実技授業の時間は、少しだけだが、以前とは様子が違ってきた。レグルスは、タイラーとの立ち合いを当たり前に受け入れるようになった。そうなるとキャリナローズも、それを見ているだけでは済まなくなる。レグルス、だけではなく、オーウェンやジュードとの…
アリシアとの婚約破棄、さらにブラックバーン家の跡継ぎから外されるという大事があった後も、基本、レグルスの様子は変わっていない。学院に通い、勉強と鍛錬の日々を過ごしている。変化があるとすれば、その中身。特に実技授業の時間に関しては、外から見…
北方辺境伯の死が王都に伝えられた。この日が来ることは北方辺境伯が最後に王都を訪れた時から分かっていた。そうでなくても、王都にいるブラックバーン家の家臣たちは、亡くなった北方辺境伯との接点が少ない。悲しみの色は薄かった。 唯一、亡くなった北方…
普段レグルスは「何でも屋」の店先に、店先といっても酒場の一角だが、出ることはなくなった。招かざる客が訪れた時に居留守を使う為だ。周囲の人たちの中には、そこまでしなくても良いのではないかと思う人もいるが、レグルスにとっては大事なことだ。細か…
レグルスは平日であるのに酒場を訪れている。引き受けた仕事があるからだ。正確には引き受けた仕事が終わり、その結果について依頼人と話し合いを行う必要があるから。 日程は依頼人が提示した候補日から選んだのだが、レグルスの都合でもある。休日だと、ま…
五校剣術対抗戦は、大会としては、期待に反して盛り上がりに欠けるものとなってしまった。優勝した中央学院二年Aチームで、本当の意味で、負けたのはクレイグだけ。そのクレイグも負けたのは北部騎士養成学校三年Aチームとの一戦だけで、他の試合は、他の…