アシュラム国境から少しゼクソン側に街道を戻った場所。 アシュラム国境から少しゼクソン側に街道を戻った場所。 そこには迫り来るアシュラム軍を懸命に防いでいるウェヌス国軍の姿があった。どの兵士も満身創痍と言って良い状態だ。 崩壊寸前の部隊を支えて…
戦いの頻度が少なくなっている。魔人軍からの攻撃が減っているのだ。いよいよ撤退したのか、と喜んだローゼンガルテン王国軍であったが、さすがにそれは甘い考えだった。偵察で飛ばした飛竜は魔人軍の存在を、それも依然として大軍であることを確認して帰っ…
いよいよ先軍が国境を越える日となった。 予定からは二日遅れているが、その理由は公表されていない。知っているのは、一部の将だけだ。前日に総大将であるハドスン将軍の名によって密やかに通達された内容は、ゼクソンが裏切る可能性がある、いざという事態…
戦況は一変した。道の拡張と砦の建設工事。その場はローゼンガルテン王国軍にとっては奇襲に怯える場所ではなく、敵を罠にかける場所に変わっているのだ。奇襲を狙って森に潜んでいる魔人軍に対して、ジグルス率いるリリエンベルク公国軍は片端から襲撃を行…
ゼクソンとの国境にある城塞は、両国を結ぶ街道のすぐ脇、街道南側の丘陵突端に築かれており、常時二千程のウェヌス国軍東方辺境師団が駐屯している。 街道をそのまま東に進むと、少し先に両側から山がせり出している地点があり、そこを抜けるともうそこはゼ…
多くの木々が空に向かって伸びている。その先は雲ひとつない晴天。青々とした空に太陽が浮かんでいる。だが陽の光は生い茂る葉に遮られて、ほとんど地上に届かない。届く必要もない。陽の暖かさを、青空の美しさを喜ぶ余裕など、地上で殺し合いを行っている…