東方辺境伯領ほどではないが、西方辺境伯家の状況も慌しい。辺境伯家は王国の守りの要、とはなっているが、近年は自国の領土を攻められることなど、ほとんど想定していない。一方的に攻め込む側だったのだ。 そうはいっても備えは万全。エルタニン王国軍が全…
物事はジークフリート王の、もしくはジョーディーの思い描く通りに進んでいる。そんなことにはならない。そんな簡単に物事が進むのであれば、ジークフリート王かジョーディーのどちらかが、とっくに目的を果たしている。想定外のことが起きるからゲームは、…
さすがに、城内に女性を連れ込んで遊び惚けることをずっと続けるなんて真似は、ジョーディー新王には許されない。王としての責務を果たさなければならない。しかも今は国難の時、と言っても良いくらいの状況。考えるべきこと、決めるべきことは山ほどあるの…
サマンサアンは王妃になる。その座を奪うはずだったアリシアのほうが今回、絞首台に昇った。何度も何度も繰り返された悲劇が、ようやく回避されたのだ。 そうであるのにジョーディーの気持ちは晴れない。今の状況に心を痛めている。彼の目的はサマンサアンを…
国王の急逝を受けて、王国は速やかに次の国王を決定した。ジークフリート王子がその人だ。長幼の序を守れば、ジュリアン王子が次の国王となるべき。こういう声は当然あった。どちらに決まるにしても片方が不在の間に決定するのはいかがなものか、という意見…
花街での出来事は、その日のうちに国王の耳に届いた。花街と国王の間には特別な繋がりがある。隠すことなど出来ない。それでも国王は一日の間を空けた。自分に花街での話を伝えてきた者を、ジークフリート王子に推測させない為だ。それでもジークフリート王…