月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #159 勇者としての第一歩

モンタナ王国の西に連なる山々の麓を北に伸びる街道。主要街道ではないその道を、通常であえばあり得ない大人数が移動している。ニュールンの街が戦場になると聞いて、災禍を逃れようと移動している人々の群れだ。だがクリスティーナ王女にとっては、まった…

勇者の影で生まれた英雄 #158 英雄であること

停滞状態にあったモンタナ王国における国王と王弟派の戦いが動き出そうとしている。戦場となりそうな場所は王国東部の街ニュールン。領土内を東西、南北に延びる中央街道のひとつ、中央部から東部に繋がる中央東街道の東端にある街だ。 王弟派としては、恭順…

勇者の影で生まれた英雄 #157 敵の策謀を逆手に取るのは夫だけの十八番ではない

国王と王弟の戦いが停滞していることは、クリスティーナ王女率いる義勇軍にとっては望ましい状況だ。本格的な戦いに備えて、若い騎士や義勇兵たちを鍛える時間が出来た。せっかく得られたその貴重な時間を無駄に過ごすことを許すほど、彼らを率いるクリステ…

勇者の影で生まれた英雄 #156 求めるものが違う

権力を手に入れることで出来れば、すべてが上手く行くはずだった。自分が国王になれば国を正しい方向に導き、多いに発展させることが出来るはずだった。多くの人が自分の登壇を喜び、期待し、それに応えた自分は名君と称えられるはずだった。はずだった。は…

勇者の影で生まれた英雄 #155 焦らず、急いで

ゼクソン王国の西部。ウェヌス王国との国境に近いその場所に六千ほどの軍勢が集まっている。その多くはゼクソン王国最西部に造られた、移設された上で強化されたという表現が正確だが、防衛拠点の守りについているグスタフ・ゲイラー将軍率いるゼクソン王国…

勇者の影で生まれた英雄 #154 葛藤

国王と王弟との争いが本格化している中、クリスティーナ王女は第三勢力を作りあげた。作りあげたといってもその勢力は小さなものだ。活動を支える金銭や物資などは周辺貴族たちの支援のおかげで困ることはない状況であるが、肝心の戦力は銀狼傭兵団百名のみ…