月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説

古龍の加護 第9話 ある日の出来事

この辺りでは一際大きな木。その大木の根元近くにある盛り上がった土、三つのそれにそれぞれ剣が突き立てられている。墓標代わりだ。 裏切った三人の騎士たちの墓の前で、じっと佇んでいるクロード。夜も明けて出発の時。最後の別れを惜しんでいるのだ。 「……

黒き狼たちの戦記 第71話 視えなかったものが視えるということ

シュタインフルス王国の状況は逐一、アルカナ傭兵団本部に伝えられるようになっている。状況は悪いものではない。アルカナ傭兵団として、中欧諸国連合として何をもって任務は成功というのか今となっては微妙だが、愚者から伝えられていた通りの展開になって…

黒き狼たちの戦記 第70話 お節介好きに年齢は関係ないようだ

グローセンハング王国の王都シュヴェアヴェルを訪れているヴォルフリックたちが拠点にしているのは、繁華街の裏路地にある安宿、を装っている黒狼団の隠れ家。ピークとクロイツが、コーツ一家の一員としてシュヴェアヴェルに進出したあとに作った隠れ家だ。…

黒き狼たちの戦記 第69話 再会の時は不意に訪れる

かなりの人気店であるエマの食堂だが、お昼時を過ぎれば客足も途絶え、店は閑散とした雰囲気に変わる。午後の仕事が始まり、食堂でのんびりしていられる時間の余裕はないのだ。逆にエマたち食堂で働く人たちにとっては一息つける時間。後片付けを終え、夜の…

古龍の加護 第8話 正義の所在

約束していた合流地点に別行動をとっていた護衛騎士たちが到着してから、さらに五日。ようやくティファニー王女たちは彼等と合流した。ディーノが異常なしと判断するまでに、それだけの日数を必要としたのだ。 そこからさらに森を北進。今度は護衛騎士たちに…

古龍の加護 第7話 稽古の時間

約束の合流地点に辿り着いたディーノたち。待ち伏せをされている気配はなかった。これは予想通り。それを許さないだけの早さで合流地点に到着しているのだ。それを確認したところでディーノたちは、また少し離れた場所に移動して、合流地点の監視を始めた。…

黒き狼たちの戦記 第68話 信頼には信頼で応えたい、けど

ベルクムント王国にシュタインフルス王国の使者が訪れ、救援要請が行われた。これによりシュタインフルス王国の内乱は公式のものとなった。常日頃から従属国に不穏な動きがないか監視を行っているベルクムント王国にとっては既知の事実なのだが、シュタイン…

黒き狼たちの戦記 第67話 少しだけ結末は以前とは違ってくるもしれない

シュタインフルス王国の内乱はさらにその規模を拡大しようとしている。アンドレーアス王はライヘンベルク王国との国境に貼り付けていた王国軍を王都に呼び戻し、討伐軍を再編。その数は五千。ほぼ全戦力を投入する形だ。 一方でクノル侯爵は他の有力貴族家に…

黒き狼たちの戦記 第66話 悪魔のほほ笑みってこういうことか

絶対的な切り札、とされている、ベスティエを投入しながらの敗戦。しかも送り込んだ千名の部隊が一人も帰還してこないという惨敗だ。この結果を知ったシュタインフルス王国の動揺は凄まじい。やや誇張も含みながらベスティエの恐ろしさを世間に知らしめてい…

黒き狼たちの戦記 第65話 遠ざけられていた事実を目の当たりにする

ベスティエを加えたシュタインフルス王国軍は王都を進発すると、とりあえずその進路を反乱軍の動きが活発な北部に向けた。反乱軍を討つ。目的は明確だが、反乱軍の本拠地を突き止めていない為に、目標は明確にはなっていなかったのだ。だが王国軍はあてもな…

古龍の加護 第6話 疑いの目

山を下って合流地点に辿り着いたディーノたち。護衛騎士たちは三人が無事であったことを知って、安堵した様子だった。だが安堵していられたのはわずかな時間だけ。ディーノたちはまた護衛騎士たちとは別行動をとることになる。追っ手を完全に振り切ったとい…

古龍の加護 第5話 運命が交差する

道なき道を五日間進んで、ティファニー王女たちが辿り着いたのは、山の中腹にある洞窟。ディーノ、だけとは限らないが、狩りや旅の途中で嵐などに遭ってしまった時の待避所として使っている場所だ。それほど深い洞窟ではないが、雨風を避けて休むだけであれ…

古龍の加護 第4話 出会いの時

旅支度を調え終わると、ティファニー王女一行は北に向かって出発した。深い森の中。道なき道を進んでいるティファニー王女たち。ただし、同行しているのはクロードとディーノだけ。他の護衛騎士の姿はない。 こうなった理由は二つ。一つは騎獣の数が足りない…

古龍の加護 第3話 もう一つの顔

カストール帝国の追っ手を易々と討ち取ったところで、ディーノたちは家に戻った。今回も討ち払ったとはいえ、居場所はバレているのだ。また新手が送り込まれる可能性は高い。もしかすると竜飛士は先遣隊で、すでに後続が向かっているかもしれない。すぐにこ…

古龍の加護 第2話 愛される人

東の空が白く輝き始めた。まだ朝もかなり早い時間だが、建物の中ではすでに全員が起きて身支度を整えている。唯一まだ寝惚け眼なのはティファニー王女だ。昨日の夜はたった一つのベッドを譲ってもらって、そこで寝たティファニー王女。久しぶりにベッドの上…

古龍の加護 第1話 亡き人からの依頼

空を舞う数十匹の翼竜。その翼竜に乗るのはサルタナ王国の竜飛士だ。かつてのサルタナ王国竜飛士団に比べてしまえば、その数はかなり少なくはあるが、それでもこれだけの数を揃えることが出来るようになったのだ。 侵攻してきたカストール帝国によりサルタナ…

黒き狼たちの戦記 登場人物一覧~第64話時点~ ※ネタバレ注意

◆◆◆ 登場人物一覧 ~第64話時点~ ◆◆◆ PC故障で作品データが壊れてしまったので再作成したついでに投稿します。 ※ネタバレ注意 【黒狼団および主人公の近親者】 名前:シュバルツもしくはヴォルフリック(公式名はリステアード=ディートリッヒ)性別:男…

黒き狼たちの戦記 第64話 理想と現実の狭間で悩むのは若さの証なのか?

敵の動きを読み、時には策を用いて動かして、数百人規模の戦いの場を作り出し、勝利を重ねていく。反乱軍は連戦連勝。シュタインフルス王国の人々の心に「もしかすると」という思いが浮かぶようになった。だがそこまでだ。反乱の火が王国全土に広がる気配は…

黒き狼たちの戦記 第63話 終わりの姿が見えない中、人々は動いている

バックアッププランの検討、準備は進めていても、それ以外は、王都でただ伝書烏が届ける伝書を待っているしかなかったディアークたちにも、ようやくシュタインフルス王国内の状況が理解出来るようになってきた。隣国のノイエラグーネ王国の国境近くの街ガル…

黒き狼たちの戦記 第62話 謀はそうであると分からないから謀なのだ

目の前に展開しているのはシュタインフルス王国軍四百。対する反乱軍は三百。そのうちの百は飾り物だが、当然、敵であるシュタインフルス王国軍はそれを知らない。フォークラー家の旗が立つ、コンラート自身が率いる本軍。そう思わせることで敵の動きに制約…

黒き狼たちの戦記 第61話 可能性を追い求めて何が悪い?

ヴォルフリックたちの行動によって大いに動揺しているのはシュタインフルス王国だけではない。彼らを送り出したアルカナ傭兵団もまた違う意味でひどく驚かされている。普通のやり方を選ばないことは予想通り。だが反乱を起こすという選択は想像以上のものだ…

黒き狼たちの戦記 第60話 敵を知る、ことが出来ていない

シュタインフルス王国は、決して豊かとはいえない国で、民の暮らしはかなり厳しいものだ。シュタインフルス王国は中央諸国連合加盟国であるノイエラグーネ王国と国境を接している。もともと国力が低かった上に、軍事力の強化に資源を集中させなければならな…

黒き狼たちの戦記 第59話 悪魔の微笑み、ってどんなの?

愚者がノイエラグーネ王国を出て、山越えルートを使ってライヘンベルク王国に向かったという連絡があってから三か月。今回の任務がかなりの長期に渡ることは初めから分かっていたが、それでもさすがに三か月の音信不通は普通ではない。実際はノイエラグーネ…

黒き狼たちの戦記 第58話 演者をスカウトしてみた

シュタインフルス王国の都アインシュネスバッハ。北門からまっすぐに城に伸びる大通りにある大広場。その場所に今、多くの人が集まっている。大広場は普段から多くの人が行き交う賑やかな場所であり、人の数もいつもと同じかそれ以上であるのだが、今は張り…

黒き狼たちの戦記 第57話 悪だくみが絶えることはない

エーデルハウプトシュタット教国は聖神心教会の総本山。だが教会の運営のほとんどは各教会、もしくはそれを束ねる教区に任されている。大陸全土に教会がある為に、一極集中で日々の運営状況を管理することなど不可能なのだ。 事実ではある。だが、それが結果…

黒き狼たちの戦記 第56話 真実なんて簡単に辿りけるものじゃない

幼い頃から周囲は常に温もりを感じさせてくれる雰囲気だった。誰もが自分に笑みを向け、何か行えば褒めてくれた。そうであることが当たり前だった。 世の中に悪意というものが存在するのを知ったのは八歳の時。父に剣を教えてもらえることが決まったあとだっ…

異伝ブルーメンリッター戦記 第150話 二人の物語はまだ終わりではない

ローゼンガルテン王国軍はグラスルーツを放棄。領境の城砦まで後退することになった。この時点でリリエンベルグ公国奪回作戦は、失敗という結果で終わることになる。それだけではない。戦争そのものの終結に向けての動きも現れている。ローゼンガルテン王国…

異伝ブルーメンリッター戦記 第149話 やり残しのないように

侵攻軍七万二千。これ以上は不可能という大軍を編制しての旧リリエンベルグ公国領奪回作戦は、自軍の半分にも届かない敵軍を相手に、大失敗に終わった。たった一戦で侵攻軍は壊滅的な打撃を受けて撤退。その第一報が入った時、まさかの大惨敗という結果に大…

異伝ブルーメンリッター戦記 第148話 主人公に代わって攻略、ではない

七万という大軍での侵攻。そうであっても不安を感じていなかったわけではない。前回の作戦でブルーメンリッターは為す術もなく壊滅に追いやられているのだ。魔人は強い。それを改めて思い知らされた戦いだった。 そうであるからこその大軍。これ以上の大軍を…

異伝ブルーメンリッター戦記 第147話 英雄と戦うということ

キルシュバオム公国軍二万二千の内、前軍六千、そして王国騎士団の前軍六千の計一万二千が前進を始めた。それに対してアイネマンシャフト王国軍はブラオリーリエの瓦礫の影に隠れていた巨人族の部隊を前衛に押し出してくる。身の丈よりも遥かに巨大な盾を持…