月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

黒き狼たちの戦記 第36話 信じる者が救われるなら疑う者はどうなるの?

傭兵団施設の食堂。今日のその場所はいつもとは違う騒がしさ。多くの騎士や従士が興奮した様子で大声で語り合っている。感謝祭を間近に控えて皆が浮かれているから、ではない。彼らの興奮は喜びから生まれたものではなく、その逆。初めて見た武器に恐れを抱…

四季は大地を駆け巡る #144 再会の夜

ドュンケルハイト大森林に逃げ込んだイーストエンド侯爵家軍は百名を少し超える程度。イーストエンド侯爵を守っていた精鋭部隊が乱戦の中でもなんとか規律を維持し、アイントラハト王国軍に引き離されることなく退却を続け、魔王軍の追撃を振り切ったのだ。 …

四季は大地を駆け巡る #143 月の預言者

ヒューガが政務から遠ざかってしまうとその分の負担のほぼ全てをカルポが背負うことになってしまう。特に明確な定めはないのだが、アイントラハト王国において、王であるヒューガに次ぐ高位にあるのは季節の軍を任されている四人、エアル、カルポ、冬樹、夏…

黒き狼たちの戦記 第35話 人はそれぞれ背負っているものがある

ノートメアシュトラーセ王国は小国。その小国の二十人にも満たないアルカナ傭兵団の上級騎士たちが、大陸の東西二大国ベルクムント王国とオストハウプトシュタット王国を相手にして堂々と渡り合っている。そのアルカナ傭兵団の上級騎士たちはクローヴィスに…

黒き狼たちの戦記 第34話 敵を知る。まずはそこから始めよう

三団対抗戦の第二戦、近衛騎士団と王国騎士団の対戦は近衛騎士団の三戦全勝という結果に終わった。王国騎士団としては、アルカナ傭兵団との対戦を含めて一勝も出来なかったという惨敗であるが、それなりに意地を見せた結果だ。近衛騎士団との対戦は捨て試合…

黒き狼たちの戦記 第33話 愚策であることも分からない愚か者たち

三団対抗戦当日。会場となる王国騎士団の屋外鍛錬場の倉庫でボリスは、大きな体を丸めて、何やら作業をしている。流れる幾筋もの大粒の汗。それはすでにボリスの服を、びっしょりと濡らしていた。 拳を握り、手に持った剣に打ち付ける。その度に金属音が響き…