夏たちと別れて城に向かうクラウディア。その足取りは重い。ジュンに言われたことに胸を痛めているのだ。 自分はヒューガと別れてから何も変わっていない。クラウディアにはその自覚があった。だが、変わる為に何もしていないと他人から言われると、ここまで…
第七七四特務部隊の臨時会議。定例会議では見ない顔まで揃っている。前回任務の内容はこれまでの考えを大きく変えてしまうもの。その異常事態に関係部署の責任者が全て集められているのだ。今、報告に立っているのは公安調査局。 「鬼が組織を形成していると…
夏が生活費を節約する為に自炊することにして、随分と経つ。宿の主人が調理場を自由に使って良いと言って貰えたのは夏にとって大助かりだった。ギルドで聞いた通り、無愛想な主人であるが、他にも何かと便宜を図ってくる。良い宿を見つけることが出来たと夏…
グランはドュンケルハイト大森林に入ってすぐにエルフの集団に捕まった。ゆっくりと大森林の景色を眺める時間もない。あっという間の拘束だった。 ただそれはグランにとって悪いことではない。少なくとも、魔獣に襲われて死ぬという結末は免れた。あくまでも…
眼前には青々とした草原が広がっている。その向こうには遙か先まで連なる密集した木々。他の地域にある大森林とは似て非なる場所。それが精霊の地ドュンケルハイト大森林だ。 帰ってきた。その光景を見た瞬間、ヒューガはそう感じた。ここが自分の戻る場所。…
目の前で燃え盛る炎。魔法を使っての、懸命の消火活動が続いているが、その勢いが衰える様子はない。燃え盛る炎の中には大勢の味方がいる。早く火を消して、彼等を助けなければならない。美理愛も、そんな焦る気持ちをどうにか落ち着かせて、魔法を唱える。 …