彼はまた王家主催のパーティーに参加することになった。開催を聞かされた時、迷うことなく欠席を決めたはずのパーティーだ。だが彼は今こうしてパーティーの場にいる。実家に強制されたからではない。第一王子から参加するように頼まれたからだ。では何故、…
いつものように郊外の開墾地に行き、鍛錬を始めるはずだった彼。だが、そうはならなかった。その場では彼女とリキが先に到着して、彼が現れるのを待っていた。二人だけではない。彼の知らない、同い年か少し上くらいの男の子たちも集まっていたのだ。 「……俺…
朝早く出た彼が屋敷に戻るのは日が暮れてから。そんな生活が長くなっている。彼にとっては本当の家よりも、彼女の家のほうが遥かに居心地が良い。彼女と魔法や勉強についての談義をしたり、彼女の父親と喧嘩の稽古をしたりと自分の家では出来ないことがある…
王家への挨拶が終わった後は、彼は父親とも別れて、いつものように会場の隅で一人でいる。王家と王都在住の守護五家の関係者が一同に会している場だが、彼にそれらの人たちと親交を深めようなんて気持ちはない。そんなことは弟に任せておけば良い。どうせ北…
元々、忙しい彼の一日が、さらに忙しくなった。午前中の始まりはほとんど変わっていない。開墾場所まで走って行き、作業を行いながら筋力を鍛える。合間の休憩時間は魔力の制御訓練。休憩といっても体を動かしての鍛錬を行わないだけだ。それが終わると郊外…
花街は王都内壁内の北東区にある。正確には、内壁の北東部から外にせり出している曲輪のような場所。実際にかつては軍事目的で作られた出曲輪だった。だが外壁が作られ、王都が攻められる事態が遠い過去のものとなったことで、軍事目的としていることが無駄…