エステスト城塞から結衣とフローレンスは駐屯地に戻ってきた。 健太郎の部屋に向かう結衣。グレンの誤解をとくことは出来なかったが、戦わなくて済むきっかけを掴めたことで行きよりは気持ちは随分と軽くなっていた。 だからといって機嫌が良いわけではない…
戦いが思い通りに進んでいないのはローゼンガルテン王国だけではない。敵である魔人軍側にも多くの誤算が生まれ、それによって計画は大いに狂っている。 中でも一番の問題はジグルスの存在、であるのだが魔人軍にはまだそれほどの危機感はない。彼等にとって…
エステスト城砦から撤退して地方軍の駐屯地に勇者軍は戻った。 ただちに開かれた軍議。その席上でずっと健太郎は浮かない顔をしている。勇者軍の騎士の前では強がって見せたが、健太郎はグレンに手も足も出なかった。それに落胆しているわけではない。 健太…
ローゼンガルテン王国にとって現状は、様々な点で思い通りに進んでいない。そもそも何をもって思い通りというのか。それさえもあやふやになってきているのだ。 もっとも大きな誤算はリリエンベルク公国内での戦い。魔人軍に占拠されたはずの、状況が分かった…
エステスト城塞を落としたのがグレンだと知って狼狽した健太郎。それが収まったところで、周囲の者たちから、すぐにエステスト城塞まで進軍すべきという進言を受けたのだが、健太郎がそれを聞き入れることはなかった。 次の日になっても、改めて方策を検討す…
ブラオリーリエの戦いはやや停滞している。停滞は魔人軍からみた場合の表現であって、リリエンベルク公国側としては南部への侵攻を食い止めているのだから善戦だ。だからといって喜ぶ気にはなれないが。 リリエンベルク公国にとっての勝利は、侵攻を止めるこ…