月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #146 神輿だってただ担がれていれば良いわけではない

虐殺の舞台として選ばれた村はレジス。三百人ほどの人々が住む、モンタナ王国では比較的大きな村だ。 その村が選ばれたのには一応は理由がある。領政への不満から過去に何度か騒動を起こしたことがあるからだ。不満を持たせるような政治を行うのが悪い、なん…

勇者の影で生まれた英雄 #145 心の支え

この先、クリスティーナ王女に対する策略はもっと分かりやすい形で動き出す。こう予想していたグレンではあったが、実際に起きた動きは意外なものだった。大勢の義勇兵が駐留していたハムスの街から消えたのだ。もっとも消えたと思っているのはクリスティー…

勇者の影で生まれた英雄 #144 迷信

ウェヌス王国軍が国境を侵犯した情報がモンタナ王国に届いた。初めはその意図が分からず、王弟に休戦を申し込むなどした国王ではあったが、その答えが拒否、それも王弟派の積極攻勢という形で返されたことで、ようやく事態を理解した。 そうなると国王側の危…

勇者の影で生まれた英雄 #143 足りないもの

ウェヌス王国軍が出陣した。第一軍と第二軍合わせて二万。ただ目的地は一つではない。主目的であるモンタナ王国で起きている内乱の王弟派支援にエリック・ハーリー大将軍率いる第一軍五千。残りの五千は後備も兼ねてアシュラム王国との国境近くへ、そしてア…

勇者の影で生まれた英雄 #142 見えないもの、見えていなかったもの

当面、実戦の予定はなかったはずの義勇軍。だが国からもたらされた情報がその予定を変えることになった。ハムスの街からそう遠くない位置にある村が、頻繁に盗賊の襲撃を受けているという情報だ。それを受けたクリスティーナ王女は討伐に出ることを決断した…

勇者の影で生まれた英雄 #141 探り合い

モンタナ王国内で国王派と王弟派の戦いが始まった。そうはいってもまだ局地戦。領地を並べている双方の派閥に属する貴族家が衝突したのだ。その衝突が全国に広がる気配は、今のところは、強くない。旗幟を鮮明にしていない貴族家はまだまだ多い。国王派はそ…