月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #35 グレンの価値

グレンの処分は翌日には決まった。こんなくだらない事件で、グレンの活動を長く止めておきたくないというトルーマン元帥と複数の将たちの意向からだ。 処罰は独房送り五日。ただの喧嘩としては厳しくはあるが、上職への反抗と捉えると軽い処分だ。折衷案を選…

異伝ブルーメンリッター戦記 第16話 主要キャラたちの思惑

――新学期が始まった。 エカード派とリーゼロッテ派の激突を予想した生徒たちによって作り出された学院の緊迫した雰囲気は、かなり和らいできている。激突といえるような出来事がいつになっても起きないことが理由だ。 嵐の前の静けさ、と捉えていた生徒たち…

勇者の影で生まれた英雄 #34 衝突

調練場に健太郎と親衛隊が現れた。 失敗に終わったと思った説得が功を奏したのかと思ったグレンであったが、それが誤りだとすぐに分かった。 彼等に鍛錬をするつもりはない。ただ冷やかしに現れただけだった。 「おい! 何だ、その振りは!? そんな剣で人を…

四季は大地を駆け巡る #46 光と影

全員が一同に会するのは久しぶりだ。とくにヒューガが何か指示を出したわけではないが、とにかく皆忙しいのだ。中でもハンゾウたち。毎日毎日、ぼろぼろになるまで鍛錬を続けている。先生は彼等に告げた通り、限界を超える鍛錬を行っていた。 エアルもカルポ…

勇者の影で生まれた英雄 #33 空想の中で生きる人

城内の食事室は重苦しい雰囲気に包まれていた。 この場にいるのは、グレンとメアリー王女。そして健太郎と結衣の四人だ。 メアリー王女に呼び出されて食事室に来た健太郎は、隣の席にグレンが座っていたことで、何の用件か分かったのだろう。少しふてくされ…

四季は大地を駆け巡る #45 可能性

普段であれば子供たちの剣戟の音が辺りを賑わしている時間。でも今日に限っては、貧民区はひっそりと静まり返っている。 中央でじっと立ったまま動かないバーバ。その姿を、息をひそめて皆が見つめている。 周囲を見回してみると良く分かる。大人しくバーバ…