月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

四季は大地を駆け巡る #112 儚い野心

パルス王国に新王が即位して半年以上が経った。その間、パルス王国は特に大きな問題もなく落ち着いている。親王派という新たな派閥の登場は人々を驚かせたが、それによりパルス王国の政治に乱れが生じるようなことはなかった。 そもそも新たな派閥の領主とな…

四季は大地を駆け巡る #111 歪んだプライド

パルス王国とミネルバ王国との国境付近にある森林地帯。そこにある岩山に空いた小さな穴。人が二人で通れるかどうか程度の穴ではあるが、その穴の奥には驚くほど広い空間が広がっている。 先に進むにつれて幾つにも分岐する横穴。一度奥まで入ってしまうと二…

四季は大地を駆け巡る #110 決裂

婚姻の儀に続いて、新王即位の儀が行われて数日後。一般の人々の生活が普段のものとなったと同じように、王城に勤める人たちも宴の気分を振り払い、日々の仕事に勤しんでいる。そしてそれは国政を担う重臣達も同じ。 今日も定例の閣僚会議が始まった。玉座に…

四季は大地を駆け巡る #109 評価は一方的に行われるものではない

ぎりぎりで釣れたイーストエンド侯爵にヒューガが案内されたのは、披露の儀が行われている大広間のすぐ近くにある部屋。今回のように宴が行われる時の来客者の控室として使われる部屋の一つだ。 来客者に割り当てないで余らしている部屋なので、それほど豪奢…

四季は大地を駆け巡る #108 これも外交といえるのだろうか?

婚約披露の儀はローズマリー王女とアレックスの登場で一気に盛り上がった……という事にはならなかった。特に国内の貴族たちはパルス王国の国政の実権が再び四エンド家に戻った事を知っている。それに対して新たな王になるはずのアレックスはどうでるか。自分…

四季は大地を駆け巡る #106 駆け引き

先王の一年の喪が明けたと同時に取り払われた弔旗に代わって、王都のあちこちにパルス王国旗が掲げられている。金糸で縁取られた赤の布地に王冠をかぶった金色の獅子の姿。戦いの場で常に建国王の側にいたと言う金色の獅子の伝承に基づいて作成された図柄だ…