少しずつ国としての形を整えようとしているルート王国に次の訪問者が現れた。銀鷹傭兵団のガルだ。一人ではない。もう一人同行者がいるが、それもグレンにとって見知った顔だ。 「よく分かりましたね? それは分かるか」 銀鷹傭兵団はエイトフォリウム帝国と…
簡易な柵で囲われただけの放牧場。そこに三十頭あまりの馬が放たれている。キールが約束通りに揃えた馬だ。三十頭は決して多い数ではないが、伝令という目的だけであれば、十分な数といえる。もちろん、キールがそう思われる数で調整した結果だ。 そして、キ…
ウェヌス王国王都での用事を全て済ませてグレンはストーケンドに戻った。グレンにとっては収穫が多い、と全てを例えられるわけではないが、とにかく行って良かったと思える結果だった。 得られた結果と、気持ちが少し整理されたことに満足してストーケンドに…
カマークに戻ったリオンは忙しく働いていた。魔物への対処は急がなければ、全てが終わってしまう事態になる。それが分かっているリオンは、緊急課題として、考え得る全ての対策を推し進めようとしていた。そして、それで終わらないのがリオンだ。 魔物の件が…
不揃いの鎧を着た軍勢が街道を進んでいる。王都とは反対方面の街道は、未だ整備が終わっていない。まして今、軍勢が進んでいるのは国境に近い山中だ。修復は全く手付かずの状態で、貨車を押して進んでいる輜重隊の兵士たちは荒れた道にかなり苦労をしている…
王都にある墓地。多くの木々が立ち並ぶ、その一本の影でグレンはじっと息を潜めて立っている。フローラのお墓参り。恐らくはこれが最後になるはずの、最後にしようと心に決めて、今日ここにやってきていた。 フローラが好きだった花。それを手に入れて、別れ…