月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説

異伝ブルーメンリッター戦記 #22 敵役は敵であって悪ではない

学院の授業が熱を帯びるようになった、といっても一部の授業だけだ。中でも剣の授業は、合宿に参加する生徒たちにとっては放課後以外に鍛えられる貴重な時間。鍛錬場のあちこちで激しい立ち合いが行われていた。 それはリーゼロッテたちも変わらない。チーム…

悪役令嬢に恋をして #25 驚きの事実

エアリエルとアーノルド王太子の仲が急接近している。今はほぼ毎日、常に行動を共にしているという状態だ。 きっかけが何だったのか、リオンには分かっていない。それを調べるつもりもない。どんな理由であっても、二人の仲が良くなる事はリオンが望む状況だ…

四季は大地を駆け巡る #60 真の建国の日

ヒューガの目の前に東の拠点で暮らす全員が並んでいる。その中にはブロンテースと無名の人族の顔も見える。そして南の拠点で療養していた三人のエルフたちの姿まで。 人々が集まっているのはヒューガたちの出立を見送る為だ。 こういった大袈裟なことは不要…

悪役令嬢に恋をして #24 王太子の恋

リオンの行動を観察している者がいれば、その精力的な活動に驚愕するだろう。そう思える程、リオンは色々なところに手を伸ばして、様々な工作を行っている。一従者が、それも自家の力も借りずに、やれるようなことではない。 それを可能としているのは、ただ…

四季は大地を駆け巡る #59 第五百四回精霊会議

結界の目途が立ったことで、ヒューガは早速、都を使うことについてセレネに話を通すこととした。扉を抜けて、西の拠点に着く。この場所に来るのも久しぶりだ。 セレネとだけ話をして、すぐに東の拠点に戻るつもりだったのだが、彼女は部屋にいなかった。仕方…

悪役令嬢に恋をして #23 イベント:魔人の胎動(後半)

数だけであれば勝てると騎士は言った。 だがそれも数に限りがある前提での話だ。アンデッドの魔物たちは、倒しても倒しても立ち上がってくる。そんな敵が相手では勝てるはずがない。 それだけではない。いつの間にか後ろからも魔物が襲い掛かってくるように…

悪役令嬢に恋をして #22 イベント:魔人の胎動(前半)

「何故、こうなった?」 こんな呟きを漏らしても今更だ。事はもう進んでいるのだ。リオンはエアリエルの付添で、王都からそう遠くない場所にある廃城の中を歩いている。 同行者はアーノルド王太子、ランスロット、シャルロット、そしてマリア。この四人と、…

四季は大地を駆け巡る #58 新時代の到来

エアルは毎日、ヒューガの部屋に通っている。特に何か用があるわけではないが、忙しい中、少しでも時間が空くとヒューガに会いに行くのだ。 ほんのわずかな時間、顔を見せるだけのこともあるので、ヒューガからさすがにそれは止めろと言われたのだが、エアル…

悪役令嬢に恋をして #21 それぞれの思い

アーノルド王太子に対する周囲の評価は高い。 成績は常に一番。魔法については、飛び抜けた力はないが、それでも優秀な部類であり、何よりもそれを補って余りある剣の才能を有している。剣と魔法を融合した魔法剣『炎剣』の使い手としては、この年齢ですでに…

四季は大地を駆け巡る #57 決断の時

手元にある資料にヒューガは何度も目を通す。それほど難しい内容が書かれているわけではない。数分で読み終えられるものだ。それでもヒューガは、その資料を何度も見返さざるを得なかった。 そうしている間に、皆が会議室に集まってくる。エアル、カルポ、ハ…

悪役令嬢に恋をして #20 敵役にだって穏やかな日常はある

運命というべきか、設定というべきか。とにかく、この世界に働く理不尽な力にリオンは怒りを覚えている。 とにかくマリアにエアリエルを近づけないことだ。そう考えて、リオンなりに様々な努力をしているつもりなのだが、それは悉く無になっている。 事ある…

四季は大地を駆け巡る #56 喜びのない帰還

エアルたちが大森林に帰ってきた。まっすぐに拠点に戻ってくるものだとヒューガは思っていたのだが、彼女たちは大森林の外縁部に留まったまま。逆にヒューガに来て欲しいと伝えてきた。 何か問題が起きたと考えて、急いでやってきたヒューガ。エアルたちから…

悪役令嬢に恋をして #19 悪役令嬢の望みは

まだ辺りは暗く、天には星が瞬いている。静まり返った校舎の裏庭。森と見間違うほどに豊かに生い茂る木々の間を、リオンの振る剣の風切音が響いていた。 ここがリオンの毎日の鍛錬の場所だ。 朝の鍛錬は、もっぱら体力づくりと素振りなどの基礎が主なものと…

四季は大地を駆け巡る #55 第五百回くらい精霊会議

ドュンケルハイト大森林の外縁も外縁。出口にあたる場所にヒューガたちは立っている。今日はいよいよエアルたちが出立する日なのだ。 旅支度を整えたエアル、ハンゾウたち十一人は彼等が大森林に入るときに使った隠し通路から外に出て行くことになっている。…

悪役令嬢に恋をして #18 悪役令嬢が舞台に昇った日

次から次と馬車が到着しては荷物を降ろしていく。その荷物とそれを運ぶ人々で、校門の前はごった返している。 毎年、入学の時期に見られる光景だ。 混雑を避ける為に校門から少し離れた場所で、リオンはヴィンセントと並んで立って、その光景を眺めていた。 …

四季は大地を駆け巡る #54 大きな一歩

先生が拠点から姿を消した後も、ヒューガたちは厳しい鍛錬を続けている。寂しさを感じていないわけではないが、鍛錬に限っては、以前よりも気合が入っているくらいだ。先生が戻ってくることがあった時、情けない姿を見せるわけにはいかない。皆がこんな思い…

悪役令嬢に恋をして #17 行動、行動、行動

決断してからのリオンの生活は、一段と忙しいものになった。やらなければならない事は山ほどあるのだ。 まず力を入れたのは自己の鍛錬。最終手段はマリアを殺すこととしても、その力がなければ話にならない。 何といっても、魔法に関してマリアは天才と評さ…

四季は大地を駆け巡る #53 師との別れ

まだわずかに雪が残る草原をホーホーの群れが駆けている。その先頭に立つのはコクオウ。一際大きな黒い馬体が陽の光に輝いていて、とても綺麗だ。 コクオウたちはある日突然この草原に現れた。何故、ヒューガたちのいる場所が分かったのか。それはルナの「ん…

悪役令嬢に恋をして #15 この世界はどこかおかしい

目の前には多くの書物が積み重なっている。リオンは、ヴィンセントにお願いして自由時間を貰い、図書室にこもって調べものをしていた。 それはほぼ終わっている。いくら調べても新しい事実が見つかることはなく、リオンの考えが間違っていないと裏付けられた…

悪役令嬢に恋をして #14 イベント:遠足(後半)

先に進むヴィンセントたちを追いかけたリオンだったが、思いがけず、早く追いつくことになった。全力で逃げなければならない状況の中で、ヴィンセントたちは立ち止まっていたのだ。 「どうされましたか?」 「それが……」 ヴィンセントたちが立ち止まっていた…

四季は大地を駆け巡る #52 生まれた格差

東の拠点見学会が開催された。ヒューガが想像していた以上に見学会は盛況。多くの西の拠点のエルフが参加している。それだけ東の拠点が気になっていたということだ。 まずは拠点内の見学。想像していたのとは違う荒れた建物を見て、見学者たちはかなり驚いて…

悪役令嬢に恋をして #13 イベント:遠足(前半)

学院に来てから、ヴィンセントの評判は良くなるどころか落ちる一方。それも事実とは異なる理不尽な噂によってだ。 噂の出所を突き止めようと、リオンは散々に動き回ったのだが、全く辿り着く事が出来なかった。必ずどこかで「何となく聞いた」という答えが返…

四季は大地を駆け巡る #51 新居へのお引っ越し

いよいよ新しい拠点への引っ越しの日。といっても荷物はほとんど運び終わっていて、エアルやハンゾウたち、ブロンテースはとっくに新拠点での生活を始めている。当然、先生も一緒。引っ越しの為に長く鍛錬を休むわけにはいかない。ヒューガも当然、鍛錬につ…

悪役令嬢に恋をして #12 偉い人相手のお芝居は大変だ

休暇も残り数日となって、リオンは学院に戻る準備を進めている。リオンとしては、かなり満足出来る日々だった。 ウィンヒール侯爵の側室であり、エルウィンの母であるユリアとは初対面の後、一度だけ会いに行った。 全く会いにいかなくても頻繁に会いに行っ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #21 物語にはないパーティー編成

学院で臨時強化合宿の実施が公にされた。タバートが予想していた通り、合宿は現在、学院に通っている公爵家の子弟を中心にしてチームを編成し、行われることになる。つまりリーゼロッテ、タバート、そしてエカードがそれぞれ自分のチームを編成して、魔物と…

勇者の影で生まれた英雄 #44 一つの区切り

出陣式当日。騎士団は慌ただしく準備に追われていた。 国王を筆頭に王族が一同に会する式である。晴れ姿を披露しようと、騎士たちは自慢の鎧兜をピカピカに磨き上げて式に臨むのだ。 式が終われば直ぐに出陣となる。戦争に臨む前の最後の華やかな式典。戦争…

異伝ブルーメンリッター戦記 #20 配役は変わらない

放課後の部室。勉強会は終わり、今は居残りたい生徒がそれぞれ好きなことをして過ごす時間だ。寮生活のジグルスはいつも居残り組。部屋に戻っても特に何かやることがあるわけではない。そうであれば夕食の時間まで部室に残って、生徒たちが持ち寄った本を読…

勇者の影で生まれた英雄 #43 触れ合う想い

国軍が王都から出陣した。中隊単位に分かれての密やかな出立だ。王都から少し離れた場所で集合して、ゼクソン国境の砦に向かうことになる。 密やかなと言っても見る人が見れば分かる。毎日のように王都から国軍部隊が幾つも出て行って戻らないとなれば、それ…

異伝ブルーメンリッター戦記 #19 物語はまさかの……

ジグルスの周囲が騒がしい。実際に彼の周囲の人たちが騒いでいるのではなく、第三者といえる生徒たちが噂話で盛り上がっているのだ。 そうなった原因は王家主催のパーティーにある。無位無冠の男爵家の子が国王に呼ばれ、密談を行っていた。この事実が知られ…

勇者の影で生まれた英雄 #42 王女殿下の贈り物

グレンたちの仕事の期限が近づいて来ていた。 グレンとしてはいささか不本意な状況ではある。やはり期限までには全てをやりきる事は出来そうもないからだ。それでも、自分たちなりに見つけた問題点をあげて、それの改善案を策定し、それに基づく行軍計画を粗…