街を訪れる行商人が増えた。宿屋や酒場などの施設は賑わいを見せているが、それだけで終わらせるのは勿体無い。それに接客サービスは、いつか必ず真似する者が出てくる。それだけでは、今の状況を維持する事は難しいのは分かっていた。 そこで新たに設けたの…
城での舞踏会が終わった後、リオンとエアリエルは貧民街に顔を出し、アインたちとの再会を喜び合った。舞踏会とは異なり、賑やかで、気楽な宴を楽しんだ後は、貧民街の状況や進めている他の街への進出の状況などの打ち合わせに三日ほどを費やして、それを終…
ルート王国への来訪者は止まらない。今回の来訪者はグレンが待ち焦がれていた人物。相変わらず無愛想な様子で椅子に座っているのは、武具職人のザットだ。 「思ったより早かったですね。それに……若いですね」 待ち焦がれていた相手だが、それを言うグレンの…
舞踏会の会場となった城内の大広間には、綺羅びやかな衣装に身を固めた大勢の人たちが集まっている。会場の広さ、そこに集う列席者の数、料理の豪華さ等など、王国学院の行事とはどれも桁違いだ。 それはそうだろう。これは本物の、それも国王主催の舞踏会な…
少しずつ国としての形を整えようとしているルート王国に次の訪問者が現れた。銀鷹傭兵団のガルだ。一人ではない。もう一人同行者がいるが、それもグレンにとって見知った顔だ。 「よく分かりましたね? それは分かるか」 銀鷹傭兵団はエイトフォリウム帝国と…
簡易な柵で囲われただけの放牧場。そこに三十頭あまりの馬が放たれている。キールが約束通りに揃えた馬だ。三十頭は決して多い数ではないが、伝令という目的だけであれば、十分な数といえる。もちろん、キールがそう思われる数で調整した結果だ。 そして、キ…