魔力は遺伝、持って生まれた才能が全て。一部の例外は認めていても、これがこの世界での常識となっている。貴族家の血には魔力が宿る。故に貴族は強大な力を持ち、それに相応しい権限が与えられている。世襲の正当性を、それに異議を唱える平民などいないが…
王都郊外にある農地は、一握りの大農家の物。その何十倍もの農民は、その大農家に悪条件で雇われ、酷使されている。これがこれまでの常識だった。その常識が今、崩れようとしている。多くの人が気づかないままに。 最初は小さな、当事者たちにとっては命を賭…
七月に入り、あと一学年も残すところ二か月。八月は休みなので、同級生と共に過ごせる時間は一か月しかない。この事実に感傷的になる学生はいない。二年生になってもクラスは変わらない。夏季休暇を終えれば、また一緒に過ごす時間が始まるのだ。 そうであっ…
アリシアにとっては「何故、野外パーティー?」であるが、キャリナローズにはそういう違和感はない。城や貴族家の屋敷で開催される時も、庭園を開放して、屋外で行われることはある。避暑地であれば尚更。自然を楽しむことなく室内にこもっているほうがおか…
週末、レグルスは剣術教官のレイフの家を訪れた。剣術を教えることは出来る。だが、それは授業としてではなく、別の時間に道場であればという条件付きであることを説明され、その道場とやらを訪れることになったのだ。その道場は結局、レイフ教官の自宅。そ…
戦乱の世はこの世界全体で続いている。アリシアが知るゲーム『アルデバラン王国動乱記』だけが、この世界の全てではない。アルデバラン王国から遠く離れた土地でも戦争と、一時の平和な時代が繰り返されているのだ。 このような世の中では、望まないのに故郷…