月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

四季は大地を駆け巡る #148 想いの強さ

クラウディアの日常において拘束される時間はイーストエンド侯爵と話し合う時間しかない。それ以外の時間は全て自由時間。やることがないという状況は、クラウディアに疎外感を覚えさせてしまうものであるが、今は仕方がない。公式には彼女は無役。仮に正式…

黒き狼たちの戦記 第41話 視えないもの。視たくないもの

自分が特別であることに気が付いたのはいつのことだったか。記憶を探っても見つからない。特別であることが苦痛になった日のことは覚えている。何年何月なんて記憶はないが、その時の感情は今も胸にはっきりと刻まれている。 父親は商人だった。大商家といえ…

黒き狼たちの戦記 第40話 黒狼と呼ばれていたからって獣扱いするな

出陣の準備にアルカナ傭兵団施設は賑わっている。実際の準備は軍政局の仕事で、傭兵団の団員が行うことはそれほどないのだが、大国との戦争を前に気持ちが高ぶっていて、何をするにも騒がしくなってしまうのだ。 鍛錬場も多くの団員で賑わっている。残りわず…

四季は大地を駆け巡る #147 欲望そのものに善悪はない

クラウディアの要求をヒューガは、彼女が拍子抜けするくらいに、あっさりと受け入れた。イーストエンド侯爵はクラウディアの側で活動する自由を得たのだ。 もっともその自由には当然、制限がある。イーストエンド侯爵は拠点間を自由に行き来することは出来な…

四季は大地を駆け巡る #146 何の、そして誰の為に

ライアン率いる魔族の部隊はパルス王国の中央部を大きく迂回する形で北部から西部に向かっている。ユーロン双王国と対峙しているパルス王国軍に奇襲をかけるという作戦はパルス王国も想定したものだが、現時点ではその動きは掴まれていない。 イーストエンド…

四季は大地を駆け巡る #145 正しい選択

東部が魔王軍によって占拠された。この情報が届いたパルス王国王都は大混乱に陥った。王国による情報統制などまったく意味を為さない。魔王軍を恐れて東部から逃げてきた人々が情報統制を不可能にしてしまっていた。 南部に続いて東部まで奪われた。この事実…