校舎の中を貴族の使用人たちが慌ただしく動き回っている。今日行われる舞踏会の準備の為だ。女子生徒たちは特に晴れの舞台を前にして、準備に余念がない。使用人たちが忙しくしているのはその為だ。 学院開催の舞踏会は、貴族としての嗜みを身に付ける為の授…
平民の生徒たちとの接近はリオンにも良い影響を与えている。 平民が王国学院に入学するには、かなり厳しい試験に合格する必要がある。元々、平民であっても国政の場に登用するだけの価値があるかどうかを入学段階で試すという意図だったので、その難しさは並…
会場にいるほぼ全ての生徒たちが踊りに参加している。その様子を壇上から眺めているエカードは満足そうだ。これがエカードの望んでいた形。学院行事のお祭りは貴族の生徒たちと平民の生徒たちとの間にあった垣根を取り払い、全員が楽しめるものになっている。…
ユリアーナの卑劣な謀を知っても、それに怯えることなくクラーラは活動を継続している。実際に襲われることになっていれば、また違った決断をしたのかもしれないが、ジグルスのおかげでその身を傷つけられることはなかった。以前よりも闘志を燃やしているく…
エカードは学院を一つにまとめることに苦心している。それを実現する為の土台は出来上がっている。リーゼロッテとタバートの二人と話し、自分の意思を伝えた。どちらも、リーゼロッテは積極的ではないが、同意は得ている。平民の生徒たちとは接する機会を増…
クラーラは何者なのか――これを考える人はいない。仮にいたとしても答えは見つけられないはずだ。それが出来るのはジグルス・クロニクスただ一人。彼だけが答えを導き出せる、その彼も答え合わせをすることは出来ないが。 活発になったクラーラの行動はまるで…