地面に転がるいくつもの死体。その中に立つ、ふわふわした金髪に大きな翠色の瞳のまだ幼い、十人が十人、可愛らしいと思うだろう女の子。だが今の彼女は可愛らしい顔を歪め、目の前に立つ剣を持った男たちを睨んでいる。死体は彼女の従者たち。馬車で移動し…
初代皇帝アルカス一世によって建国されたアークトゥラス帝国の治世は三百年に届こうとしている。未だに帝国の支配は盤石、とは決して言えない。真逆の状態だ。 帝国貴族の何人かが力を増すようになり、領地を巡る争いが増えて行った。帝国に力があるうちはま…
またやり直しの人生。それでも今回は、前回と同じように前向きになれる変化があるはずだった。それをジョーディーは望んでいた。だがその変化は今のところない。少なくともジョーディーはその事実を認識出来ていない。それ以前の人生をなぞることになってい…
オペレーションルームで鳴り響く警告アラームが執務室全体に響き渡っている。警告アラームそのものは珍しくもない。システムの異常を検知して発せられるアラームは、オペレータに対処を促すことが目的。対応するオペレータによって止められて、それで終わり…
こんなはずではなかった。これまでも自分が求める通りの結果を得られたわけではない。そうだから、何度もやり直してきている。だが、今回の結果は過去のどれと比べても最悪。ジークフリート王が得られたものは、彼の基準では、無に等しい。どうしてこのよう…
二戦連続での敗北。それも圧倒的に有利な状況からの惨敗だ。その結果がもたらしたものは大きかった。王国北部はほぼ反乱軍一色に染まる。北部貴族はブラックバーン家に、形としてはエリザベスに、仕えることを選択したのだ。北部だけではない。各地でブラッ…