ドイル伯爵家軍は部隊を二つに分けて、進軍を開始した。数はそれぞれ千二百といったところ。最初に現れた時よりも少し数が減っているのは、エリザベス王女の手前、軍勢を引き揚げさせたという形を作る必要があったからだ。エリザベス王女一行が去ったあとは…
エリザベス王女が駐留地を去る様子を見送ることなく、レグルスは行動を開始している。のんびりしている時間はない。やるべきことは、まだ何をやるべきかも分かっていないが、山ほどあるはずなのだ。 真っ先に向かったのは駐留地の奥。その先で待っている人が…
近づいてくる軍勢は、大きく横に広がって前に進んでくる。逃げ道を塞ごうという意図だとレグルスは判断した。レグルスにとっては都合の悪い状況だ。居留地を囲む塀は敵の侵入を防げるようなものではない。そのような堅牢な居留地の建設をドイル伯爵が許さな…
ドイル伯爵領に到着したエリザベス王女一行は、伯爵からの晩餐会への招待を、形としては丁寧に、実態として断固とした態度で拒絶して、目的地であるフルド族の居住地にまっすぐに向かった。事実確認を行うことが最優先。伯爵と接するのは、それが明らかにな…
個人としての戦闘力を高める為に必要と思われるあらゆる鍛錬をレグルスは行ってきた。広く浅くではない。個人の戦闘力と学問では戦術、戦略の類、歴史や財務会計など、レグルスなりに対象を絞って、深く追求しようとしている。 逆に言えば、追及していること…
レグルスがいない間もオーウェンとジュードは中央学院に通い続けている。本当はレグルスに同行したかったのだが、それは許されなかった。王国側がオーウェンとジュードの存在を無視していたからだ。認識していても恐らくは同行は難しかったはず。二人はレグ…