フローラが頻繁に訪れるようになったグレンの執務室は更に活気が溢れるようになった。グレンが望まない方向に。 今、グレンはそれを無視して、仕事を行っているところだ。 「資料の検証が一通り終わったところで気になるのは、やはり騎士団だな。行軍からし…
セレネ様たちを迎えにいったエルフ。結果はヒューガの予想通り。あのエルフはヒューガを害しようと考えていた集団の一員だった。きっと仲間を集めて、扉を使ってここに攻め込むつもりだったのでしょうね。ただこれは想像。実際のところは分からない。 何故な…
戦争の準備が本格化し、軍部は大わらわ。特に指揮官クラスは連日、朝から晩まで会議と演習を繰り返す毎日だ。 そんな中で唯一といっても良い例外が健太郎。勇者親衛隊の隊長である健太郎は指揮官ではあっても戦術を検討する会議に呼ばれることはなく、演習に…
「不自由な思いをさせるけど、それに文句は言うなよ。お前たちを全面的に信用しているわけじゃない」 「はい。それは仕方がないことです」 ヒューガの目の前にいるのは草原にいたエルフの代表者一人。他のエルフは何部屋かに分散させて、閉じ込めている。ハ…
アシュラム侵攻軍の編成が正式に決定された。正式と言っても表向きはゼクソン侵攻軍という名目になってはいるのだが。 侵攻軍は大きく三軍に分かれる。先鋒軍として全軍に先駆けて進むのが王国騎士団第一大隊および国軍第二軍の前備五大隊六千。率いる軍団長…
ヒューガたちは空がまだ暗いうちからブロンテースが作った鍛冶場に集合した。 いよいよ今日が火入れの日。初めての火入れは日の出と同時に行うのが決まり事とされているのだ。といっても古来からのやり方ではなくイフリートの魔法を使うのだが、儀式としては…