月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-黒き狼たちの戦記

黒き狼たちの戦記 第25話 反乱の首謀者って大変そうだ

ヴォルフリックは一人で城に向かった。ブランドは街の中で待機。ヴォルフリックに何かあった時に対処する役目。アインはこの街を出て、王都に向かっている。王都で情報を集める為だ。城内の様子を探ることは難しいが街の世間話からでも得られるものはある。…

黒き狼たちの戦記 第24話 まずは聞き込みから

パラストブルク王国に到着したヴォルフリックたち。まずは王都にある城に行って、依頼主であるパラストブルク国王にご挨拶、なんてことは行わない。国境を抜けたところで王都に向かう街道から外れ、まっすぐに東に向かって進んでいった。たどり着いた先はナ…

黒き狼たちの戦記 第23話 誤算、の一言で終わらせられるものではない

任地であるパラストブルク王国に向けて、出発するヴォルフリックたち。その様子はとても任務に向かう傭兵団には見えない。かろうじて腰に携えている武器が、彼らが傭兵であると認識させるものであるが、それ以外はただの旅人と同じ。元近衛騎士であるフィデ…

黒き狼たちの戦記 第22話 また、さらに気の進まないお仕事です

西のベルクムント王国と東のオストハウプトシュタット王国。この二大国にまとまって対抗する為に中央諸国連合は出来上がったのだが、ノイエラゲーネ王国がベルクムント王国の謀略に協力したように、必ずしも一枚岩とは言えない状態だ。それぞれ自国を存続さ…

黒き狼たちの戦記 第21話 久しぶりの再会なのに・・・

今日は定例の従士試験の日。会場となっている王国騎士団の野外鍛錬場は見物客とその見物役目当ての露店、さらにその露店目当ての客で大いに賑わっている。いつものことだ。 ヴォルフリックにとっては二回目の従士試験。試験そのものはもっと行われているのだ…

黒き狼たちの戦記 第20話 叶わぬ願い、せめて

アルカナ傭兵団の定例会議の場。出席者は国王であり団長であるディアークとアーテルハード、ルイーサとトゥナの四人だ。力の称号を持つテレルも本来は出席者であるが、今は任地にいる為、参加していない。この参加者五人がアルカナ傭兵団の幹部ということだ…

黒き狼たちの戦記 第19話 俺にそんな趣味はない

ヴォルフリックが独房に入れられていたのは二週間。長すぎず短すぎず、軍法会議での彼の発言が人々に広まり、それに対する様々な反応が盛り上がりを見せ、そこから静まるまでの期間としては適当だ。傭兵団の上層部は、人々の反応をそれとなく観察し、その状…

黒き狼たちの戦記 第18話 頑張ったら被告人になりました

ノートメアシュトラーセ王国の都シャインフォハンに戻ったヴォルフリックたちを待っていたのは軍法会議。傭兵団に命じられた任務の遂行を放棄して、勝手な行動を取ったということで、吊し人のリーヴェスから告発されたのだ。 行動の結果としてヴォルフリック…

黒き狼たちの戦記 第17話 骨折り損のくたびれ儲け

ヴォルフリックたちがノイエラグーネ王国の都で拠点としているのは、地元の貧民街出身者を騙っているにも関わらず、表通りの高級ホテル。貧民街には本当にヴォルフリックたち、偽名ではアインとフォルス、が暮らしているか調べに来る可能性がある。裏通りの…

黒き狼たちの戦記 第16話 懐かしさに惹かれたわけではない

どこの国にも貧しい人たちが暮らす場所がある。もともと、とても人が住めるような場所ではなかったはずのそこに、どうしようもない事情があって住み着く人が出て、徐々にその数が増えて一定数を超えると、貧民街として確立して、さらに貧しい人が集まるよう…

黒き狼たちの戦記 第15話 思っていたより派手だった

ヴォルフリックたちの任務地はグリュックスインゼル王国。その都から東方に伸びる街道を国境近くまで進んだところにある山岳地帯だ。そこを抜けると、中央諸国連合加盟国の中でもっとも東に位置する、オストハウプトシュタット王国との争いにおいて最前線と…

黒き狼たちの戦記 第14話 狼たちが動き出す

ベルクムント王国の都ラングトア。大陸西部における最大都市であるラングトアはベルクムント王国の王都というだけでなく、西部全体の商業の中心都市という役割も担っている。ベルクムント王国国内だけでなく他国からも多くの商人がやってくるラングトアはそ…

黒き狼たちの戦記 第13話 変人扱いされるようなことか?

ヴォルフリックがアデリッサの招待を受けたのは翌日のこと。任務を前にして時間がない中だが、ヴォルフリックは約束通りに、それを受け、また城に向かうことになった。三人の従士も一緒だ。クローヴィスとフィデリオはアデリッサが何かを企んでいるのではな…

黒き狼たちの戦記 第12話 良き母がどういうものかなんて知らない

ノートメアシュトラーセ王国の王子であり、太陽の称号を持つ上級騎士であるジギワルドの頼みで、お茶の時間を一緒に過ごすことになったヴォルフリックたち。ジギワルドの案内でアルカナ傭兵団の施設を抜け、城内に入り、奥へ奥へと進んでいく。どこに向かっ…

黒き狼たちの戦記 第11話 面倒くさい奴がまだいた

速やかに出動をという命令を受けたヴォルフリックではあるが、翌日すぐに目的地に向かうのかとなるとそうではない。一応は準備期間を与えられている。三箇所の任務地のうち、どこに最初に向かうのか。その次はどこの予定か。それを決めてアルカナ傭兵団本部…

黒き狼たちの戦記 第10話 真面目に仕事しましたけど?

鬱蒼と木が生い茂り、昼でも薄暗い森の中。ヴォルフリックたちは中央諸国連合の加盟国であるヘァブストフェスト王国の南部にある森に来ている。この森の奥に討伐を命じられた盗賊団のアジトがあるのだが、この場に到着してすでに半月、ヴォルフリックたちは…

黒き狼たちの戦記 第9話 隠すことで見つかることもある

クローヴィスとフィデリオが正式に従士になったことで、ヴォルフリックの日々のスケジュールは変化することになった。図書室で調べ物をする時間が減少。ギルベアトが資料を残していないとなれば、本当に調べたいことを調べる時間しか必要なくなったのだ。そ…

黒き狼たちの戦記 第8話 強くなると決めて何が悪い?

ヴォルフリックの日常は、スケジュールこそほとんど変わらないが、中身は大きく変わることになった。一番大きな変化は従士がついたこと。従士試験に合格したブランドはその日のうちにヴォルフリックに合流した。彼がヴォルフリックの従士になる為に試験を受…

黒き狼たちの戦記 第7話 ようやく事が動き出す

従士試験当日。試験は王国騎士団の屋外鍛錬場を開放して行われている。王国騎士団二百騎、さらにそれぞれに十名ほどの従士がつくので騎士団全体としては二千名ほどになるのだが、が同時に鍛錬を行える場所であるので、かなり広い場所あるのだが、会場は多く…

黒き狼たちの戦記 第6話 勝手に絡んでくるな

アルカナ傭兵団の施設で暮らすことになったヴォルフリック。その生活は実に規則正しいものだ。夜が明けると共に起き出して、下の階の鍛錬所で体を動かす。それを終えると隣の棟との間にある水浴び場に行って汗を洗い流し、そのまま図書室に向かう。昼食の時…

黒き狼たちの戦記 第5話 面倒くさそうな奴ばかり

アルカナ傭兵団の施設は王城のすぐ隣、王国騎士団と一部の施設を共有しているが、その部分を除いても、かなり広大な敷地だ。そこにあった王家と有力貴族家の屋敷はすべて取り壊し、王国騎士団の施設があった場所はそれを別の場所に移し、さらに王城の敷地だ…

黒き狼たちの戦記 第4話 これ以上の鎖は必要か?

翌朝、まだ日が昇って間もない時間にヴォルフリックは地下牢から出されることになった。思っていたよりも遥かに早い解放だ。さらに地下牢から出たあとの待遇も悪いものではない。 まっさきに連れて行かれたのは水浴び場。そこで体の汚れを落とすことになった…

黒き狼たちの戦記 第3話 視えない未来、見えない鎖

大広間での出来事を終え、ディアークは執務室に戻った。普段、公務を行っている部屋ではない。私室のすぐ隣にあるちょっとした残り仕事を片付ける為、もしくはごく限られた者たちとだけ、リッラクスした雰囲気で話をする為に使っている部屋だ。 今は後のほう…

黒き狼たちの戦記 第2話 愚者呼ばわりするな

ノートメアシュトラーセ王国城内の大広間。奥に置かれている玉座にはすでに国王であるディアークが座っている。その玉座の左右に並ぶのはアルカナ傭兵団の団員、その中でも上級騎士たちだ。進行中の任務もあり、この場に全員が揃っているわけではないが、そ…

黒き狼たちの戦記 第1話 解き放たれた運命

三百年ほど前までは、存在する全ての国の名前どころか数でさえも正確に把握している人は誰もいなかったであろうランデマイスター大陸も、長い争いの時を経て、大陸で暮らす多くの人々が国名を覚えられるくらいまでにまとまってきている。それだけ沢山の国が…