月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #107 攻勢

ルート王国の重臣会議。その進め方は以前とは変わっていた。グレンが全ての報告の相手をすることはなく、すぐに指示を返すこともない。重臣たちの間で議論した上で、その結果の判断を仰ぐという、どの国でも行われている進め方だ。 それが臣下を育てる意味を…

勇者の影で生まれた英雄 #106 初めて知る想い

グレンにとっての最大の問題は自分の体が一つしか無いこと。夜の話ではない。ルート王国とゼクソン王国の二つの国政をみるということが、かなり難しくなっている。どちらも安定には程遠い状況。やらなければならない事柄は山程あるのだ。 ゼクソン王都を離れ…

勇者の影で生まれた英雄 #105 愚者と大物は紙一重

アシュラム王国の使者を迎えた後は重要案件の進捗を確認する為の重臣会議。このようなイベントがなくてもグレンの毎日は忙しい。個別案件についてもグレンは一つ一つ状況を細かく確認している。時間がいくらあっても、体がいくつあっても足りないような状況…

勇者の影で生まれた英雄 #104 手探りの改革

ゼクソン王国とウェヌス王国の同盟締結の情報は瞬く間に広がっていった。両国の王が会しての同盟だ。周囲に知られないはずがない。 ウェヌス王国にとってはその影響はほとんどないといって良いものだが、ゼクソン王国にとってはそうはいかない。グレンがゼク…

勇者の影で生まれた英雄 #103 黒幕の動き

ウェヌス王国の王都にあるランカスター侯爵家の屋敷。その屋敷の食堂に普段は見れない人物の姿があった。当主であるランカスター侯爵その人だ。 普段は領地にいるランカスター侯爵が久しぶりに王都に出てきていた。食堂には長子でありウェヌス王国宰相である…

勇者の影で生まれた英雄 #102 同盟締結

グレンのゼクソン王都滞在は二か月で終わった。 私生活はヴィクトリアとメアリーの間を行き来するという傍目には羨ましい、グレン本人にとっては気恥ずかしさと気まずさを感じる毎日だった。ヴィクトリアとメアリーの方は王族らしく、互いの立場を尊重し合っ…