月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説

勇者の影で生まれた英雄 #72 銀鷹傭兵団の真実

エステスト城塞から結衣とフローレンスは駐屯地に戻ってきた。 健太郎の部屋に向かう結衣。グレンの誤解をとくことは出来なかったが、戦わなくて済むきっかけを掴めたことで行きよりは気持ちは随分と軽くなっていた。 だからといって機嫌が良いわけではない…

異伝ブルーメンリッター戦記 #86 このシナリオは誰が書いたものなのか

戦いが思い通りに進んでいないのはローゼンガルテン王国だけではない。敵である魔人軍側にも多くの誤算が生まれ、それによって計画は大いに狂っている。 中でも一番の問題はジグルスの存在、であるのだが魔人軍にはまだそれほどの危機感はない。彼等にとって…

勇者の影で生まれた英雄 #71 交渉の使者

エステスト城砦から撤退して地方軍の駐屯地に勇者軍は戻った。 ただちに開かれた軍議。その席上でずっと健太郎は浮かない顔をしている。勇者軍の騎士の前では強がって見せたが、健太郎はグレンに手も足も出なかった。それに落胆しているわけではない。 健太…

異伝ブルーメンリッター戦記 #85 これはアドリブではない。台本を変えようとしているのだ

ローゼンガルテン王国にとって現状は、様々な点で思い通りに進んでいない。そもそも何をもって思い通りというのか。それさえもあやふやになってきているのだ。 もっとも大きな誤算はリリエンベルク公国内での戦い。魔人軍に占拠されたはずの、状況が分かった…

勇者の影で生まれた英雄 #70 勇者との戦い

エステスト城塞を落としたのがグレンだと知って狼狽した健太郎。それが収まったところで、周囲の者たちから、すぐにエステスト城塞まで進軍すべきという進言を受けたのだが、健太郎がそれを聞き入れることはなかった。 次の日になっても、改めて方策を検討す…

異伝ブルーメンリッター戦記 #84 ストーリー通りといっても現実のその形は様々だ

ブラオリーリエの戦いはやや停滞している。停滞は魔人軍からみた場合の表現であって、リリエンベルク公国側としては南部への侵攻を食い止めているのだから善戦だ。だからといって喜ぶ気にはなれないが。 リリエンベルク公国にとっての勝利は、侵攻を止めるこ…

勇者の影で生まれた英雄 #69 勇者への宣戦布告

戦況はゼクソン軍の有利に進んでいる。 被害を最小限に抑えたいゼクソン軍は無理をしない形で戦いを進めているが、それでもウェヌス軍は少しずつ戦線を後退させていっている。 必ずしもゼクソン軍に押し込まれているだけではない。後軍が崩壊して、補給を受…

異伝ブルーメンリッター戦記 #83 少しだけ主人公の気持ちが分かった気がした

いくつかの種族、部族を味方につけたジグルス。そのジグルスの拠点はリリエンベルク公国東部、大森林地帯に近いところにある。 魔人の本拠地の一つである大森林地帯の近くにあえて拠点を構えたのは、エルフ族の一部が味方してくれることが決まったから。その…

勇者の影で生まれた英雄 #68 開戦

ゼクソン王国軍の集結地点として定められた猛牛兵団の駐屯地カウは、ゼクソン領ではもっとも西方、ウェヌス王国との国境に近い場所にある。 それ故に集結地点として決められたのだ。 そこに集結したのはゼクソン王国軍だけではない。銀鷹傭兵団を筆頭にいく…

異伝ブルーメンリッター戦記 #82 新しい物語は過去の想いを受け継いでいた

撤退した獣王軍に代わってブラオリーリエ攻めを担当しているのは大魔将軍オグルが率いる鬼人系魔人で編成された鬼王軍。獣王軍に比べると五千と少ないが一人一人の力は上だ。あくまでも平均としてであって個々の力比べとなるとどちらが上とは言い切れないが…

勇者の影で生まれた英雄 #67 誘惑

兵団対抗演習の後、グレンは何かと王都に呼び出されることになった。名目は様々だ。 討伐任務の結果報告であったり、調練状況の報告であったり、ウェヌス国軍の軍制の他将への説明といったものもあった。 何であってもグレンにとっては迷惑この上ない。今優…

異伝ブルーメンリッター戦記 #81 主人公が演じることを放棄したくなったら

リリエンベルク公国軍の最大拠点となっている南部の街ブラオリーリエ。敗走してきた兵士が各地から集まってきて、今はその数は万を超えた。ただこれまで街を落とされずに守ってこられたのは味方の数が増えたからではない。 軍を入れ替えて、ということはリリ…

勇者の影で生まれた英雄 #66 兵団対抗演習

猛牛兵団との対抗演習は、銀狼兵団の駐屯地で行われることになった。 銀狼兵団は駐屯地の外には出さない。こういった理由からだが、グレンたちからすれば移動の手間が省けて幸いだ。対抗演習などなければもっと幸いだが。 「……猛牛兵団との演習。それも今日…

異伝ブルーメンリッター戦記 #80 舞台に引き出される人々

リリエンベルク公国領北部にある街リム。これといった地場産業はないが、さらに北、ローゼンガルテン王国の北の国境と接しているいくつかの小国との交易窓口としての役割を持っていることから、北部では中堅くらいの規模となっている街だ。そうはいってもリ…

勇者の影で生まれた英雄 #65 疑惑

グレンの住居は駐屯地にある兵団長用の居館だ。将軍向けに用意されたものであるだけに、かなり大きな建物となっている。そこにローズと仲間たち全員が同居している。 その建物の一室でグレンはお茶の時間を楽しんでいた。とはいっても手元の書類を眺めながら…

異伝ブルーメンリッター戦記 #79 新たな物語では主要キャラも変わってくる

リリエンベルク公国の陥落、そして封鎖は徐々に民衆の耳にも届くようになってきた。リリエンベルク公国内との取引を行っている商人たちがその最初。その商人たちから他の人々に話が伝わっていった。ただその段階になるとローゼンガルテン王国も隠すよりも、…

勇者の影で生まれた英雄 #64 始動

銀狼兵団の駐屯地。 グレンたちは調練を本格化させていた。兵士は経験、能力に応じて細かな班に分けられており、その班ごとに調練内容が決められている。 やっている事はどの班も地味な基礎訓練ではあるが、その内容は元ウェヌス国軍の兵士たちにとっても、…

異伝ブルーメンリッター戦記 #78 魔王としての「初めてのおつかい」、ではない

ブラオリーリエを攻め落とそうとした魔人軍は引いた。だからといってリリエンベルク公国での戦いが終わったわけではない。再侵攻してくることは間違いなく、他の地域でも魔人軍はいくつかの部隊に分かれて、公国領の制圧に動いている。 その一つが獣王軍第二…

勇者の影で生まれた英雄 #63 募兵

グレンが訪れたのはゼクソン国内にある採掘場の一つ。 グレンも捕虜になった後、働いていた場所だ。監督官の指示により集まった捕虜たち、そしてウェヌス軍とは関係のない犯罪者たちを前にしてグレンはゆっくりと話を始めた。 「ゼクソンの客将として働くこ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #77 主人公の物語が狂い始める

リリエンベルク公国が魔人の手に落ちた。この情報を得たあともブルーメンリッター、花の騎士団はキルシュバオム公国を離れていない。これまで同様、目の前の戦いに追われていた。 同様といっても戦況に関しては以前よりも厳しい。花の騎士団の主力の一人、ユ…

勇者の影で生まれた英雄 #62 初会議

謁見の間から場所を移して会議を始めることになった。参加者は謁見の場にいた全員だ。そうであれば、その場で行えば良かったのにと思ったグレンだが、その疑問はゼクソン国王の第一声で解けることになる。何故、自分が呼ばれたのかの疑問も同時に。 「ウェヌ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #76 新章ではない。新しい物語だ

母は、自分は何者なのか。この疑問に対する答えがようやく得られた。 前魔王バルドルには三人の側近がいた。フェンリル、ヨルムンガンド、そしてジグルスの母ヘルの三人だ。どこかの神話で聞いたような名前だと話を聞いた時にジグルスは思ったが、これは余談…

勇者の影で生まれた英雄 #61 銀狼兵団

グレンはローズたちを連れてゼクソンの王都に辿り着いた。 同行したのは三十名。信頼出来る者だけを厳選した結果だ。グレンとローズを入れて総勢三十二名の一行は、王都に入るとすぐに丸々借り上げられた宿屋に案内された。 それだけの人数で戻ってきたこと…

異伝ブルーメンリッター戦記 #75 真実は残酷だ。だから人は隠したいと思うのだ

総指揮官がジグルスに討ち取られたことで魔人軍は撤退。形としてはそういうことで、総大将を討ち取ることで逆転勝利を得るという展開は過去の戦いにおいて何度もあったことだ。そうであるのだがジグルスはなんだか腑に落ちなかった。魔人軍が撤退していく様…

勇者の影で生まれた英雄 #60 接近

裏町を出た健太郎と結衣は、予定通り買い物をする為に表通りの店に入った。あらかじめ決めていた店だ。 人の行き来の多い大通りに面している店であるのだが、他に客の姿はない。店の方で気を使って人払いをしたのか、そもそも普段からこのようなのか分からな…

異伝ブルーメンリッター戦記 #74 モブキャラが覚醒したら何と呼ぶべきだろう

ブラオリーリエにこもるリリエンベルク公国軍との交渉は決裂に終わった。交渉の使者とされたフレイには初めから分かっていたことだ。リリエンベルク公国の中心都市シュバルツリーリエに残った人たちは皆、死を覚悟していた。それをブラオリーリエにいる人々…

勇者の影で生まれた英雄 #59 代役

ここ最近ずっと健太郎のイライラは止まらない。自慢気に異世界の知識をひけらかしてみても、そのほとんどを金が掛かるという理由で否定されてしまう。大将軍という地位に就き、軍の頂点に立ったと聞かされているのに、結局は自分の思ったようには物事が進ま…

異伝ブルーメンリッター戦記 #73 新たな物語は新たな登場人物を必要とする

キルシュバオム公国での戦いはローゼンガルテン王国軍の優勢で進んでいる。ただあくまでも現時点で考えた場合の優勢だ。魔人軍の侵攻を許し、いくつかの拠点を奪われているという事実は変わらない。 魔人軍はラヴェンデル公国軍での戦いとは異なり、拠点確保…

勇者の影で生まれた英雄 #58 勇者のつまずき

――グレンたちが王都を発って数日後。 ウェヌス国軍の兵舎の会議室では、いくつもの会議が行われていた。今は三一○一○中隊が会議中だ。会議といってもその内容は第三軍の実質的な解散の通達だった。 「第三軍は丸々、勇者の直轄軍になることに決まった。所属…

異伝ブルーメンリッター戦記 #72 老戦士はただ去るだけでは終われない

街道を力ない足取りで南下する人々の列。その最後尾には、前を歩く人々とは異なり、きちんと隊列を整えて歩く軍人たちの姿がある。リリエンベルク公国の中心都市シュバルツリーリエから逃れてきた人々だ。 今のところ魔人軍の襲来はない。だからといって、そ…