結局、国王に押し切られる形で、メリカ王国に最大限の損失を与えるという目的の作戦をリオンは考えさせられた。考えなければ、別の者に考えさせた上で、リオンも作戦に参加させるという、脅しのような言葉を国王に告げられたのが決め手だった。 自分に自信が…
第七七四特務部隊本部にあるオペレーター室。今、そこに全特務部隊員が集合している。全員といっても集まれる隊員だけ。それが出来ない隊員もいる。彼等が集まっているのは、その集まれない隊員の為だ。 オペレーター室では、無線の声が流れている。第七七四…
テーブルの上に置かれていたティーカップを手に取り、口に運ぶ。すっかり冷めてしまい香りも抜けた紅茶など美味しくはないのだが、今はただ乾いた口を潤せればそれで良い。 セレネから送られてきた連絡文。久しぶりに送られてきたのでよほどのことだと覚悟し…
アーノルド王太子たちは、魔人討伐軍本隊より、少し先行して王都に戻っていた。今回は凱旋式などなし。速やかに王都に入城するようにとの指示を受けての事だ。 実際に王都に入っても、勝利を祝う雰囲気はない。それどころか、どこか張り詰めた雰囲気が王都に…
今日は週一回行われている全体会議の日。大会議室には各部署の責任者たちが集まっている。新たに加わった三人も参加だ。その三人が増えただけで会議の様子はかなり違うものになっている。色々な物事が動き出し、もともと取り組んでいた問題もその解決の勢い…
広い執務室。そこに置かれた大臣でも使いそうな大きな机。座り心地の良い椅子。働く環境としては申し分ない。マリ王国では下級役人であったユリウスにとっては、かなり恵まれた職場環境だ。グランと二人だけでなければ。 目の前に山と積まれた書類。その全て…