グレートアレクサンドロス帝国によるファティラース王国への攻勢。ウィンヒール王国によるグランフラム王国への侵攻。この二つは同日に開始された。両国で日にちを示し合わせての事だ。
グレートアレクサンドロス帝国は、一時的にとはいえ、旧グランフラム王都である帝都トキオの守りを薄くする事になり、その隙を突いてグランフラム王国が攻め込むような事態は許したくなかった、という名目になってはいるが、実際には互いに相手の裏切りを警戒しての事だ。
それぞれの戦いの結果が、この先の両国の関係を決定づける事になる。特にウィンヒール王国としては、早期にグランフラム王国を滅ぼし、その力を吸収した上でオクス王国、ハシウ王国など東方へ手を伸ばしたいところだ。それがグレートアレクサンドロス帝国との力の差を縮める唯一の道なのだ。
バンドゥの北にあるオークリー子爵領。ここがウィンヒール王国とグランフラム王国の戦いの舞台となった。
ウィンヒール王国軍三万に対するグランフラム王国軍は二万。王国騎士兵団一万五千に貴族軍が三千、それにオクス王国とハシウ王国のそれぞれ千の援軍が加わっている。グランフラム王国からの派兵の要請に両国が応えた結果だ。
千という数をどう捉えるかは微妙なところだが、今のグランフラム王国に文句を言える力はない。
「これはこれは姫。お元気そうでなによりです」
グランフラム王国軍の本陣にやってきたオクス王国のアレックス王子の第一声はこれだった。グランフラム王国の面々は何を言い出しているのかと戸惑っている。
「……久しぶりね」
アレックス王子に応えたのはエアリエルだった。エアリエルも、その魔法の力を買われて、戦場に同行しているのだ。このせいで、ただでさえ不機嫌そうだったエアリエルの表情が更にきつくなる。
「その厳しい視線。相変わらず素敵だ。その美しい瞳で睨まれると、私の身も心も蕩けてしまいそうだ」
「変態。そういう事を言っていると……」
エアリエルは途中で言葉を止めた。リオンの名を口にしてしまいそうになったからだ。
「大丈夫です。幸いにも今、この場にはリオン殿はいない。姫を口説いても殺される心配はない」
アレックス王子はエアリエルが何を言おうとしたのか分かっていた。エアリエルに対して口説き文句を言っては、リオンの殺気に怯える。以前、アレックス王子がカマークを訪れる度に繰り返していた事だ。分かっても当然だが、アレックス王子の言い回しが、エアリエルには気になった。
エアリエルが探るような視線を向けると、アレックス王子も意味ありげな笑みで返す。この反応でエアリエルには分かった。アレックス王子は、リオンが生きている事を知っていると。
「さて、姫との再会を喜ぶのは後にして。初めまして、グランフラム王。オクス王国第二王子のアレックス・ダンテ。後ろに居るのは、我が国のスティール・ロウ将軍だ」
アレックス王子の後ろに控えていた初老の武人が、前に進み出て軽く頭を下げる。本陣の中に少しほっとした雰囲気が流れた。
スティール・ロウ将軍は、オクス王国軍の頂点に立つ将軍。この将軍を派遣したという事は、本気で戦うつもりで援軍を送ってきた可能性が高くなる。
「グランフラム国王エドワード三世・ハイランドだ。援軍に深く感謝する。右に居るのが、マーカス・アストランド騎士兵団長。左が近衛騎士団長のフレデリック・ドーソンだ」
アレックス王子の挨拶にグランフラム国王も応える。
「ハシウ王国も到着していたと思うが」
グランフラム国王の挨拶に対して何も言う事なく、アレックス王子はハシウ王国について尋ねてきた。
「ここに居る」
この問いへの答えはアレックス王子の後ろから聞こえてきた。後ろに立っていたのは、アレックス王子と同世代くらいの男性が二人だ。
「……ほう。そう来たか」
返事をした男性の顔を見たアレックス王子は、普段のおちゃらけた表情を消し去って、不敵な笑みを浮かべている。
「抜け駆けされては堪らんからな。さて……初めまして、ハシウ王国の第二王子ハリー・ウォルダムです」
「……あっ、エアリエルですわ。初めまして」
ハリー王子の視線が自分に向いている事に気が付いて、エアリエルは挨拶を返した。
「リオン殿のおかげで、ハシウ王国は随分と救われました。そうであるのに、これまで一度も挨拶出来ずに誠に申し訳ない」
「いえ。貴国にはバンドゥも助けられました。それにメリカ王国との戦いでのご助力も忘れていませんわ」
メリカ王国に侵入したリオンの支援の為に、ハシウ王国も軍を出している。ハシウ王国軍の出兵があってこそ、オクス王国は裏切りを思いとどまったのだ。エアリエルにとって、ハシウ王国は恩人と言っても良い相手だ。
「そのような御言葉を逆に頂くとは、大変恐縮です。信頼関係は築けていると考えて宜しいですか?」
「ええ。もちろんですわ」
エアリエルのこの言葉を受けて、ハリー王子は満足そうだ。それでようやく、その視線がグランフラム国王に向く。
「ハリー・ウォルダムだ。同行したのは我が国の軍を率いるフレディー・ドーソン将軍」
「……ああ。参陣に感謝する」
ハリー王子の態度を訝しく思いながらも、グランフラム国王は挨拶を返す。ここで文句を言って帰国されても困る。帰国だけならまだ良いが、敵に回られては最悪だ。
「では、皆様が揃ったところで、軍議を始めさせて頂いて宜しいですかな?」
マーカス騎士兵団長が立ち上がって、軍議の開始を伝えた。
「……全員と言うが、キール・ブラウ殿がいないようだが?」
それにハスラー王子が異を唱える。
「ブラウ男爵は……」
マーカス騎士兵団長は答えに詰まった。どう答えて良いものか、すぐに判断が付かなかったのだ。
「キールを知っているのか?」
代わりに応えたのはアーノルド王太子だ。ただ答えではなく、問いで返している。
「ハシウ王国の者が、バンドゥ党首を知らないはずがない」
「それもそうか。キールは別の場所に居る」
「既に戦いは始まっている訳か。良いだろう。では軍議を始めてくれ」
ハスラー王子は、アーノルド王太子の言葉の意味を正しく理解した。バンドゥ領軍の力を知っていれば、こう思うことは当然だが、アーノルド王太子は何となく油断ならないものをハスラー王子に感じた。
アレックス王子に対する印象も同じようなものだ。
「では軍議を始める。敵の軍勢は三万。元ウィンヒール侯軍が一万。それ以外は従属貴族軍だ。説明するまでもなく、敵の主力軍は元ウィンヒール侯軍の一万。これを攻める。中核となる元ウィンヒール侯軍を壊滅させれば、この後の戦いも我が方が圧倒的に有利になる」
言っている事はその通り。問題はどうやって殲滅させるかだ。
「我が軍は中央に騎士兵団の一万を置く。左翼に同じく騎士兵団の五千。オクス王国軍とハシウ王国軍には右翼をお願いしたい」
明らかに無理がある布陣だ。
「二千で一万の敵と戦えと?」
案の定、ハリー王子が文句を言ってきた。ウィンヒール王国軍の布陣は、中央左右に一万づつ。主力は中央だとはいえ、一万と戦うのは容易ではない。
「貴族軍の三千も居る。それでも苦しいのは理解しているが、何とか耐えて頂きたい」
「耐えていれば何かがあるのか?」
「敵を討てる」
マーカス騎士兵団長には何か策がある。それは分かるが、何の説明もないのは納得がいかない。
「分かっているのか? 右翼が一番弱くなる。敵は必ず、その右翼を崩そうとするはずだ」
弱い所を狙うのは当たり前の事。ウィンヒール王国側は、右翼に攻撃を集中させてくる可能性だってある。右翼が崩されれば、中央は右と正面の二方面から攻撃を受けることになる。いくら騎士兵団が強いといっても、その状況になれば耐え切れる可能性は低い。
「もちろん分かっている。耐えるのはそう長くない時間だ」
「……そういう事か」
つまり右翼は囮だ。弱いと見せて、そこに敵の兵を集める事が目的。集めてどうするつもりかと考えると、この場に居ないバンドゥ領軍が気になる。
だがこれが分かると、今度はこんな見え見えの誘いに敵が乗ってくるのか、ハスラー王子は疑問に思ってしまった。
「敵の総大将は?」
「エルウィンが自ら出てきている」
ウィンヒール王国にとっても、ここは正念場。エルウィンは全力で、グランフラム王国に当たろうとしているのだ。
「前侯爵は?」
エルウィンは若く、経験も少ない。実際に指揮する者は別だとハスラー王子は考えている。
「前侯爵は、我が国に居る」
前侯爵は、エアリエルの提案を受け入れて、完全に引退しただけでなく、エアリエルの元で生活する事を選んだ。孫とのんびりと暮らす。これが今の元侯爵夫妻の希望だ。
だからグランフラム王国に協力する事もない。今頃はカマークで、フラウの相手をしているに違いない。
「嵌まるかな?」
エルウィンであれば嵌まるかもしれないという期待はあるが、絶対とは言えない。
「敵が右翼を警戒するなら、それはそれで良い。それだけ戦いに投入する数が減るだけだ」
そして同数であれば、絶対に勝てるという自信がマーカス騎士兵団長にはある。
「俺からも一つ聞きたい」
ここでアレックス王子も話に入ってきた。
「聞きたい事とは?」
「ウィンヒール王国は、銃とやらは持っていないのか?」
「それは……ないと考えている」
マーカス騎士兵団長はやや自信なさげだ。グレートブリタリア帝国からウィンヒール王国に渡されている可能性は、グランフラム王国も考えており、それを調べさせてもいる。だがあるともないとも、まだはっきりしていない。
ただ、今、戦場には銃らしきものが見えないのは事実だ。
「曖昧な答えだが、まあ良いか。存在していても、向けられるのは恐らく我が軍ではないからな」
敵が銃で狙うとすれば、主力である王国騎士兵団軍だ。主力の王国騎士兵団が戦えなくなれば、それでグランフラム王国は終わり。補充が効かない分、ウィンヒール王国よりも深刻なのだ。
「布陣については宜しいか? では次に移る」
不確定要素はいくつかあるが、それでも軍議は進んでいく。戦いはもう目の前。悩んでいる時ではない。覚悟を決めて、戦いに臨むしかないのだ。
◇◇◇
――結果として、エルウィンはグランフラム王国側の作戦にまんまと嵌った。
「左翼を支えろ! 崩されるな!」
グランフラム王国軍の右翼に攻勢をかけようとしたウィンヒール王国軍だったが、初っ端からいきなり躓く事になった。敵右翼からの大規模魔法攻撃で、前衛が隊列をズタズタにされたところに、オクス王国とハシウ王国軍の騎馬隊が陣を飛び出して攻め掛けてきたのだ。
陣を固めて守りに徹すると考えていたウィンヒール王国軍左翼は、まさかの突撃に大混乱。それでも何とか大軍を活かして体勢を整えたのだが、そこに更に、側面からバンドゥ領軍が奇襲を掛けてきた。
これが本来のグランフラム王国の作戦だ。前掛かりになっているウィンヒール王国軍の側面を突いて、敵左翼の戦闘力を削ぎ、右翼を固めた上で中央、左翼で攻勢をかける。
ところが今、攻勢を掛けているのは右翼だ。これにはグランフラム王国側も驚いている。
「……強すぎる」
自軍が優勢だというのに、マーカス騎士兵団長は憂い顔を見せている。臣従国であったオクス王国、ハシウ王国の軍がこれほどの強さだと思っていなかった。
二国が味方のままであれば良い。だが万一、敵に回った場合、グランフラム王国は後背を脅かされる事になる。バンドゥに残した五千ではとても押さえ込めると思えないのだ。
「二国の力だけではない」
マーカス騎士兵団長にフレデリック近衛騎士団長が話しかけた。
「確かにバンドゥ領軍も右翼にいますが」
「そうではない。エアリエル嬢の力が大きい」
グランフラム王国右翼の戦いで、兵数の差を埋めているのはエアリエルの魔法だ。ウィンヒール王国軍が大規模な陣形を組むと、そこに魔法が襲いかかる。固まっていると被害が大きくなると部隊を分散させれば、今度はそこにバンドゥ領軍、そしてオクス、ハシウ二国の騎馬隊が突っ込んでくる。ウィンヒール王国は兵数を全く活かせていないのだ。
「……さすがはリオン・フレイの妻という事ですか」
「いや、妻でもあるが、戦場で背中を預ける相手でもあったという事だな。ほとんどの戦場を共にしていた事は分かっていたはずなのだが、どうやら実力を見損ねていたな」
ようやくグランフラム王国がエアリエルの実力を認識した時だ。
「中央を前に出します」
このまま決着をつける。マーカス騎士兵団長はこう判断した。
「もう少し待て。ウィンヒール王国は必ず動く。その時に全面攻勢をかける」
「……良いでしょう」
そして、グランフラム王国の予想通りに、ウィンヒール王国は動いた。
◇◇◇
ウィンヒール王国本陣を飛び出した近衛騎士団の騎馬が左翼に向かって駆けている。先頭を駆けているのはエルウィンだ。
「お待ち下さい! 王自ら前線に出るなど無茶です!」
そのエルウィンを、今やウィンヒール王国の近衛騎士団長となったウォルが、懸命に引き止めている。
「出なければ負ける!」
「ここで負けても、たかが一敗です! 次に勝てば良い!」
さすがにこの発言は早過ぎる。まだ中央も右翼も戦っていないのだ。幸いだったのは、ウォルの発言が兵に届かなかった事だ。近衛騎士団長が負けを認めていては、全体の士気を著しく落す事になっただろう。
近衛騎士団長などウォルの器ではないのだ。変わらずエルウィンのお目付け役として、側に置くために、与えられた役職だった。
「そういう問題じゃない! 貴族連中の動揺が分からないのか!?」
ウィンヒール王国は問題を抱えている。
エルウィンに侯爵位を継承した後、前侯爵はウィンヒール侯家を離れてしまった。この件が従属貴族の動揺を誘っていたのだ。
従属貴族の筆頭であるラング・ウスタイン子爵が強引にそれを抑えこみ、グランフラム王都を奇襲して、ウィンヒール王国の建国を成し遂げるにまで至った事で、この問題は解決したと思われたのだが、そうではなかった。
王国建国時の論功行賞はウスタイン子爵、今は宰相となっているが、に近い者ばかりが優遇され、それ以外の者たちには不満が残る事となった。この不満が前侯爵の復帰を望ませる事となった。
ウィンヒール王国には、現国王派と前侯爵派の二派閥が生まれる事となったのだ。もちろん現国王派が優勢で、前侯爵派などわすかしかいない。
ただ全体を見ると中間派、無派閥が数としては圧倒的で、この中間派、無派閥を引き付けるまでの求心力を、まだエルウィンは持っていない。
今回の戦いはエルウィンの威望を高める意味もあったのだ。
「最後に勝てば良いのです!」
「だから勝とうとしている! もう前線だ! 文句を言ってないで付いて来い!」
エルウィンの言っている勝つは、この戦い全体ではない。エアリエルに勝つということだ。
前線に飛び出してウィンヒール王国軍に大打撃を与えているエアリエルの活躍は、それをされているウィンヒール王国軍にも知られている。
その反応は実に微妙なものだった。悲劇の公女から英雄の妻となったエアリエルは、ウィンヒール侯家に連なる者たちにとって誇りだった。身分の低い者の中にはリオンとエアリエルの物語が酒場で謳われる度に、自分の主筋だと自慢していた者も少なくないのだ。そして同じ思いはその主人である貴族にもあった。
そのエアリエルが自分たちの敵として立ちはだかり、驚くべき力を発揮している。これを知った、かつての従属貴族たちが感じた思いは畏れと憧れ。エルウィンがこの戦いで手に入れようとしていた威望に似たものを、貴族たちはエアリエルに向けている。
これにエルウィンは気が付いた。エアリエルに、その父である前公爵への思いが膨らむ前にエアリエルを討ち、自分の方が上であると示す事は正解なのだ。
ただ問題はエルウィンがエアリエルに勝てるのかという事。
空中に巨大な竜巻が生み出された。それは地に伸び、うねるように地面を進んで、グランフラム王国の軍勢に向かおうとしていた。
そこに現れたのはエアリエル。恐れる事もなく竜巻の前に進み出ると、ゆっくりと右手をかざした。それで正面の竜巻は急速にその力を弱め、せいぜいがエアリエルの髪をなびかせる程度となる。
だがこれで終わりではなかった。一度弱まったエアリエルの周囲の風は又、その勢いを増して渦を巻く。大きさとしてはエアリエルの体を覆う程度だが、その勢いは凄まじく、誰も近づく事など出来ない。
やがて風は宙を舞い、エアリエルを、エルウィンの目の前まで運んでしまう。
「……久しぶり。元気にしていたかしら?」
戦場には似つかわしくない挨拶を、エアリエルはエルウィンに向ける。驚愕で固まっていたエルウィンとその近衛たちであったが、声を掛けられた事で我に返り、エアリエルに襲いかかった。
だがエアリエルに届くことなく、その体は後ろに吹き飛ばされていく。
「ねえ、エルウィン。貴方、本当にお父様の血を引いているの?」
ニッコリと微笑んで、エアリエルはエルウィンに問いかける。
「な、なんだって?」
「だって貴方の魔法……とてもウィンヒール家直系のものとは思えないわ?」
「……馬鹿な事を言うな!」
エルウィンの頭に、かつてリオンに言われた台詞が蘇る。エアリエルはもちろん、落ちこぼれのはずのヴィンセントにも及ばないとリオンは言ったのだ。
「だって、ねえ?」
エアリエルの視線が、ウォルに向いた。視線を向けられたウォルは真っ青だ。迂闊だったのだ。リオンが知っていて、エアリエルが知らないはずがない。そのエアリエルと、こんな場面でエルウィンを会わせるべきではなかった。
「……引きましょう。ここは撤退するべきです」
ウィルに思い付いたのは、とにかくこの場から逃げ去る事。これだけだった。
「近衛騎士団! 陛下を守れ! ここは一旦引き時だ!」
エルウィンに否応は言わせないようにと、ウォルは近衛騎士団に命令を下した。近衛騎士団はウォルの命令に忠実に、抵抗を見せるエルウィンを強引に下がらせていく。
それに対してエアリエルは……エルウィンが逃げていくのを見送っているだけだ。
「ねえ、エルウィン! 『碧風の剣』は私が持っているわ! もうずっと前に! リオンとの結婚のお祝いに、お父様がくれたの! 欲しければ取りに来ると良いわ!」
最後にもう一つの爆弾を投下して。
『碧風の剣』はウィンヒール家の当主の証。これはウィンヒール家に連なる貴族なら、誰もが知っている事だ。それがずっと前からエアリエルの手にあるという事の意味。それは更にウィンヒール王国の貴族たちを動揺させる事になった。