ベルクムント王国の宮殿では宴が催されている。感謝祭が終わってから半月と少し。ようやく世間に日常が戻ったばかりのこの時期に開かれた宴。定例のものではない。中央諸国連合への侵攻が発表され、公式なものとなったことで壮行会が開かれているのだ。 停戦…
感謝祭明け四日目くらいになると、実家で過ごしているだけでは退屈になった人々が、新しい年の始まりに神への祈りを捧げる為に教会に行く、という名目で外出するようになる。そうなると食堂や商店はそういった人々目当てに普通に営業を始めることになる。傭…
感謝祭当日の昼。ヴォルフリックはアルカナ傭兵団施設の外にいた。特別に外出許可が出たのだ。許された理由は食堂が休みだから。感謝祭当日から先、二週間は食堂の職員も実家に戻ることになる。その間の食事は自分でなんとかするしかないのだが、街の食堂や…
傭兵団施設の食堂。今日のその場所はいつもとは違う騒がしさ。多くの騎士や従士が興奮した様子で大声で語り合っている。感謝祭を間近に控えて皆が浮かれているから、ではない。彼らの興奮は喜びから生まれたものではなく、その逆。初めて見た武器に恐れを抱…
ドュンケルハイト大森林に逃げ込んだイーストエンド侯爵家軍は百名を少し超える程度。イーストエンド侯爵を守っていた精鋭部隊が乱戦の中でもなんとか規律を維持し、アイントラハト王国軍に引き離されることなく退却を続け、魔王軍の追撃を振り切ったのだ。 …
ヒューガが政務から遠ざかってしまうとその分の負担のほぼ全てをカルポが背負うことになってしまう。特に明確な定めはないのだが、アイントラハト王国において、王であるヒューガに次ぐ高位にあるのは季節の軍を任されている四人、エアル、カルポ、冬樹、夏…