月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説

四季は大地を駆け巡る #156 四季は大地を

アインシュリッツ王国。ドュンケルハイト大森林の外にあるヒューガの国。旧ダクセン王国領であったこと、それに大森林との関係性を秘匿する為もあって、表向きの国王は元ダクセン王国将軍であったカール・マックが務めている。つい先日までは。 カール元将軍…

四季は大地を駆け巡る #155 答えはまだ先

静まり返った大広間。玉座に座るアレックス王の足を揺する音だけが響いている。普段であれば聞こえるはずのない音。数百人が一同に会することが出来るほどの、パルス王国の王城以外にはない大規模な広間なのだ。どれだけ集まった人々が静粛にしているつもり…

四季は大地を駆け巡る #154 目指す先

ヒューガにアイントラハト王国の臣下として正式に認められて、柄にもなく感激しているユリウス。その柄にもない態度をグランがからかったことで、場の雰囲気は一気に和やかなものに変わった。ユリウスをからかうことが出来る滅多にない機会と、皆が様々な言…

黒き狼たちの戦記 第45話 人に認められるということ

攻めるベルクムント王国とその従属国の連合軍は総勢一万六千。それに対するはフルーリンタクベルク砦に籠る中央諸国連合軍三百だ。砦を守る壁はあっても、そんなものはわずかな時間稼ぎにしかならない。ベルクムント王国にとっては勝利が確定している戦い、…

黒き狼たちの戦記 第44話 防壁の上で心の壁を感じた

山越えを終えたベルクムント王国軍は、すぐにフルーリンタクベルク砦に攻め寄せてきた。といってもその数は千ほど。残りは山を下りてすぐの場所で野営の準備を始めている。火薬を使って山道を切り開いたといっても、それは道を塞ぐ大岩があるなど、人力では…

四季は大地を駆け巡る #153 選択の時

ウエストエンド侯爵の戦死。この事実はパルス王国に衝撃を与えた。これまで何度も、まさかの事態が訪れ、その度に大いに揺れたパルス王国であったが、ウエストエンド侯爵戦死の報は、王国の崩壊を多くの人々に実感させるものだった。 南、東、西の三方での敗…

四季は大地を駆け巡る #152 もう一度

ユーロン双王国軍と対峙しているパルス王国軍に奇襲を仕掛けたライアンであるが、これまでの戦いのようにはいかなかった。奇襲といってもパルス王国軍は陣地内にいた。ユーロン双王国とは休戦状態にあるとはいえ、警戒を怠っていたわけではない。さらに想定…

四季は大地を駆け巡る #151 格の違い

ヒューガはレンベルク帝国の皇都に向かっている。レンベルク皇帝と会った後、何故かそういうことになったのだ。正直、ヒューガにとっては迷惑な誘い。やるべきことは沢山ある。国にとどまって執務に専念していたかったのだが、レンベルク皇帝に直接、帝国の…

黒き狼たちの戦記 第43話 聞いてないけど?

最前線となるガルンフィッセフルスでは、すでに先軍が戦っている。戦場に響き渡る爆発音。ベルクムント王国軍は新兵器を惜しむことなく、戦場に投入してきた。想定されていたことだ。だが初めてそれを見、それを聞くノイエラグーネ王国の兵士たちは、すっか…

黒き狼たちの戦記 第42話 戦う前から想定外

戦争に向けて準備を行っているのはアルカナ傭兵団だけではない。人知れず動いている組織がある。黒狼団だ。ベルクムント王国との戦いが始まると聞いたロートは、情報集めに動いた。太い情報源は今はまだいない。それでも食堂の、エマのかもしれないが、評判…

四季は大地を駆け巡る #150 新たな道

ドュンケルハイト大森林内の旧都。その中の一際大きな建物の一室でヒューガとイーストエンド侯爵は向かい合っている。イーストエンド侯爵にとって待ちに待った話し合いの場が用意されたのだ。同席しているのはクラウディアとカルポだけ。国同士の正式な交渉…

四季は大地を駆け巡る #149 罪と罰

パルス王国と魔王軍との間で、また大きな戦いが行われた。イーストエンド侯爵領に向かっていたパルス王国軍に対して、イエナ率いる魔王軍が奇襲を仕掛けたのだ。戦闘が開始したばかりの時こそ、魔王軍が優勢に戦いを進めていたが、すぐに膠着状態に入る。あ…

四季は大地を駆け巡る #148 想いの強さ

クラウディアの日常において拘束される時間はイーストエンド侯爵と話し合う時間しかない。それ以外の時間は全て自由時間。やることがないという状況は、クラウディアに疎外感を覚えさせてしまうものであるが、今は仕方がない。公式には彼女は無役。仮に正式…

黒き狼たちの戦記 第41話 視えないもの。視たくないもの

自分が特別であることに気が付いたのはいつのことだったか。記憶を探っても見つからない。特別であることが苦痛になった日のことは覚えている。何年何月なんて記憶はないが、その時の感情は今も胸にはっきりと刻まれている。 父親は商人だった。大商家といえ…

黒き狼たちの戦記 第40話 黒狼と呼ばれていたからって獣扱いするな

出陣の準備にアルカナ傭兵団施設は賑わっている。実際の準備は軍政局の仕事で、傭兵団の団員が行うことはそれほどないのだが、大国との戦争を前に気持ちが高ぶっていて、何をするにも騒がしくなってしまうのだ。 鍛錬場も多くの団員で賑わっている。残りわず…

四季は大地を駆け巡る #147 欲望そのものに善悪はない

クラウディアの要求をヒューガは、彼女が拍子抜けするくらいに、あっさりと受け入れた。イーストエンド侯爵はクラウディアの側で活動する自由を得たのだ。 もっともその自由には当然、制限がある。イーストエンド侯爵は拠点間を自由に行き来することは出来な…

四季は大地を駆け巡る #146 何の、そして誰の為に

ライアン率いる魔族の部隊はパルス王国の中央部を大きく迂回する形で北部から西部に向かっている。ユーロン双王国と対峙しているパルス王国軍に奇襲をかけるという作戦はパルス王国も想定したものだが、現時点ではその動きは掴まれていない。 イーストエンド…

四季は大地を駆け巡る #145 正しい選択

東部が魔王軍によって占拠された。この情報が届いたパルス王国王都は大混乱に陥った。王国による情報統制などまったく意味を為さない。魔王軍を恐れて東部から逃げてきた人々が情報統制を不可能にしてしまっていた。 南部に続いて東部まで奪われた。この事実…

黒き狼たちの戦記 第39話 ハイリスクで得られるのはハイリターンかノーリターンか

ベルクムント王国の宮殿では宴が催されている。感謝祭が終わってから半月と少し。ようやく世間に日常が戻ったばかりのこの時期に開かれた宴。定例のものではない。中央諸国連合への侵攻が発表され、公式なものとなったことで壮行会が開かれているのだ。 停戦…

黒き狼たちの戦記 第38話 その時に応じて考えを改めることは必要だ

感謝祭明け四日目くらいになると、実家で過ごしているだけでは退屈になった人々が、新しい年の始まりに神への祈りを捧げる為に教会に行く、という名目で外出するようになる。そうなると食堂や商店はそういった人々目当てに普通に営業を始めることになる。傭…

黒き狼たちの戦記 第37話 感謝祭を感謝するのは当たり前?

感謝祭当日の昼。ヴォルフリックはアルカナ傭兵団施設の外にいた。特別に外出許可が出たのだ。許された理由は食堂が休みだから。感謝祭当日から先、二週間は食堂の職員も実家に戻ることになる。その間の食事は自分でなんとかするしかないのだが、街の食堂や…

黒き狼たちの戦記 第36話 信じる者が救われるなら疑う者はどうなるの?

傭兵団施設の食堂。今日のその場所はいつもとは違う騒がしさ。多くの騎士や従士が興奮した様子で大声で語り合っている。感謝祭を間近に控えて皆が浮かれているから、ではない。彼らの興奮は喜びから生まれたものではなく、その逆。初めて見た武器に恐れを抱…

四季は大地を駆け巡る #144 再会の夜

ドュンケルハイト大森林に逃げ込んだイーストエンド侯爵家軍は百名を少し超える程度。イーストエンド侯爵を守っていた精鋭部隊が乱戦の中でもなんとか規律を維持し、アイントラハト王国軍に引き離されることなく退却を続け、魔王軍の追撃を振り切ったのだ。 …

四季は大地を駆け巡る #143 月の預言者

ヒューガが政務から遠ざかってしまうとその分の負担のほぼ全てをカルポが背負うことになってしまう。特に明確な定めはないのだが、アイントラハト王国において、王であるヒューガに次ぐ高位にあるのは季節の軍を任されている四人、エアル、カルポ、冬樹、夏…

黒き狼たちの戦記 第35話 人はそれぞれ背負っているものがある

ノートメアシュトラーセ王国は小国。その小国の二十人にも満たないアルカナ傭兵団の上級騎士たちが、大陸の東西二大国ベルクムント王国とオストハウプトシュタット王国を相手にして堂々と渡り合っている。そのアルカナ傭兵団の上級騎士たちはクローヴィスに…

黒き狼たちの戦記 第34話 敵を知る。まずはそこから始めよう

三団対抗戦の第二戦、近衛騎士団と王国騎士団の対戦は近衛騎士団の三戦全勝という結果に終わった。王国騎士団としては、アルカナ傭兵団との対戦を含めて一勝も出来なかったという惨敗であるが、それなりに意地を見せた結果だ。近衛騎士団との対戦は捨て試合…

黒き狼たちの戦記 第33話 愚策であることも分からない愚か者たち

三団対抗戦当日。会場となる王国騎士団の屋外鍛錬場の倉庫でボリスは、大きな体を丸めて、何やら作業をしている。流れる幾筋もの大粒の汗。それはすでにボリスの服を、びっしょりと濡らしていた。 拳を握り、手に持った剣に打ち付ける。その度に金属音が響き…

四季は大地を駆け巡る #142 止まらない歩み

優斗率いる魔王軍によるイーストエンド侯爵家軍殲滅作戦は、成功と言える結果で終わった。たとえイーストエンド侯爵家軍に止めをさした最大の要因が、ルナの極限魔法による被害だったとしても。 ルナの極限魔法により甚大な被害を受けたのはイーストエンド侯…

四季は大地を駆け巡る #141 招いた悲劇

逃げるヒューガたちを追いかける優斗の前に立ち塞がったのはギゼン。戦場に現れたのは彼だけではない、ホーホーに騎乗した春の軍、そして秋の軍の一部が、ヒューガたちの脱出ルートを切り開く為に動き回っている。彼らにとって魔王軍もイーストエンド侯爵家…

四季は大地を駆け巡る #140 宣言

激しい戦いが行われていた戦場に静けさが広がっていく。優斗のやり様に呆れた多くの魔族が、成り行きを気にして戦いの手を止めた結果だ。劣勢であったイーストエンド侯爵家軍もその隙をついて反撃に出るような真似はしない。一時、優勢になってもすぐに戦況…