月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-古龍の加護

古龍の加護 第9話 ある日の出来事

この辺りでは一際大きな木。その大木の根元近くにある盛り上がった土、三つのそれにそれぞれ剣が突き立てられている。墓標代わりだ。 裏切った三人の騎士たちの墓の前で、じっと佇んでいるクロード。夜も明けて出発の時。最後の別れを惜しんでいるのだ。 「……

古龍の加護 第8話 正義の所在

約束していた合流地点に別行動をとっていた護衛騎士たちが到着してから、さらに五日。ようやくティファニー王女たちは彼等と合流した。ディーノが異常なしと判断するまでに、それだけの日数を必要としたのだ。 そこからさらに森を北進。今度は護衛騎士たちに…

古龍の加護 第7話 稽古の時間

約束の合流地点に辿り着いたディーノたち。待ち伏せをされている気配はなかった。これは予想通り。それを許さないだけの早さで合流地点に到着しているのだ。それを確認したところでディーノたちは、また少し離れた場所に移動して、合流地点の監視を始めた。…

古龍の加護 第6話 疑いの目

山を下って合流地点に辿り着いたディーノたち。護衛騎士たちは三人が無事であったことを知って、安堵した様子だった。だが安堵していられたのはわずかな時間だけ。ディーノたちはまた護衛騎士たちとは別行動をとることになる。追っ手を完全に振り切ったとい…

古龍の加護 第5話 運命が交差する

道なき道を五日間進んで、ティファニー王女たちが辿り着いたのは、山の中腹にある洞窟。ディーノ、だけとは限らないが、狩りや旅の途中で嵐などに遭ってしまった時の待避所として使っている場所だ。それほど深い洞窟ではないが、雨風を避けて休むだけであれ…

古龍の加護 第4話 出会いの時

旅支度を調え終わると、ティファニー王女一行は北に向かって出発した。深い森の中。道なき道を進んでいるティファニー王女たち。ただし、同行しているのはクロードとディーノだけ。他の護衛騎士の姿はない。 こうなった理由は二つ。一つは騎獣の数が足りない…

古龍の加護 第3話 もう一つの顔

カストール帝国の追っ手を易々と討ち取ったところで、ディーノたちは家に戻った。今回も討ち払ったとはいえ、居場所はバレているのだ。また新手が送り込まれる可能性は高い。もしかすると竜飛士は先遣隊で、すでに後続が向かっているかもしれない。すぐにこ…

古龍の加護 第2話 愛される人

東の空が白く輝き始めた。まだ朝もかなり早い時間だが、建物の中ではすでに全員が起きて身支度を整えている。唯一まだ寝惚け眼なのはティファニー王女だ。昨日の夜はたった一つのベッドを譲ってもらって、そこで寝たティファニー王女。久しぶりにベッドの上…

古龍の加護 第1話 亡き人からの依頼

空を舞う数十匹の翼竜。その翼竜に乗るのはサルタナ王国の竜飛士だ。かつてのサルタナ王国竜飛士団に比べてしまえば、その数はかなり少なくはあるが、それでもこれだけの数を揃えることが出来るようになったのだ。 侵攻してきたカストール帝国によりサルタナ…