月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #103 黒幕の動き

異世界ファンタジー小説 勇者の影で生まれた英雄

 ウェヌス王国の王都にあるランカスター侯爵家の屋敷。その屋敷の食堂に普段は見れない人物の姿があった。当主であるランカスター侯爵その人だ。
 普段は領地にいるランカスター侯爵が久しぶりに王都に出てきていた。食堂には長子でありウェヌス王国宰相であるアルビン、次男のロイド、そして三男のレスリーとランカスター侯爵家の男子が勢揃いしている。
 久しぶりの再会を祝って家族団らんの時間を楽しむ……という雰囲気ではない。ランカスター侯爵がわざわざ領地から出てきたのは息子たちの不甲斐なさに我慢がならなくなったからだ。
 アルビンの説明を聞いているランカスター侯爵の眉間の皺がどんどん深くなる。機嫌が悪くなっている証だ。

「以上が今回のゼクソン王国との講和交渉の結末となります」

 ゼクソン王国との講和について話し終えたアルビン。ランカスター侯爵の反応を恐れて、その顔は強張っている。

「我がランカスター家はいつから美女の斡旋屋になったのだ? 我が家のおかげでグレン・ルートは三人の美姫を手に入れた。報酬を請求したほうが良いな」

「それは……」

 アルビンは父親の冗談を笑う気にはなれない。ランカスター侯爵も笑わせようとして言っているわけではない。息子たちへ嫌味だ。

「この出来損ない共が! 私が何年も掛けて整えてきた策略が全てパーだ! しかも、その成果を魔女の息子に奪われるとはな!」

「申し訳ございません!」

 激昂するランカスター侯爵に向かって慌てて頭を下げるアルビン。アルビンだけではない。二人の弟たちも深く頭を下げている。ランカスター家において当主である侯爵は絶対的な存在。宰相となったアルビンであってもその逆鱗に触れれば、嫡子の座を追われることになる。

「グレン・ルートが母親の策略を知っている可能性は?」

「それはあり得ません。グレンは父親と母親が何者かも分かっていませんでした」

 ランカスター侯爵の問いに答えたのは次男のロイドだ。

「確かなのか?」

「グレンが王都に来てからずっと監視させていて、その結果の情報です。間違いはありません」

 次男のロイドの役目は、銀鷹傭兵団への指示役。ランカスター侯爵は細かなところまで見ているわけではないので、このロイドが実質的な銀鷹傭兵団の運営者となる。

「……銀鷹も情けない。何年も掛けて張った根をわずかな間に全て抜き取られるとは」

 ゼクソン王国に浸透していた銀鷹傭兵団は、ほぼその力の全てを失っている。残っている者たちは、自分が何のために働いているかも分からない末端ばかりで、それもやがて立ち枯れるだろう。支援者がいなければ彼らは暮らしていけないのだから。

「クレインがゼクソン王国にいたのが誤算でした」

「そのクレインとは?」

「元々は銀鷹傭兵団の一員でわりとジン・タカノと親しい間柄にあった者です。表の人間だったのですが、傭兵団としての銀鷹では主要人物の一人でして。顔を知られている者がいました」

「……魔女を殺した時にそういった者共も消しておくべきだったな」

「当時は今のようになるとは……」

 それを責められるのはさすがにロイドも堪らない。当時はまだ子供で、しかも孤児となったグレンがまさか王にまで上りつめるなど想像出来るはずがない。過ちがあったとすればグレンを生かしていたことだが、それはロイドではなく、ランカスター侯爵の判断だった。

「……何故、殺さない?」

 ランカスター侯爵もそれは分かっているので、過去を追求することなく現在のことを聞いてきた。

「それは繋ぎ役にと考えておりましたので。それにはグレンの信用を得ないとなりません。ただ外交担当にまで抜擢されるとは思っておらず……」

「ふむ……グレンは取り込めそうか?」

 ランカスター侯爵はグレンの取り込みを狙っている。もちろん、いくつかある選択肢の一つとしてだ。グレンがなんと言おうと旧エイトフォリウム帝国を復活させ、ゼクソン王国を属国化しているグレンの力と立場は利用出来るものなら利用したいのだ。

「正直まだ判断がつきません。ウェヌス王国への忠誠など、もちろんありません。ウェヌス王国を滅ぼすとまで公言しているくらいですから。ただ我らの味方になるかとなると」

「あくまでも我らが本当の敵か」

 グレンが戦おうとしているのはウェヌス王国ではなく、ランカスター侯爵家がいるウェヌス王国。それはランカスター侯爵にも分かっている。

「一番の問題はグレンに野心が見られないことです。欲がなければ交渉になりません」

 ルート王国の、国王としての地位の保証。グレンがそれを望むのであればランカスター侯爵家はそれに協力する気持ちがある。もちろん、それと引き換えにウェヌス王国の簒奪に協力してくれればの話だ。

「我が家にこれはという美女はいなかったか? 別に縁続きでなくても養女にすればいいだけだが」

 権力欲が駄目なら色欲。こう思われるものがグレンにはあってしまう。

「探してみますが……」

 ロイドの返事は煮え切らない。グレンの妻の一人はウェヌス王国一の美女と称されたメアリー王女だ。それに匹敵する美女を探すのは容易ではない。

「それとも妹を差し出すか?」

「それは……少なくとも交渉の土台が出来てからでないと難しいかと」

「何故だ? グレンの弱点は義理の妹。それがある限り、どうにでもなると言っていなかったか?」

「そうですが……正直申し上げて今もそうであるかは分かりません。それに下手な動き方をすればグレンは交渉など受け付けなくなるのではないかと」

 すごく言いづらそうにしながらも、ロイドは過去の発言を訂正した。過去の過ちよりも今嘘をつくほうが怒りを買うと考えてのことだ。

「……殺すと脅しても効くか分からない。人質に取られたことに怒り狂って、どんな手に出るか分からない。こういうことか?」

「はい。その通りです」

「……面倒だな。やはり消すか。こちらのほうはどうだ?」

「準備は進めておりますが、確実といえるまでにはまだまだ時間がかかります」

「……何故だ?」

 ランカスター侯爵の声に不機嫌さが交じる。出来ないばかりのロイドの言葉に苛立ってきているのだ。

「……問題は二つありまして」

「説明しろ」

「はい。一つはグレンがじっとしていないことです。ルート王国とゼクソン王国を行ったり来たりで、所在を捕捉出来ません」

「追いかけて殺そうとするからだ。待ち構えていればいい」

「そうしようとしています。ですが、グレンはルート王国のほぼ全ての者の顔を覚えているそうで。それでは刺客は簡単に近づけません。これがもう一つの問題です」

 ルート王国ではグレンに近づくのは難しくない。だがそれはルート王国の国民であるとグレンが認識しているからだ。見知らぬ顔が近づいてくればグレンも怪しみ、近づけようとしない。

「……浸透させる時間が必要だと?」

「そうです。問題はもう一つありました。グレンは強い。数人がかりで、それも不意を打つなどの工夫がなければ失敗する可能性は高い」

「ふむ……私も少し甘くみていたかもしれんな。分かった。グレンについては時間をかけても良い。取り込むにしろ消すにしろ、充分な準備を整えてからだな」

「はい」

「グレン・ルートはそうだとして国王のほうはどうだ? 愚物と呼ばれた国王に苦労しているようではないか」

 グレンについては一旦は納得。次にランカスター侯爵はジョシュア王に話題を変えた。それに答えるのは宰相であるアルビンだ。

「申し訳ありません。まるで人が変わったようで。以前をよく知るからこそ尚更その変化に戸惑ってしまいました」

 アルビンは王太子時代からずっと側近としてジョシュア王の側にいた。愚者と呼ばれたジョシュアを王にする為に苦労していたのだ。もちろん、それは自分が権力を握る為、そしてランカスター侯爵家が王権を奪うためだ。

「変化の原因は何か分かっているのか?」

「何者かが背後にいるものと考えております」

 本人の変化とはアルビンは考えていない。これはアルビンが本当の意味でジョシュア王の側近ではなかったことの証だ。ジョシュア王には能力はなくても覚悟がある。アルビンはジョシュア王の本質を知らない。

「何者か……分かっておらんのか?」

「疑わしい者はおります。まずはゴードン元大将軍」

「それはない。ゴードンを追い落としたのはジョシュア王ではないか」

「はい。ジョシュア王から接触を図ったと思われます。つまり、そうするように進言した者がいます」

「それが誰か聞いているのだ」

「グレンもしくはエドワード大公です」

「……グレンだと?」

 まさかここでグレンの名が出るとはランカスター侯爵は思っていなかった。

「ゼクソン王国から戻ってきた捕虜の中にグレンの息がかかった者がいるのではないかと疑っております」

「……逆に浸透されていたと言うのか?」

「必ずしもグレンの為だけに動いているとは言えません。王家への忠誠が厚い者が真実を知れば、何とかしたいと思うのではないでしょうか?」

「……確かにそうだな。そういう者たちから見れば我らは簒奪を企む大悪党だ」

「グレンにとってはウェヌス王国内で争ってくれれば、これほど良いことはありません」

「ふむ」

 ランカスター侯爵の視線がロイドに向く。グレンを放置しておくことはやはり危険だという考えからだ。だが何も言うことなく、ランカスター侯爵は視線を戻した。何か言ってもロイドは時間が必要だと返すだけだと分かっている。

「動いている者たちの洗い出しを進めております。突き止めることが出来れば、逆に相手の動きが掴めるかと」

「そうだな。エドワード大公の可能性は?」

「エドワード大公本人の考えはまだ分かりませんが、かつての側近たちが動き出しているようです」

「側近が動いている……本人の情報はないのか?」

 エドワードの臣籍降下によって出世の道を閉ざされた者たちが動いている。その事実にランカスター侯爵は不穏なものを感じた。

「警戒が強くなっています。これはロイドの報告で足りない情報です」

「それはどのような情報だ」

 軽くロイドを睨みながらランカスター侯爵は情報の中身をアルビンに尋ねる。睨まれたほうのロイドはランカスター侯爵の手前、殊勝な顔をしているが内心ではアルビンに毒づいている。

「大公領内の警備態勢はかなり整っています」

「どういうことだ?」

「かなりの人数を揃えています。それも元軍人と思われる者たちです」

 この対応は、エドワード大公がフローラの重要性を認識した結果だ。本来は存在そのものを隠す為なのだが、さすがにランカスター侯爵家に対しては手遅れというものだ。

「つまり、フローラ・セントフォーリアは簡単には攫えないと言うのだな?」

 いつでも奪える。そう思っていたランカスター侯爵にとって、これは誤算だった。

「はい。銀鷹傭兵団では難しいと思います」

「他の方法はあるような言い方だ」

「国の正式の使者であれば。もっとも最後は強硬策になりますが」

 正式な使者であればエドワードも追い返すわけにはいかない。屋敷に招き入れるだろう。だがそこまでだ。フローラを攫おうと思えば屋敷の護衛を、エドワードも討ち果たす必要がある。

「……それは無理ということだ。一人でも逃して我らの仕業と分かれば、それを理由に討伐軍が向けられるであろう。それを跳ね返す力があるのであれば、そもそもセントフォーリアの血など必要としない」

「そうですね」

 ずっと簒奪の準備を進めてきたランカスター侯爵家ではあるが、まだ単独では、正面切って王家と戦う力はない。国を手に入れることで自家の軍事力を強化し、王家の評判を地に落として貴族の不安や不満を募らせることで同調者を増やす。こういう方針で進めてきたのだが、まだ国を手に入れることも出来ていない。

 

「王とエドワード大公の関係修復を許したのは失敗だったな」

「敵が現れれば内部は固まるもの。王家もそうなったということです」

 ランカスター侯爵家という共通の敵の存在が王家を一つにまとめた。このアルビンの推測は間違いではない。

「……我らの野心を王家に知られたことが原因。つまり、グレンか」

 ランカスター侯爵家の野心、銀鷹傭兵団の脅威を知らせたのはグレンだ。ランカスター侯爵家にとっての問題は結局全てグレンにつながっていく。

「何としてもアシュラム攻略を成し遂げなければなりません。アシュラムを落とせばゼクソン攻略など容易に出来ます。グレンがどこにいようと討つことが出来ます」

 アシュラム王国からゼクソン王国を攻めることはウェヌス王国からそれを行うよりも遥かに容易だ。軍が侵攻可能な国境が何箇所もあるからだ。
 アシュラム王国の制圧がなれば、グレンという脅威を取り除ける。アルビンはこう考えている。
 戦争に持ち込むのは宰相である自分の役目。それが成功すれば自分の功という思いもある。次代のランカスター侯爵、いや大陸の覇者の座を弟たちに渡すつもりはアルビンにはない。

「王が邪魔することはないのか?」

「ジョシュア王一人が頑張っても止めることは出来ません。だからこそ、アシュラム攻略は急ぐべきかと。時間をかければジョシュア王が力をつける可能性があります」

 間違いなくそうなる。ランカスター侯爵家が簒奪を企んでいると知れば、それが明白となればジョシュア王に協力する貴族家は増える。忠誠心からだけではない。ランカスター侯爵家はウェヌス王国で一番の力を持つ貴族家。そうであるからには政敵も少なくない。

「戦争に持ち込んだとして、勝てるのか?」

 ランカスター侯爵の視線が末弟のレスリーに向いた。アシュラム王国との戦いは健太郎率いる勇者軍が行うことになる。その健太郎を操る担当はレスリーだ。

「……以前に比べると遥かに熱心に軍務に取り組んでいます。新兵器とやらの開発も行っているようです」

「それは良いことではあるが……どうしてだ?」

 健太郎のいい加減さは操るには都合が良いが、いざその力を利用しようという時には頭痛の種だった。その健太郎が真面目になったのは悪いことではないが、ランカスター侯爵は動機が気になる。ろくでもない動機ではないかと怪しんでいるのだ。

「嫉妬、焦り。こんなところでしょうか?」

「嫉妬だと? それは誰に対してだ?」

「グレンです。グレンが王になり、メアリー王女を娶ったことが納得いかないようでして」

「……勇者はメアリー王女を好いていたのか?」
 
「どうなのでしょう? とにかく美しい女性が他人の物になるのが許せないようです」

「欲深いというか……」

 健太郎の気持ちはランカスター侯爵には分からない。ランカスター侯爵だけではない。この世界の人々では理解出来ない考えだ。異世界ファンタジーの主人公といえばハーレムがつきもの。こんなことを言われても何のことか分かるはずがない。

「その欲のおかげで操れるのです。まあ、簡単ではありませんが」

「贅沢な暮らしと女を与えるだけではないのか?」

 自分の評価を上げる為に、あえてレスリーはそんなことを言い出したのだとランカスター侯爵は疑っている。

「今の待遇でも満足出来ないようです。本来は自分がグレンの立場にあったはずだ。こんな風に思っているようです」

「……その根拠は?」

「前に話した通り。自分は勇者だから」

「それか……」

 勇者だというだけで全てを手に入れられるはずがない。こんな当たり前のことが何故、健太郎には分からないのか。ランカスター侯爵家にとって以前からの謎だった。

「ですが、その根拠のない自信もようやく揺らぎ始めました。そうさせた原因がグレン。グレンに自分の立場を奪われ、このままでは自分は……何でしたか、フミダイなんとかになると嘆いていたのを聞きました」

「フミダイなんとか……異世界の言葉か。まあ、とにかく危機感を持ったのは良いことだ。次は絶対に失敗出来んからな」

「それですが……今のままで良いのですか?」

「どういうことだ?」

「私が見たところ勇者は人の上に立つ人間ではなく、人に使われるべき人間です。個人の戦闘能力が高いだけで将としての能力はないに等しい。軍を任せておくのは不安です」

 組織を作り、それを運営する能力は健太郎にはない。能力がないは少し厳しい言い方で、経験がないので分からないのだ。勇者軍の軍政は全て部下に任せっきり。これも健太郎だけが悪いのではなく、私服を肥やしたい元勇者親衛隊の騎士たちにも責任がある。飾り物の大将軍。こんな陰口を叩く者までいる。

「その勇者を使うのがお前の役目ではないか」

「私には公式な権限は何もありません」

「では役職に就けばいい。大将軍補佐官なんてのはどうだ? 軍政のトップだ。それであれば戦略には口を出せるであろう」

「父上。今そのような強引な人事を通せば、軍部の怒りは勇者ではなくランカスター家に向きます。得策とは思えません」

 ランカスター侯爵の発言をアルビンが否定してきた。宰相として国政の場にいるアルビンは軍部の、勇者軍を除いた本来の軍部の不平不満を肌で感じている。とても今は軍部を刺激するような真似をする気にはならない。

「ふむ……何だかんだで我が陣営には人材が足らんな。まあ、だからこそ国を手に入れ、ウェヌス王国に忠誠を持たない人材を確保しようと思うのだが」

 クーデター的なやり方で軍の実力者を排除したランカスター侯爵家ではあるが、軍部を掌握することは出来なかった。元々、軍は貴族家の力が及ばない組織だった。健太郎を大将軍に据えたものの、その下に置けるランカスター侯爵家の息の掛かった優秀な人材はいなかったのだ。まして健太郎は、その下の者たちに嫌われている。頭だけ押さえても軍組織は思い通りにはならない。

「もちろん、非公式に人を送り込むことは出来ます。ただ、勇者が言うことを聞くかは疑問です」

 簡単に操れるようで操れない。それが健太郎だとアルビンは思っている。思い通りに動いていると思っていても、ある日突然気が変わって全然違うことを言ってくる。こんなことは何度もあったと話に聞いているのだ。
 そんな健太郎を本当の意味で操れる人物はアルビンには一人しか思いつかない。だが、その一人はランカスター侯爵家にとって最大の敵なのだ。

「ユイを使います。ユイであればケンに言うことを聞かせることが出来る」

 レスリーが結衣を利用すると言ってきた。結衣であればレスリーは確実に言うことを聞かせられる。その結衣を使って健太郎を操ることが出来れば、それはレスリーの手柄になる。

「ふむ……いいだろう。今回はレスリーのお手並みを拝見するとしよう」

 ランカスター侯爵はこんな感じで三兄弟を競わせることで、その能力を最大限に発揮させようとしている。間違った考えではない。だが、過ぎた競争はそれぞれの活動の間に齟齬を生み、それが隙になることもある。小さな齟齬であればいい。そしてそれを見過ごす敵が相手であれば。果たして次に戦う相手はどうであるのか。それが分かるのはもう少し先の話だ。