エーデルハウプトシュタット教国は聖神心教会の総本山。だが教会の運営のほとんどは各教会、もしくはそれを束ねる教区に任されている。大陸全土に教会がある為に、一極集中で日々の運営状況を管理することなど不可能なのだ。 事実ではある。だが、それが結果…
幼い頃から周囲は常に温もりを感じさせてくれる雰囲気だった。誰もが自分に笑みを向け、何か行えば褒めてくれた。そうであることが当たり前だった。 世の中に悪意というものが存在するのを知ったのは八歳の時。父に剣を教えてもらえることが決まったあとだっ…
ローゼンガルテン王国軍はグラスルーツを放棄。領境の城砦まで後退することになった。この時点でリリエンベルグ公国奪回作戦は、失敗という結果で終わることになる。それだけではない。戦争そのものの終結に向けての動きも現れている。ローゼンガルテン王国…
侵攻軍七万二千。これ以上は不可能という大軍を編制しての旧リリエンベルグ公国領奪回作戦は、自軍の半分にも届かない敵軍を相手に、大失敗に終わった。たった一戦で侵攻軍は壊滅的な打撃を受けて撤退。その第一報が入った時、まさかの大惨敗という結果に大…
七万という大軍での侵攻。そうであっても不安を感じていなかったわけではない。前回の作戦でブルーメンリッターは為す術もなく壊滅に追いやられているのだ。魔人は強い。それを改めて思い知らされた戦いだった。 そうであるからこその大軍。これ以上の大軍を…
キルシュバオム公国軍二万二千の内、前軍六千、そして王国騎士団の前軍六千の計一万二千が前進を始めた。それに対してアイネマンシャフト王国軍はブラオリーリエの瓦礫の影に隠れていた巨人族の部隊を前衛に押し出してくる。身の丈よりも遥かに巨大な盾を持…