月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

黒き狼たちの戦記 第46話 勝者がいれば敗者もいる

周囲にひしめく味方。もっと速く先に進み、見晴らしの良い場所に出たいのだが、前が詰まっていてそれは出来ない。この地は一万六千もの大軍が展開するには狭すぎる場所なのだ。だがこの状況も少し先に進めば変わる。敵の砦に向かっていくにつれて、平地は扇…

四季は大地を駆け巡る #156 四季は大地を

アインシュリッツ王国。ドュンケルハイト大森林の外にあるヒューガの国。旧ダクセン王国領であったこと、それに大森林との関係性を秘匿する為もあって、表向きの国王は元ダクセン王国将軍であったカール・マックが務めている。つい先日までは。 カール元将軍…

四季は大地を駆け巡る #155 答えはまだ先

静まり返った大広間。玉座に座るアレックス王の足を揺する音だけが響いている。普段であれば聞こえるはずのない音。数百人が一同に会することが出来るほどの、パルス王国の王城以外にはない大規模な広間なのだ。どれだけ集まった人々が静粛にしているつもり…

四季は大地を駆け巡る #154 目指す先

ヒューガにアイントラハト王国の臣下として正式に認められて、柄にもなく感激しているユリウス。その柄にもない態度をグランがからかったことで、場の雰囲気は一気に和やかなものに変わった。ユリウスをからかうことが出来る滅多にない機会と、皆が様々な言…

黒き狼たちの戦記 第45話 人に認められるということ

攻めるベルクムント王国とその従属国の連合軍は総勢一万六千。それに対するはフルーリンタクベルク砦に籠る中央諸国連合軍三百だ。砦を守る壁はあっても、そんなものはわずかな時間稼ぎにしかならない。ベルクムント王国にとっては勝利が確定している戦い、…

黒き狼たちの戦記 第44話 防壁の上で心の壁を感じた

山越えを終えたベルクムント王国軍は、すぐにフルーリンタクベルク砦に攻め寄せてきた。といってもその数は千ほど。残りは山を下りてすぐの場所で野営の準備を始めている。火薬を使って山道を切り開いたといっても、それは道を塞ぐ大岩があるなど、人力では…