レグルス逮捕の情報は、すぐに広く知れ渡ることになった。多くの憲兵が隊列を組んで郊外に出て行った時点で、それを見た王都の人々は、これから起こる出来事を予感していた。今、郊外で起きている農場主襲撃事件と結びつけられないはずがないのだ。 いよいよ…
アリシアはようやくレグルスと会うことが出来た。彼女の望んだ形ではない。レグルスが望むものでもない。レグルスのほうはアリシアに会うつもりはなかった。二人の共通の幼馴染であるリキたちが関係するこの件にアリシアを近づけるべきではないと考えていた…
最初にその事件についての話を聞いた時、アリシアは農場主を襲撃した雇われ農民たちのほうに共感した。虐げられていた人々が立ち上がった。自由と解放を求める戦いは、アリシアの価値観では、正義の戦いなのだ。 だが事はそんな単純なものではない。そうであ…
王都に帰還しているエリザベス王女一行。いよいよ王都外壁までたどり着き、残る旅程もあとわずか、となったところで想定外の事態が起きた。先に進むことを、外壁の門を守っている衛兵たちに止められたのだ。 「王都郊外で暴動が起こっているようです」 先に…
ドイル伯爵領でやるべきことをやり終えて、エリザベス王女一行は帰路についた。レグルスも一緒だ。なんだかんだで、一か月ほどの滞在。当初、王都帰還まで予定では二か月だったものが、三か月以上になってしまった。帰路はかなり急いでの移動になる。すでに…
ドイル伯爵の後は、あくまでも王国の正式決定がなされるまでの暫定的なものだが、息子が継ぐことになった。ドイル伯爵家内の混乱を最小限に抑える為の選択であるが、無条件にそう決めたわけではない。息子は父親の行いに否定的な考えを持っていた。本人の言…