月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #46 夢物語

夜の野営地に並ぶ多くの天幕。その幾つかの中からは、今夜も嬌声が聞こえてくる。行軍の最初の頃は少なかったそれも今ではかなり数も増え、聞こえる声も大きくなってきている。 グレンは、この状況を批判する気にはなれなくなっていた。戦地に近付くにつれて…

勇者の影で生まれた英雄 #45 行軍中も鬱陶しい

ウェヌス王国の王都から東に延びる街道を多くの人馬が進んでいる。戦争に向かうウェヌス王国騎士団の隊列だ。 王都を出立したウェヌス王国騎士団は、軍団単位に分かれて進軍を続けることになった。行軍の規模を小さくして進軍速度を上げる為だ。形式だけとは…

異伝ブルーメンリッター戦記 第60話 一つの物語が終わりに近づいている

ローゼンガルテン王国軍の陣営のほぼ正面から森の奥に伸びる道。もともとは猟師やきこりなど森で育まれる資源で、生活の糧を得ている人たちが使っていた道だ。 かろうじて荷馬車が通れるくらいの道幅だったそれは、今はその何倍もの広さになっている。多くの…

異伝ブルーメンリッター戦記 第59話 モブキャラ舞台に昇る

ローゼンガルテン王国の西、ラヴェンデル公国の西端にも、東の大森林地帯ほどの規模ではないが森が広がっている。隣国との国境となる山岳地帯から広がっている森だ。 戦場はその森の中に移っている。一進一退の攻防を繰り広げた結果、なんとかここまで魔人軍…

異伝ブルーメンリッター戦記 第58話 激戦の始まり

前線は両軍が入り乱れての混戦となっている。どちらが優勢かは最前線で戦っている騎士や兵士には分からない。考える余裕もない。 群がる魔物、それに混ざって現れる魔人。魔物に対抗させようと兵士を前に出せば魔人に、実際は力ある魔物である場合もあるが、…

異伝ブルーメンリッター戦記 第57話 舞台の上では

兵士たちの休憩時間。いつものようにジグルスにとっては個人の鍛錬を行う時間だ。だが今日に限っては、その中身は少し違っている。ジグルスの目の前に立っているのは父親のクロニクス男爵ではなく、母親のほうだった。母親と立ち合いを行うことになったのだ…