グレンたち銀狼傭兵団はモンタナ王国王女クリスティーナ率いる義勇軍に残ることにした。複雑な立場であるクリスティーナの軍にいることは、無駄な厄介事に巻き込まれる可能性がある。だが今現在それは可能性であり、問題が顕在化しているわけではない。なに…
戦争の噂が王都内で広がっている。相手がどこかなど具体的な情報はない。出撃の時が近いようだというだけの漠然とした噂だ。それは仕方がない。噂を流した人たちが、それ以上のことを知らないのだから。噂の出所はトリプルテン、を教えている教官たち。軍事…
第三軍の訓練場に活気が溢れている、というのは大袈裟だ。全体としては普段と変わらぬ熱意で兵士たちは訓練に取り組んでいる。それはそれで活気があるというべきだが、それを遙かに超える熱意ある訓練を行っている部隊がある。第十大隊第十中隊第十小隊、ト…
モンタナ王国侵攻の準備。それは今のところ順調とは言えない。ウェヌス王国が望むよりも早く、事が動き始めているのだ。 モンタナ王国内の戦気は高まっている。国王と王弟の戦いはいつ始まってもおかしくない状態だ。それに合わせて王弟を支援する軍勢を送ら…
モンタナ王国に不穏な空気が漂っている。王弟派が戦いの準備を始めたという噂が国内に広まっているのだ。本来であれば秘匿すべき反乱準備。それが決起する前に広く知れ渡ったのは王弟派に隠す意図がないから。国王派を刺激し、内乱のきっかけを作る為だ。そ…
トリプルテンの調練は、少し前とは異なり熱気を帯びている。訓練メニューそのものは厳しいものであったが、それに対して初めから出来ないと思って真剣に取り組まなかった隊員たち。訓練メニューが厳しいだけで、逆に隊員たちの様子は気の抜けたものだったの…