月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-悪役令嬢に恋をして

悪役令嬢に恋をして #52 戦う理由

リオン率いるニガータ防衛別働隊の出陣は、当初の予定とは異なり、近衛騎士団と日にちを合わせる事になった。リオンが別の日に出発するつもりである事を知った近衛騎士団長が、横槍を入れてきたのだ。 ただでさえ近衛騎士団長は、リオンとソルの関係が良いも…

悪役令嬢に恋をして #51 第一印象は最悪

近衛騎士団長にまんまと嵌められて、納得いかないリオンだが、そのリオンより、もっと納得いかない様子の者が居る。軍議の席で、すっかり蚊帳の外に置かれる形となったマリアだ。 本来であれば、軍議の主人公はマリアなのだ。といってもゲームの中に軍議のシ…

悪役令嬢に恋をして #50 示された器

王都での戦勝報告会。リオンにとって、幸いにもそれは大袈裟なものではなく、ごく普通の会議形式で行われた。とはいっても、参加者はかなり豪華だ。上座には国王がつき、その左側にはアーノルド王太子、近衛騎士団長、ランスロットと順番に並んでいる。リオ…

悪役令嬢に恋をして #49 貧乏領主暇なし

結果は満足出来るものではないが、とにかく魔物討伐任務は完了した。 そうとなれば、速やかにバンドゥに帰って、領政に精を出そうと考えていたリオンだったが、残念ながらそれは叶わなかった。王都での任務完了報告に同行する羽目になったのだ。 国王への報…

悪役令嬢に恋をして #48 予定外の結末

魔物が去った後のハッカータの街は、賑わいを取り戻していた。それどころか、普段以上に街は喧騒に包まれている。魔物に襲われることなく無事で居られた事に対する祝いの宴が、街のあちこちで開かれているからだ。 それらの宴の主人公は名も無き領軍の兵士た…

悪役令嬢に恋をして #47 イベント:ハッカータ防衛戦

グランフラム王国南部の最大都市ハッカータ。南部各地に伸びる街道の出発地点であるハッカータの街は、その地理的な利点を生かして、南部最大の商業都市でもある。 隣国、そして南部各地の産物は必ずハッカータに一旦集まり、ここから王国の中央や他の地域に…

悪役令嬢に恋をして #46 引き出された舞台

カマークが復興への歩みを加速させている、その裏で、王国全体はそれとは逆の方向へ進んでいた。いよいよ魔人の活動による被害が大きく、無視出来ないものになってきたのだ。 国境近辺にとどまっていた魔物の目撃情報は、徐々に王国内部に広がり、そして遂に…

悪役令嬢に恋をして #45 更なる一歩

街を訪れる行商人が増えた。宿屋や酒場などの施設は賑わいを見せているが、それだけで終わらせるのは勿体無い。それに接客サービスは、いつか必ず真似する者が出てくる。それだけでは、今の状況を維持する事は難しいのは分かっていた。 そこで新たに設けたの…

悪役令嬢に恋をして #44 絡みあう思惑

城での舞踏会が終わった後、リオンとエアリエルは貧民街に顔を出し、アインたちとの再会を喜び合った。舞踏会とは異なり、賑やかで、気楽な宴を楽しんだ後は、貧民街の状況や進めている他の街への進出の状況などの打ち合わせに三日ほどを費やして、それを終…

悪役令嬢に恋をして #43 新イベント:王国舞踏会

舞踏会の会場となった城内の大広間には、綺羅びやかな衣装に身を固めた大勢の人たちが集まっている。会場の広さ、そこに集う列席者の数、料理の豪華さ等など、王国学院の行事とはどれも桁違いだ。 それはそうだろう。これは本物の、それも国王主催の舞踏会な…

悪役令嬢に恋をして #42 動き出した世界

簡易な柵で囲われただけの放牧場。そこに三十頭あまりの馬が放たれている。キールが約束通りに揃えた馬だ。三十頭は決して多い数ではないが、伝令という目的だけであれば、十分な数といえる。もちろん、キールがそう思われる数で調整した結果だ。 そして、キ…

悪役令嬢に恋をして #41 重なる想い、異なる行動

カマークに戻ったリオンは忙しく働いていた。魔物への対処は急がなければ、全てが終わってしまう事態になる。それが分かっているリオンは、緊急課題として、考え得る全ての対策を推し進めようとしていた。そして、それで終わらないのがリオンだ。 魔物の件が…

悪役令嬢に恋をして #40 ゲーム外イベント:動き出した魔人

不揃いの鎧を着た軍勢が街道を進んでいる。王都とは反対方面の街道は、未だ整備が終わっていない。まして今、軍勢が進んでいるのは国境に近い山中だ。修復は全く手付かずの状態で、貨車を押して進んでいる輜重隊の兵士たちは荒れた道にかなり苦労をしている…

悪役令嬢に恋をして #39 悩みの種は新領主

カシスたちは、領主であるリオンを測れないでいる。自分たちに良い感情を持っていないのは分かる。そのくせ、朝の日課でどれだけ酷い目に遭おうと、立ち合いの相手をさせる事を止めようとしない。 盗賊に身を落としたバンドゥの住民たちに過酷な罰を与えた。…

悪役令嬢に恋をして #38 第一歩は踏み出された

領主になってもリオンの毎日のスケジュールは大きくは変わらない。日中の従者として働いていた時間が、領主としての執務時間に変わっただけだ。 まだ夜が明けきらぬうちから起きだしての鍛錬。それはバンドゥの地にたどり着いてからも変わらず続けている。以…

悪役令嬢に恋をして #37 領主としての初めてのお仕事

城代であるカシスに領政を見るに必要な情報の収集を命じたリオンだったが、案の定、望む情報はすぐには集まらなかった。バンドゥには文官と呼べる者が、見事に一人もいなかったのだ。 バンドゥの文官は全て中央から派遣された役人が担っていた。その役人たち…

悪役令嬢に恋をして #36 詐欺にあった気分

領地へ向かう旅も一ヶ月になる。結構な長旅ではあるが、王都周辺しか知らないリオンとエアリエルの二人にとっては、見るもの全てが目新しく、毎日が退屈しない楽しい日々だった。ましてこの旅は、この世界にはない習慣ではあるが、新婚旅行だ。何をしていて…

悪役令嬢に恋をして #35 学院パートの終わり

いよいよリオンとエアリエルが王都を発つ日がやってきた。だからといって特別な行事があるわけではない。一男爵家夫妻が領地に向かうことに誰も興味なんてない、はずだった。 まだ陽が昇ったばかりの早朝。人気の少ない王都の大通りを、エアリエルを抱きかか…

悪役令嬢に恋をして #34 イベントの結末は変わらない

この場所に閉じ込められて既に何日が経過したのか。もうエアリエルには分からなくなっている。そもそも初めの数日間の記憶が全くないのだ。 全く身に覚えのないことで糾弾を受け、それでも監察部の目的が親しい平民の生徒たちにあるのだと分かり、彼らを庇う…

悪役令嬢に恋をして #33 失ったものの大きさ

城内にある謁見室の中でもこの場所は、あまり形式張る必要のない非公式な場面で使われる場所だ。ここに国王と王妃が居るのはおかしなことではない。相手が近衛騎士団長だけでなければ。 近衛騎士団長との打ち合わせに謁見室など使う必要はない。執務室で普通…

悪役令嬢に恋をして #32 友との別れ

その日、王都は何とも言えない複雑な雰囲気に包まれていた。 既に二週間前から告知されていたウィンヒール侯家のヴィンセント・ウッドヴィルの公開処刑。それが今日行われるのだ。 公開処刑をただ見世物として楽しみにしている者、逆に人の死を見世物にする…

悪役令嬢に恋をして #30 イベント:悪役令嬢糾弾

学院全体が、不穏な空気に覆われるようになった。 アーノルド王太子が宮内局に手を回して、リオンを強引に罷免させたという事実が、あっという間に噂として生徒たちの間に広まってしまったのだ。 平民、そしてリオンたちと接点のあった下級貴族の生徒たちは…

悪役令嬢に恋をして #31 後悔先に立たず

エアリエルが監察部に拘束された後。アーノルド王太子たちは、まさかの事態に青ざめた顔で茫然と立ち尽くしていた。 そんな中で唯一状況を理解していない者が居る。マリアだ。 「良かった。これで一件落着だわ」 こんな場違いな発言をしてしまう程に。周囲の…

悪役令嬢に恋をして #29 抗う者のいない世界

アーノルド王太子にとって、エアリエルからリオンを引き離せるという情報は大歓迎だ。エルウィンの話はアーノルド王太子を大いに喜ばせた。 それはまだアーノルド王太子には、エアリエルへの未練があるということなのだが、それについて誰も気にする者はいな…

悪役令嬢に恋をして #28 向けられた悪意

舞踏会での騒動は、リオンを大いに動揺させていた。 リオンは、確実に物事は好転していると思っていた。ヴィンセントは身分の低い生徒たち限定とはいえ、多くの人たちに慕われるようになっている。エアリエルとアーノルド王太子の距離は、リオンが驚くほどの…

悪役令嬢に恋をして #27 学内舞踏会

校舎の中を貴族の使用人たちが慌ただしく動き回っている。今日行われる舞踏会の準備の為だ。女子生徒たちは特に晴れの舞台を前にして、準備に余念がない。使用人たちが忙しくしているのはその為だ。 学院開催の舞踏会は、貴族としての嗜みを身に付ける為の授…

悪役令嬢に恋をして #26 手に入れた武器

平民の生徒たちとの接近はリオンにも良い影響を与えている。 平民が王国学院に入学するには、かなり厳しい試験に合格する必要がある。元々、平民であっても国政の場に登用するだけの価値があるかどうかを入学段階で試すという意図だったので、その難しさは並…

悪役令嬢に恋をして #25 驚きの事実

エアリエルとアーノルド王太子の仲が急接近している。今はほぼ毎日、常に行動を共にしているという状態だ。 きっかけが何だったのか、リオンには分かっていない。それを調べるつもりもない。どんな理由であっても、二人の仲が良くなる事はリオンが望む状況だ…

悪役令嬢に恋をして #24 王太子の恋

リオンの行動を観察している者がいれば、その精力的な活動に驚愕するだろう。そう思える程、リオンは色々なところに手を伸ばして、様々な工作を行っている。一従者が、それも自家の力も借りずに、やれるようなことではない。 それを可能としているのは、ただ…

悪役令嬢に恋をして #23 イベント:魔人の胎動(後半)

数だけであれば勝てると騎士は言った。 だがそれも数に限りがある前提での話だ。アンデッドの魔物たちは、倒しても倒しても立ち上がってくる。そんな敵が相手では勝てるはずがない。 それだけではない。いつの間にか後ろからも魔物が襲い掛かってくるように…