月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

黒き狼たちの戦記 第3話 視えない未来、見えない鎖

大広間での出来事を終え、ディアークは執務室に戻った。普段、公務を行っている部屋ではない。私室のすぐ隣にあるちょっとした残り仕事を片付ける為、もしくはごく限られた者たちとだけ、リッラクスした雰囲気で話をする為に使っている部屋だ。 今は後のほう…

逢魔が時に龍が舞う 第46話 真の戦いが始まる

富士山大噴火から半年が過ぎた。政府にとっては、あっという間の半年だ。何が起きたのか分からないまま、旧都心から逃げてきた人々を保護し、その彼らの住環境を整える。それと同時に第二防波堤の拡張工事も行われた。旧都心から逃げて来ようとする人々の行…

黒き狼たちの戦記 第2話 愚者呼ばわりするな

ノートメアシュトラーセ王国城内の大広間。奥に置かれている玉座にはすでに国王であるディアークが座っている。その玉座の左右に並ぶのはアルカナ傭兵団の団員、その中でも上級騎士たちだ。進行中の任務もあり、この場に全員が揃っているわけではないが、そ…

黒き狼たちの戦記 第1話 解き放たれた運命

三百年ほど前までは、存在する全ての国の名前どころか数でさえも正確に把握している人は誰もいなかったであろうランデマイスター大陸も、長い争いの時を経て、大陸で暮らす多くの人々が国名を覚えられるくらいまでにまとまってきている。それだけ沢山の国が…

逢魔が時に龍が舞う 第45話 事の終わり、事の始まり

富士山の噴火とともに関東地方を襲った地震。その地震が引き起こした津波は、前回の震災からの復興も途上であった旧都湾岸地区を再び無に帰した。それだけではない。前回の震災では被害に遭わなかった地区まで、今回は押し流されている。環状七号線内はほぼ…

逢魔が時に龍が舞う 第44話 別れの時

照明の灯りに照らされた黒い巨体。多くの人々が、子供はまた異なるだろうが、想像する鬼(おに)そのものの姿をしたそれは、圧倒的な力を持っていた。精霊力云々の問題とは思えない。ただ力が強いのだ。 特殊戦術部隊の能力者たちの攻撃を手で弾き飛ばし、そ…