他者の指導に多くの時間が割かれるようになった。特にクラリスの相手は、訓練とは関係のない時間まで奪われてしまい、自分の為の時間が思うように取れない。これが今のサーベラスにとっての一番の悩みだが、それが全てでもない。自分を鍛える時間が削られる…
現時点において、五家の争いは表面には浮かんできていない。これは想定通りのこと。隣国ノイガストフォーフ王国との不戦条約が結ばれたからといって、それが絶対に守られる保証はない。守られると信じられるような関係には二国はない。百年以上も戦争を続け…
二年目に入ったサーベラスは忙しい。養成所からは自チームだけでなく、他チームの訓練にも参加するように言われている。団体対抗戦でのサーベラスの活躍が認められた結果、ということになっているが、サーベラスにとっては迷惑な話だ。訓練時間の多くは他の…
三日間の休養期間を終えて、訓練が再開された。サーベラスたちは二年目の養成所生活を迎えることになったのだ。チーム編成については、かなりのゴタゴタがあった。人数のバランスが崩れているので、それを正す為にチームを再編するべきという話が出たのだ。…
団体対抗戦という年度末試験が終わり、守護兵士養成所は春休みに入った。といっても期間は三日。春休みというのは期の変わり目ということと、その短さを皮肉る意図も込めて、そういう呼び方になっただけだ。 誰も帰省などすることなく、そもそも三日では一番…
彼を怖いと思ったのはこれが二度目。一度目は離れた場所で彼の戦いを見ているだけだった。それでも、彼の戦い方は、血しぶきをまき散らして地面に倒れていく敵を哀れと思ってしまいそうになるほど凄惨で、怖ろしいと感じた。自分とは根本的に何かが違う。そ…