月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説

四季は大地を駆け巡る #35 エルフたちの選択

拠点の扉が開いた。そんなものがどこにあるのかと思っていたら、寝泊りしている一番大きな建物に地下に通じる隠し階段があった。ルナは良くこんなの知ってたな。 早速、それを使ってエルフの都に行ってみることにした。行くのは僕とルナ。カルポは……先生から…

勇者の影で生まれた英雄 #17 高貴な人との出会い

今日もいつも通り、早朝から起きて裏庭で鍛錬を行っているグレン。いつもと異なるのはその動き。激しい動きは抑えて、ゆっくりと一つ一つの動きを確かめるようにして、それを行っていた。 「何だか自分の体じゃないみたいだ」 自分の体の違和感にかなり戸惑…

異伝ブルーメンリッター戦記 #9 主役不在のイベント

合宿所で一晩を過ごした後は、いよいよ本格的な調練が始まる。 初日は山頂に向かっての登山。いくつかの集団に分かれて、それぞれが決められたルートで山頂のゴールを目指すのだ。登山と言ってもそれなりに整備された道を進むことになるので、体力のある生徒…

勇者の影で生まれた英雄 #16 勇者との立ち合い

「僕と勝負しろ!」 「……はあっ!?」 突然、勇者に勝負を申し込まれたグレンは、惚けた声を出した後、その場に固まってしまった。 グレンもこの展開は予想していなかった。出来るわけがない。勇者の存在など眼中になかったのだ。 「僕と勝負しろ。僕に勝っ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #8 モブキャラの秘密

一、二年生が一緒に参加する学院行事である強化合宿。それが行われる山中の合宿所はジグルスが思っていたのとは違って、実に快適な場所だった。 立ち並ぶ宿泊施設は王都の下手な住居より遙かに立派な建物。建物の中も綺麗に整えられている。詰め込まれて寝る…

勇者の影で生まれた英雄 #15 直談判

王国騎士団の調練場は、官舎のすぐ横にある。国軍のそれよりも遥かに広大な敷地だ。騎士団が国軍より格上だからという理由もあるが、それだけでもない。王国騎士団が保有する騎馬部隊の調練をするには、広い敷地が必要だという事だ。 この広大な調練場は、今…

四季は大地を駆け巡る #34 魔族の視点

ヒューガくんの鍛錬を始めて一週間。鍛錬の内容は変えていません。土台をしっかり作らないと本当の意味での強さなど手に入りませんからね。 ヒューガくんは文句を言いながらも、地味な鍛錬を黙々とこなしている。本質的に努力というものが好きなのかもしれま…

勇者の影で生まれた英雄 #14 動き出した何か

宿屋にローズが戻ってみると、食堂にグレンが一人で座っていた。フローラの姿はない。何となく嫌な予感がして、素知らぬ顔で階段に向かおうとしたローズだったが。 「座れ」 グレンの、この一言で動きを止められた。 「……えっと、フローラちゃんは?」 「部…

四季は大地を駆け巡る #33 鍛錬が始まる

ヒューガは待ち合わせ場所で魔族、先生と合流した後、すぐに転移で鍛錬場とした場所に跳んだ。そこはかつてエルフの拠点だった場所。はじめにヒューガがイメージした通り、砦と呼ぶに相応しい造りをしている。 パルス王国との戦い以後、百年は放置されたまま…

勇者の影で生まれた英雄 #13 まさかのデートのお相手は

今日は国軍の休養日だというのに、グレンは騎士団官舎を訪れていた。バレル千人将の侍女サラとの待ち合わせの為だ。 約束の時間はもうとっくに過ぎている。どうやらすっぽかされたようだとグレンは判断した。軍を退役しようとしている話は当然、侍女は知って…

四季は大地を駆け巡る #32 精霊たちの意思

目の前には腰に手を当てて仁王立ちのセレ。最近、何度も見ている光景だ。正直、何故ここまでセレに怒られなければならないのかヒューガには分からない。本人は特別、悪いことを行っているつもりはなく、ただ流れに身を任せているだけなのだ。その流れが異常…

勇者の影で生まれた英雄 #12 女性たちの密約

ドーン元中隊長の家を出て、宿屋に戻るグレンの足取りは重い。表には出さなかったが、心の中では大きく動揺していたのだ。 地方貴族から逃げているグレン。だが逃げなければいけない相手は、地方貴族どころか国そのものであったのだから動揺するのは当たり前…

勇者の影で生まれた英雄 #11 両親の秘密

監察官が期限をむかえて、すごすごと帰って行った翌日。グレンは,ドーン元中隊長の家を訪れていた。監察の結果の報告と、その成功報酬を受け取るためだ。 「いくつか指摘はされましたが、それで中隊長が罪に問われることはないはずです。よくある計算ミス、…

異伝ブルーメンリッター戦記 #7 モブキャラの奮闘~リーゼロッテの回想

部室を訪れる者たちもすっかり少なくなったわ。 あの女との対戦で負けてから、私とあの女との力関係は完全に逆転した。ある者はあの女が被っている偽善に騙されて、ある者はあの女が垣間見せた裏の顔。その力を恐れて。 かつては信頼できる友人であったエカ…

勇者の影で生まれた英雄 #10 中隊長就任

合同演習からしばらくして、グレンは三一○大隊長であるバレル千人将に呼び出された。 千人将ともなると国軍の兵舎には居ない。王城の直ぐ脇にある王国騎士団の官舎に執務室を持っているのだ。 バレル千人将の部屋に向かうグレンには微妙な視線が向けられてい…

四季は大地を駆け巡る #31 意外な巡り会い

目の前に立っているのは得体のしれない人間。人間といって良いのだろうか。その人の顔はヒューガには何故かぼやけて良く見えない。 ルナたちが強い人を見つけたとヒューガに告げてきた。大森林にそんな人がいるのかと驚いたが、鍛錬に行き詰っているヒューガ…

勇者の影で生まれた英雄 #9 合同演習会

グレンの小隊が参加する合同演習の日がやってきた。 演習に参加するのは第二軍、第三軍から選ばれた部隊。歩兵部隊三千、弓兵部隊千、騎馬部隊千、そして本陣の五百の五千五百を一軍として敵味方に分かれて争うことになる。 合同演習の視察に現れた高官はそ…

四季は大地を駆け巡る #30 心の傷

陽もすっかり落ち、いつもであれば静けさに覆われているはずの野営の地も、今日に限っては喧噪があたりに響いている。そこかしこに篝火がたかれ、その周りに集まった兵たちが祝宴を楽しんでいるのだ。 自分の手柄を声高々に自慢している者、仲間と共に戦いを…

勇者の影で生まれた英雄 #8 協力者が現る

退役が決まったとはいえ、まだ先の話。三一○一○中隊を任されているドーンにはまだまだやることがある……はずなのだが。 このところのドーン中隊長は調練の時間以外は暇を持て余していた。それなりにある事務仕事のほとんどを、グレンが行っているからだ。 グ…

逢魔が時に龍が舞う #11 YOMI

天宮の登場は絶望的な状況であった第五分隊にとっては救いの神。そして敵にとっては。 倒れた仲間を一瞥しただけで、それ以上の興味は全くないという様子で、残りの鬼が天宮に近づいてくる。別におかしなことではない。鬼には人としての感情などない。ただ殺…

勇者の影で生まれた英雄 #7 もうひとつの顔

いつもの様に暗いうちに起きて、裏庭で鍛錬を始めていたグレン。 ふと気配を感じて剣を振る手を止める。振り向いた先には、ローズが壁に寄り掛かる様にして立っていた。 「早起きですね?」 「君が物音を立てるからよ。お蔭で起きてしまったわ」 「フローラ…

逢魔が時に龍に舞う #10 意地

灯りの消えた都会のビルの森を進む天宮。所々にある非常灯の明かりのおかげで、闇に視界を完全に閉ざされるまでには至っていないのは救いだ。部隊に用意してもらった暗視ゴーグルではあるが、このような状況の戦闘などは想定しておらず装着しての訓練など行…

勇者の影で生まれた英雄 #6 小隊の宴会

盗賊討伐の任務を終えて、三一○一○中隊は王都に帰還した。 まずは国軍兵舎に入って軍政局に任務完了の報告を行う。報告を終えて、軍政局から任務終了の承認を得て初めて解散となるのだ。 救出された女性たちは軍政局に引き渡された。彼女たちを元の家に戻す…

異伝 ブルーメンリッター戦記 #6 主人公の悪意

主人公が進めている攻略ルート。カロリーネ王女を取り込む為の工作を行ったからといって、自分が考える最強ルートだと決めつけることは出来ないとジグルスは思い始めた。主人公はゲームシナリオにとらわれることなく、ゲームの仕組みを熟知した上で自ら考え…

四季は大地を駆け巡る #29 いつか来る日の為に

「「「「せい! やっ!」」」」 貧民区に子供たちの掛け声が響いている。 「最後!」 「「「「せい!」」」」 「よし、今日はここまで!」 「「「「はい!」」」」 ギゼンから終了の声がかかったところで子供たちは木剣を腰に差して、駆け足で彼の前に集まっ…

勇者の影で生まれた英雄 #5 小隊長裏試験

グレンが出て行った天幕の中では、ドーン中隊長が腕を組んだまま、じっと身じろぎもしないで居た。しばらく、そうしていた中隊長であったが、その口がゆっくりと開いた。 「もう良いぞ」 中隊長の声に反応して出てきたのは、グレンを除いた小隊長の面々だっ…

異伝 ブルーメンリッター戦記 #5 モブキャラの賭け

疑わしい人たちが無罪であることを確認して真犯人を絞り込んだ。その上で、リーゼロッテが犯人であるという噂を塗り替える為の工作も行った。あとは最後の仕上げ。これが成し遂げられなければ、ここまでのことはほとんど意味を為さなくなる。だが、ジグルス…

勇者の影で生まれた英雄 #4 盗賊討伐任務

ウェヌス王国軍には三軍の他にも軍組織がある。地方軍と呼ばれているのが、それだ。 三軍が対外戦、外国との戦いを担っているのに対し、地方軍は国内治安維持を担当している。主な役割は盗賊退治や、何十年も起こっていないが地方領主の反乱鎮圧などだ。 だ…

四季は大地を駆け巡る #28 精霊たちとの繋がり

体が回復してきたところでヒューガはセレに外出の許可を取った。外出といっても遠くまで出かけられるはずはなく、出歩いて良いのはエルフの都を囲む結界の中だけだ。 まったく問題ない。ヒューガが寝ている間に大森林の季節は冬に変わっていた。許可の有無に…

勇者の影で生まれた英雄 #3 元帥の講義

グレンの毎日のスケジュールが、かなり固定されてきた。 二と半刻に起き出して、宿の裏庭での鍛錬。裏庭の散らかりようは相変わらずだが、グレンは毎日、廃材の位置を変える事にした。規則性はない。適当にばらまくだけだ。 乱雑といっても毎日決まった場所…