月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #10 中隊長就任

合同演習からしばらくして、グレンは三一○大隊長であるバレル千人将に呼び出された。 千人将ともなると国軍の兵舎には居ない。王城の直ぐ脇にある王国騎士団の官舎に執務室を持っているのだ。 バレル千人将の部屋に向かうグレンには微妙な視線が向けられてい…

四季は大地を駆け巡る #32 意外な巡り会い

目の前に立っているのは得体のしれない人間。人間といって良いのだろうか。その人の顔はヒューガには何故かぼやけて良く見えない。 ルナたちが強い人を見つけたとヒューガに告げてきた。大森林にそんな人がいるのかと驚いたが、鍛錬に行き詰っているヒューガ…

勇者の影で生まれた英雄 #9 合同演習会

グレンの小隊が参加する合同演習の日がやってきた。 演習に参加するのは第二軍、第三軍から選ばれた部隊。歩兵部隊三千、弓兵部隊千、騎馬部隊千、そして本陣の五百の五千五百を一軍として敵味方に分かれて争うことになる。 合同演習の視察に現れた高官はそ…

四季は大地を駆け巡る #31 心の傷

陽もすっかり落ち、いつもであれば静けさに覆われているはずの野営の地も、今日に限っては喧噪があたりに響いている。そこかしこに篝火がたかれ、その周りに集まった兵たちが祝宴を楽しんでいるのだ。 自分の手柄を声高々に自慢している者、仲間と共に戦いを…

勇者の影で生まれた英雄 #8 協力者が現る

退役が決まったとはいえ、まだ先の話。三一○一○中隊を任されているドーンにはまだまだやることがある……はずなのだが。 このところのドーン中隊長は調練の時間以外は暇を持て余していた。それなりにある事務仕事のほとんどを、グレンが行っているからだ。 グ…

逢魔が時に龍が舞う 第11話 YOMI

天宮の登場は絶望的な状況であった第五分隊にとっては救いの神。そして敵にとっては。 倒れた仲間を一瞥しただけで、それ以上の興味は全くないという様子で、残りの鬼が天宮に近づいてくる。別におかしなことではない。鬼には人としての感情などない。ただ殺…