天宮から甘さを指摘された尊への尋問だが、実際にそれで終わるはずがない。 相手に肉体的、精神的苦痛を与えて真実を追究するという手段は、前時代的なものだ。今の時代にそれを行えば、絶対に弾三者に知られない状況であれば別だが、かなりの確率で職を失う…
ブラオリーリエに残った鬼王軍に対してジグルスは積極攻勢に出ている。数の上では敵は予想通り、魔物が増員されて一万五千。それに対して味方は二千と圧倒的に劣勢であるが、そんなことで怯んではいられない。数で優位に立てる状況など元から期待していない…
オクス王国のアレックス王子との対面が終わったあと、リオンはしばらく黙り込んでいた。短い対談の中にも気になる情報がいくつもあった。色々と考えるべき事があるのだ。 その中で一番気になったのは魔物がグランフラム王国にしか現れていない可能性。もし事…
ドュンケルハイト大森林の奥深くにそれはあった。彼が知る王都、王城とはかなり趣は異なるが、ここは間違いなくこの国の王が住まう場所。彼はエルフの王国にやってきたのだ。 もっとも正面の玉座に座っている人物はエルフ族とは思えない。かろうじてエルフか…
重臣会議が終わると健太郎は、そのまま王都にある自分の居館に戻った。子爵位を授けられた時に下賜された屋敷だ。 屋敷に入って真っ直ぐに目的の部屋に向かう。そこで待っていたのは、結衣と金髪碧眼のかなり美形の男の二人だった。 「あれ? フローレンスは…
本部の会議室。緊張した面持ちで座っているのは葛城陸将補と立花遊撃隊指揮官、そして二人の向かい側に座る天宮だ。その天宮の隣に座る尊は、いつもの様にぼんやりした雰囲気をまとっている。これから問い詰められるのは、尊だというのに。 ショッピングセン…