月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #7 もうひとつの顔

いつもの様に暗いうちに起きて、裏庭で鍛錬を始めていたグレン。 ふと気配を感じて剣を振る手を止める。振り向いた先には、ローズが壁に寄り掛かる様にして立っていた。 「早起きですね?」 「君が物音を立てるからよ。お蔭で起きてしまったわ」 「フローラ…

逢魔が時に龍に舞う 第10話 意地

灯りの消えた都会のビルの森を進む天宮。所々にある非常灯の明かりのおかげで、闇に視界を完全に閉ざされるまでには至っていないのは救いだ。部隊に用意してもらった暗視ゴーグルではあるが、このような状況の戦闘などは想定しておらず装着しての訓練など行…

勇者の影で生まれた英雄 #6 小隊の宴会

盗賊討伐の任務を終えて、三一○一○中隊は王都に帰還した。 まずは国軍兵舎に入って軍政局に任務完了の報告を行う。報告を終えて、軍政局から任務終了の承認を得て初めて解散となるのだ。 救出された女性たちは軍政局に引き渡された。彼女たちを元の家に戻す…

異伝 ブルーメンリッター戦記 第6話 主人公の悪意

主人公が進めている攻略ルート。カロリーネ王女を取り込む為の工作を行ったからといって、自分が考える最強ルートだと決めつけることは出来ないとジグルスは思い始めた。主人公はゲームシナリオにとらわれることなく、ゲームの仕組みを熟知した上で自ら考え…

四季は大地を駆け巡る #30 いつか来る日の為に

「「「「せい! やっ!」」」」 貧民区に子供たちの掛け声が響いている。 「最後!」 「「「「せい!」」」」 「よし、今日はここまで!」 「「「「はい!」」」」 ギゼンから終了の声がかかったところで子供たちは木剣を腰に差して、駆け足で彼の前に集まっ…

勇者の影で生まれた英雄 #5 小隊長裏試験

グレンが出て行った天幕の中では、ドーン中隊長が腕を組んだまま、じっと身じろぎもしないで居た。しばらく、そうしていた中隊長であったが、その口がゆっくりと開いた。 「もう良いぞ」 中隊長の声に反応して出てきたのは、グレンを除いた小隊長の面々だっ…