尊が桜に会っている間、精霊科学研究所内にある訓練室で汗を流していた天宮。訓練で時間を潰すだけであれば、そもそも研究所まで付いてこなければ良いのだが、天宮はそう考えない。何故、そう考えないかも考えないほど、鈍感なのだ。 一応、それらしい理由は…
勇者軍によるストーケンド襲撃。たとえトキオという独自の駐屯地を持っているとしても、多くの犠牲者を出した戦いだ。それを秘匿しておくことは出来なかった。仮に犠牲が少なくても同じこと。襲撃の情報は間者を通じて、ジョシュア国王の耳に入ることになる…
アーベントゾンネの街を囲む防壁の上。元ブルーメンリッターの騎士でユリアーナと共に魔王側に寝返った騎士たちは、その場所で戦場の様子を眺めている。ユリアーナを囮にした策は成功。多くのブルーメンリッターの騎士が投石の下敷きとなっている。 ただ戦い…
低いモーター音が部屋の中に響いている。それほど大きな音ではないのだが、地下にあるこの部屋の作りが、そこにいる人々の沈黙が、それを彼等の耳に届けてしまうのだ。 ここは、いくつもある『YOMI』のアジトの一つ。その中でも幹部だけが知る特別なアジ…
新大魔将軍ブラギ率いる魔王軍に対峙しているアイネマンシャフト王国軍。その編成は、ジグルスの直率で、セントール族とエルフ族の混合部隊である近衛機動部隊が二中隊二百騎、熊人族を中心とした重装歩兵部隊が一大隊一千名、犬人族を中心とした機動歩兵部…
第七七四特務部隊に休日の定めはない。鬼が出現し、出動の要請があれば、いつでも現場に向かうことになる。とはいえ、日ごとに分隊の出動優先順が決められていて、それが最下位の分隊員は、割と自由にその日を過ごしている。外出も許可されるのだ。 今日は遊…