリエルは貧民街に顔を出し、アインたちとの再会を喜び合った。舞踏会とは異なり、賑やかで、気楽な宴を楽しんだ後は、貧民街の状況や進めている他の街への進出の状況などの打ち合わせに三日ほどを費やして、それを終…

勇者の影で生まれた英雄 #82 更なる人材

ルート王国への来訪者は止まらない。今回の来訪者はグレンが待ち焦がれていた人物。相変わらず無愛想な様子で椅子に座っているのは、武具職人のザットだ。 「思ったより早かったですね。それに……若いですね」 待ち焦がれていた相手だが、それを言うグレンの…

悪役令嬢に恋をして #43 新イベント:王国舞踏会

舞踏会の会場となった城内の大広間には、綺羅びやかな衣装に身を固めた大勢の人たちが集まっている。会場の広さ、そこに集う列席者の数、料理の豪華さ等など、王国学院の行事とはどれも桁違いだ。 それはそうだろう。これは本物の、それも国王主催の舞踏会な…

勇者の影で生まれた英雄 #81 新たな人材

少しずつ国としての形を整えようとしているルート王国に次の訪問者が現れた。銀鷹傭兵団のガルだ。一人ではない。もう一人同行者がいるが、それもグレンにとって見知った顔だ。 「よく分かりましたね? それは分かるか」 銀鷹傭兵団はエイトフォリウム帝国と…

悪役令嬢に恋をして #42 動き出した世界

簡易な柵で囲われただけの放牧場。そこに三十頭あまりの馬が放たれている。キールが約束通りに揃えた馬だ。三十頭は決して多い数ではないが、伝令という目的だけであれば、十分な数といえる。もちろん、キールがそう思われる数で調整した結果だ。 そして、キ…

勇者の影で生まれた英雄 #80 密やかな建国

ウェヌス王国王都での用事を全て済ませてグレンはストーケンドに戻った。グレンにとっては収穫が多い、と全てを例えられるわけではないが、とにかく行って良かったと思える結果だった。 得られた結果と、気持ちが少し整理されたことに満足してストーケンドに…

悪役令嬢に恋をして #41 重なる想い、異なる行動

カマークに戻ったリオンは忙しく働いていた。魔物への対処は急がなければ、全てが終わってしまう事態になる。それが分かっているリオンは、緊急課題として、考え得る全ての対策を推し進めようとしていた。そして、それで終わらないのがリオンだ。 魔物の件が…

悪役令嬢に恋をして #40 ゲーム外イベント:動き出した魔人

不揃いの鎧を着た軍勢が街道を進んでいる。王都とは反対方面の街道は、未だ整備が終わっていない。まして今、軍勢が進んでいるのは国境に近い山中だ。修復は全く手付かずの状態で、貨車を押して進んでいる輜重隊の兵士たちは荒れた道にかなり苦労をしている…

勇者の影で生まれた英雄 #79 ケジメ

王都にある墓地。多くの木々が立ち並ぶ、その一本の影でグレンはじっと息を潜めて立っている。フローラのお墓参り。恐らくはこれが最後になるはずの、最後にしようと心に決めて、今日ここにやってきていた。 フローラが好きだった花。それを手に入れて、別れ…

悪役令嬢に恋をして #39 悩みの種は新領主

カシスたちは、領主であるリオンを測れないでいる。自分たちに良い感情を持っていないのは分かる。そのくせ、朝の日課でどれだけ酷い目に遭おうと、立ち合いの相手をさせる事を止めようとしない。 盗賊に身を落としたバンドゥの住民たちに過酷な罰を与えた。…

悪役令嬢に恋をして #38 第一歩は踏み出された

領主になってもリオンの毎日のスケジュールは大きくは変わらない。日中の従者として働いていた時間が、領主としての執務時間に変わっただけだ。 まだ夜が明けきらぬうちから起きだしての鍛錬。それはバンドゥの地にたどり着いてからも変わらず続けている。以…

悪役令嬢に恋をして #37 領主としての初めてのお仕事

城代であるカシスに領政を見るに必要な情報の収集を命じたリオンだったが、案の定、望む情報はすぐには集まらなかった。バンドゥには文官と呼べる者が、見事に一人もいなかったのだ。 バンドゥの文官は全て中央から派遣された役人が担っていた。その役人たち…

勇者の影で生まれた英雄 #78 止まらない歩み

グレンの行動は止まらない。それはローズでさえ呆れるほどの動きだった。 ストーケンドから離れた山中。周りを銀狼兵団に囲まれて、跪いて震えている大勢の盗賊たちに向かって、グレンは厳しい視線を向けていた。 「さて、お前らの選択肢は二つだ。俺に従う…

悪役令嬢に恋をして #36 詐欺にあった気分

領地へ向かう旅も一ヶ月になる。結構な長旅ではあるが、王都周辺しか知らないリオンとエアリエルの二人にとっては、見るもの全てが目新しく、毎日が退屈しない楽しい日々だった。ましてこの旅は、この世界にはない習慣ではあるが、新婚旅行だ。何をしていて…

勇者の影で生まれた英雄 #77 復興への歩み

しばらくは戦争の疲れを癒す為に体を休めて。ハーバードにこう言われたグレンだったが、そもそも彼にそういう習慣はない。時間があれば鍛錬や勉強に費やし、寝る時間以外は何もしないという時を持つことなど出来ないのだ。 それでも何もすることなく一晩だけ…

勇者の影で生まれた英雄 #76 新天地

ゼクソン国王と約束した物資は、半月もしないうちにエステスト城塞に届いた。ウェヌス王国との戦いの為に用意され、前線に近い猛牛兵団駐屯地に置かれていたものを運んできたのだ。 城塞まで物資を運んできたのはゼークト将軍率いる猛虎兵団だった。猛虎兵団…

異伝ブルーメンリッター戦記 #90 そして物語は破綻の時を迎えた

カロリーネ王女を乗せた馬車は街道を西へと進んでいる。ローゼンガルテン王国の王女である彼女が乗るには相応しくない、行商人が使用するような粗末な馬車だ。さらに乗っている彼女の服装も町娘が着るような粗末、というのはカロリーネ王女が普段着ている服…

勇者の影で生まれた英雄 #75 英雄色を好む

「何故、分かったのですか?」 ゼクソン国王とヴィクトリア殿下が同一人物であることを認める問いに納得顔のグレン。ただ、この件については、まだはっきりさせていないことがある。 「陛下」 「この姿でそう呼ばれるのは」 「……変な拘りですね。では、ヴィ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #89 それぞれがそれぞれの新しい物語の役割を演じ始めた

ジグルスが率いる勢力、アイネマンシャフト王国の参戦はリリエンベルク公国における戦いを複雑にした。といってもそれを仕掛けたジグルスにとっては当然、複雑なんてことはなく、かつリリエンベルク公国軍は、それを率いるリーゼロッテが新たに参戦してきた…