月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

逢魔が時に龍が舞う 第41話 嘘

宙に伸びる光の尾。それは特殊戦術部隊員の攻撃を防ぎ、隊員の体を貫く。九尾は精霊力を見事に操って、攻撃と防御を同時に行ってみせている。九尾が守っているのは自らの体だけではない。光の尾を前後左右に広げ、仲間への攻撃も防いでいる。どちらかという…

勇者の影で生まれた英雄 #164 失ったものの大きさ

モンタナ王国の玉座を狙う王弟。ウェヌス王国を味方につけて、圧倒的に有利な状況であったのだが、ここにきて一気に雲行きが怪しくなってきた。王弟派と呼ばれる味方の結束が大いに揺らいでいるのだ。 南部に領地を持つ貴族家はまだ良い。南部は王弟派の支配…

逢魔が時に龍が舞う 第40話 真実

夜空に浮かんでいるのは上弦の月。ただ、湖面を揺らしている生暖かい風が、雲も運んできて月を隠してしまう。時折、途切れた雲の間から姿を見せることもあるが、それはわずかな間。雨の気配はないものの、夜空の多くは雲に覆われていて、月や星を楽しむこと…

勇者の影で生まれた英雄 #163 浸透

エイトフォリウム帝国との開戦をエドワード王は決断した。まだ公式な決定にはなっていないが、その決断は城内で働く人々にはすぐに広まっていった。公式に決定する前にも色々と準備は必要だ。各部署には新たな戦争が始まることが、それがエイトフォリウム帝…

逢魔が時に龍が舞う 第39話 未来図

逃走した尊の捜索は、ずっと続けられている。富士の樹海の上空には、常にヘリが飛び続け、地上では特殊戦術部隊の装甲車が走り回っている。だが尊の足取りは、逃走したその日から、全く掴めていない。捜索部隊の目、だけでなく、ありとあらゆる探知装置から…

逢魔が時に龍が舞う 番外編1

桜木学園の園内にある寮、とされている特務部隊員の宿舎であるその場所は今、かなり人気が少なくなっている。強化鍛錬中の特務部隊員は、精霊科学研究所に留まっている為、残っているのは入隊前の候補生、そして尊と天宮だけなのだ。 候補生たちにとっては、…