月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

悪役令嬢に恋をして 第83話 終わりの始まりの時

魔人との戦いが終結して四年の歳月が経つ。グランフラム国王にとっては、ずっと薄氷の上を歩いているような気持ちの四年間だった。それだけ魔人との戦いはグランフラム王国に深い傷跡を残していたという事だ。 実際に国王は、いくつもの問題に対処する必要が…

勇者の影で生まれた英雄 #129 踏み出された一歩

ゼクソン王国の王城。その城内の謁見の間に文武の重臣が居並んでいる。玉座に座るのはヴィクトリア。本来の玉座の主であるヴィクトルは、そのヴィクトリアの腕の中だ。 銀色の髪は両親譲り。まだ幼くありながら思慮深さを感じさせる、その瞳は父親似だと、グ…

逢魔が時に龍が舞う 第38話 洗脳

静寂の中、キーボードを叩く音だけが部屋に響いている。その音にまでオペレーターの緊張を感じ取ってしまうのは、恐らくは聞く側の気持ちのせい。感情を聞き取れるような鋭敏な耳を持っている人は、この場にはいない。 白衣を着た人々は精霊科学研究所の職員…

勇者の影で生まれた英雄 #128 密やかな再始動

他国への無断侵攻の責任を取って大将軍を辞め、一近衛騎士となった健太郎ではあるが、それはあくまでも軍部内での地位に限ってのこと。爵位はそのままになっている。 健太郎を処分する目的は軍部からランカスター侯爵家の影響力を排除する為。その目的が会議…

逢魔が時に龍が舞う 第37話 第X世代

元第七七四特務部隊である特殊戦術部隊の本部は、旧都西部にある湖近くに移された。かつて観光施設があった場所で、元の本部に比べれば、広大といえる敷地だ。 ただ今は、高い塀に囲まれた広い空き地の中に、ポツンと建物が一つあるだけの場所。とても軍の施…

勇者の影で生まれた英雄 #127 三妃会議

ルート王国の都ルーテイジは賓客を迎えて、大騒ぎになっている。訪れたのはゼクソン王国の国王ヴィクトルとその母ヴィクトリア。幼いとはいえ、一国の王を迎え入れるのだ。それなりの形式を整えなければならない。なんといってもルート王国の人々が、それを…