特別士官学校に通う日々は、ジャスティンにとって、当初思っていたよりも退屈なものだった。宿霊者となっていない身では鍛えられるのは一般的な戦闘術。それは士官学校に通わなくても習えるものだ。実際に入学する何年も前からジャスティンは、一族の騎士た…
特別士官学校は王城のすぐ隣、敷地の一部が城壁に接している位置にある。士官学校の敷地は広大と呼べるほどのものではない。五家の権力争いが始まる今でこそ、各家が人を送ってきて、それなりの人数が通っているが、通常は入学する生徒は毎年、数名程度。一…
何故、自分はここにいるのか。時々、こんな思いが頭に浮かんでしまう。年に一度、役人が街にやってきて行われる宿霊の儀式。その年はいよいよ自分たちの代が儀式を受ける番。かすかな希望を胸に抱いて参加した儀式で、クリフォードは宿霊者となった。 街にと…
ルーク=コリン=ハイウォールは謎の人物だ。ルークの一族の直系に生まれ、幼くして、宿霊の儀式を行ってもいないのに守護霊を宿した。それも文句なしの強力な守護霊を。それが明らかになった時、アストリンゲント王国の有力者たちは、事実を知ることが出来…
襲撃事件はレンブラント教官の私怨によるもの。以前からクラリスに想いを寄せていたレンブラント教官が、彼女の気持ちがサーベラスに向いたことを知って、異常な嫉妬心を燃やして企んだこと。悪霊に取りつかれているなどという荒唐無稽な作り話は、クラリス…
サーベラスが守護兵士養成所に戻ったのは、襲撃を受けてから三日後。無駄な時間を作ることなく最短での、といってもクリフォードが足手まといになってサーベラスが考えていたよりも一日多くなってしまったが、帰還だ。そうしたのは、自分への疑いを少しでも…